この男以前以後で大きく変わった

「フェイスブック(Facebook)」の創業者であるマーク・ザッカーバーグもいまだにパーカーで記者会見に現れるというので、アメリカの一部の権力者たちから非難されているそうです。

「フェイスブックはもはや一流企業になったんだから、ちゃんとした格好をしろ」といわれても、ザッカーバーグは頑としてパーカースタイルを貫いています。つまり、最近のお金持ちは、見栄やプライドなどといった余計なものには、決してお金を使わないということです。

今までお金持ちのイメージというと、いい家を買ったり、高級車を乗り回したりといった感じでしたが、若い富裕層たちはある意味でまったく違うお金の価値観を持ち始めている気がします。

おそらく、マイクロソフトの創業者でもあるビル・ゲイツが台頭してきたあたりからそのような傾向が出てきたと思います。

ビル・ゲイツはシアトルに60室もある大豪邸を建てましたが、あれはおそらく本人の希望で建てたわけではないのではないかと推測できます。

彼は昔からエコノミークラスしか乗らないという話もよく聞きますし、私は何回かアメリカの会議などでお目にかかったことがあるのですが、身なりに関してもそれほど「おしゃれだな」と感じたことはありません。

そのような意味で世間体や自分の外見に興味がないのだと思います。

エコノミークラスのイメージ
写真=iStock.com/EllenMoran
※写真はイメージです

パソコン一台あればいい

このような価値観を生む背景の一つとして、「ネット社会」における教育があります。以前話題になった、アメリカの大学を中心に運営されているMOOC(Massive Open Online Courses)という教育システムがあります。

これは、ウェブ上において基本的に無料で参加できる大規模講義のことです。

日本における従来の教育システムにおいては、例えば東大は1学年3000人でそこに入るためには子どものときから塾通いをする必要があります。中学入試のための費用にしても塾であれば50万円ぐらいはかかります。そうすると、所得格差が教育格差を生んでしまうこともあるわけです。

ところが、このMOOCのようなシステムがあれば、いろいろなことを無料で学べるカリキュラムが出てきているので、同時に1万人、10万人という規模で能力の高い人間が育成できるわけです。

つまり、情報へのアクセスという視点から見れば、ネットにつながることができるPCが1台あれば、実は情報格差がなくなるというわけです。