海外でも飲酒量の基準はバラバラ

しかし、今回のガイドラインでは推奨量を決めませんでした。前述の「日本人の食事摂取基準」では「指標は算定しないことにした」と明言していますが、今回はそれすらうやむやにされています。

これは日本人得意のうやむや話法というわけでもなく、海外でも事情は同じのようです。ガイドラインからもうひとつの表を引用します(図表2)。

【図表】海外のガイドラインに記載のある飲酒量(純アルコール量)
出典=厚労省ガイドライン「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(別添)

おおむね20~30g/日前後としている国が多いようですが、アメリカ(28g/日)に比べてオーストラリア(100g/週、1日あたり約14.3g)は半分ほど。カナダ(26g/週)はそのまた4分の1ほどと、各国でバラバラです。

誰も正解を知らない

バラバラなのは誰も正解を知らないからです。この表の注に「単純に比較することはできません」とありますが、それほど性質の違う数字しか出せないなら、問題設定そのものに疑問が生じます。

つまり「酒はどれくらい飲むと体に悪いのか」はわからないだけでなく、「酒が体に悪い」とはどういう意味なのかも決まっていないのです。