電力価格を高くする政策ばかり実施してきた

まず直ちに取り組むべき課題として、発電部門については、安価で安定な電力供給を実現しなければなりません。

これにより、競争力のある電力供給を実現し、日本の産業部門を活性化することができます。

のみならず、電気料金を抑制することで、家庭部門および業務部門の電化を促進できます。

これまで日本は電力価格を高くするような政策ばかり実施してきました。それでは電化が進むはずがありません。電力価格は低く抑えねばならないのです。

自宅で請求書を眺めるカップル
写真=iStock.com/miniseries
電力価格を高くする政策ばかり実施してきた(※写真はイメージです)

今の日本の電力市場は複雑怪奇なものになっています。多くの官製「市場」が導入され、制度変更は果てることなく続いていて、投資回収の予見可能性が低くなっています。

「再生可能エネルギー優遇」がコスト上昇要因になっている

その中にあって再生可能エネルギーは手厚く優遇され、大きなコスト上昇要因になっているのみならず、火力・原子力発電事業の収益性を低下させています。

電力価格を抑制するためには、電力市場のひずみを取り除かねばなりません。

再生可能エネルギーへの優遇措置を全廃した上で、再生可能エネルギーが電力系統へ与えている負荷については「応分の負担」を求める必要があります。

日本をとりまく現在の地政学的状況においては、天然ガス火力発電、石炭火力発電は、いずれもエネルギー安全保障の観点から一定の割合を維持しなければなりません。