質の高い人脈を広げるには、どうすればいいのか。コロンビア大学ビジネススクールで人気講義「THINK BIGGER(発想をより大胆に)」を開くシーナ・アイエンガー教授は「私の授業では、ネットワーキングではなくアイデアワーキングという手法を勧めている。このやり方なら、会話のタネとしてずっと面白いし、普通のネットワーキングよりもよい人と知り合うことができる」という――。

※本稿は、シーナ・アイエンガー著・櫻井祐子訳『THINK BIGGER 「最高の発想」を生む方法』(NewsPicksパブリッシング)の一部を再編集したものです。

会議後に歓談するビジネスパーソンたち
写真=iStock.com/Edwin Tan
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相談相手の輪を大きく広げるためには

グーグル、図書館、その他の文献や資料の情報源。これらはどれも探索に欠かせない。だが本章でまず専門家へのインタビューの手法を説明したのは、人間が機械にはけっしてできない方法でものごとを理解しているからだ。

そこでここからは、専門家を通して戦術を探す方法をさらに紹介したい。相談相手の輪を大きく広げる手法だ。

グーグルや図書館などで得た情報に専門家の連絡先が載っていれば、直接コンタクトすることができる。また、すでに関連分野の専門家を知っている場合もあるだろう。

そこからさらに多くの専門家を探す手法として、「アイデアワーキング」をお勧めしたい。

あなたはこれまでネットワーキング(人脈づくり)の大切さを、耳にタコができるほど聞かされてきたはずだ。できるだけ多くの人と知り合うために、会議に参加し、委員会に名を連ね、イベントに出席し、趣味を始め、エレベーターで乗り合わせた人に話しかけよう。次に出会う人が、運命の人になるかもしれない、と。

ネットワーキングではなくアイデアワーキング

この手法の背後にあるのは「数打ちゃ当たる」戦法、つまり多くの人に出会えば出会うほど、役に立つ人を見つけられる、という考え方だ。SNSを利用すれば、さらに簡単に知り合いを増やすことができる。ほとんどの人は、ネットワーキングを宝くじのようなものだと思っている。宝くじを買い続ければ、いつか大当たりするかもしれない。

ネットワーキングの目的は、ネットワークを広げることにある。これに対しアイデアワーキングは、アイデアを広げることをねらう。ネットワーキングのコツは、すばやく相手の人となりを知ることだが、アイデアワーキングでは、人となりを知る必要は一切ない。ずばり本題から始めて、あなたの課題に役立つことを聞き出したい。

これから出会う関係者全員を専門家とみなし、ここまで説明したルールに沿って話を聞こう。課題解決についての意見は求めない。あなたのサブ課題を過去に解決した戦術について尋ねよう。