たとえば、あなたはビジネスパートナーと一緒に会社の新しいオフィスを探しているとしよう。あなたは何をするにも便利な街の中心部に会社をかまえたいと思っているが、自分が仕事をする部屋自体にはそれほどこだわりがない。それに対してあなたのビジネスパートナーは、自然に囲まれた場所にある、明るくて気持ちのいい仕事部屋のあるオフィスに引っ越したいと考えている。

ポイント「重要度のレベルを3つに設定する」

街の中心部に静かなオフィスが見つけられれば理想的だが、もし適当な物件が見つからなければ、次善の策は双方がもっとも重視する点を満たすオフィスを見つけることだ。街の中心部にあるわけでもなければ自然に囲まれているわけでもない郊外のオフィスに引っ越して、どちらも満足できない結果になるよりも、十分なスペースのある中心部のオフィスを選ぶようにするといい。

そうすれば立地はあなたの希望どおりだし、あなたのビジネスパートナーは明るくて大きな仕事部屋を手に入れられる。

ログローリングを成功させるこつは、あなたの交渉の目標を、「重要」「ほどほどに重要」「あまり重要ではない」の3つのカテゴリーに分類しておくことだ。「重要」のカテゴリーに当てはまるのは、その交渉の主な目的となっているもの、あなたが一番獲得したいと思っているものだ。「あまり重要ではない」は、交渉の対象ではあるが、あなたにとってそれほど大きな価値はないものである。

その点を交渉相手が重視していれば理想的だ。その場合、「あまり重要ではない」点は交渉における交換材料として大いに役に立つのだ。

お互いが喜ぶ結果になるために“協調”しよう

ジャック・ナシャー『望み通りの返事を引き出すドイツ式交渉術』(早川書房)

旅行先をめぐって意見が対立した夫婦の例でいえば、あなたは旅行を通じて異文化を体験したいと思っているのに対して、夫が旅行に求めているのはおそらくビーチでのんびりすることなのだろう。そういう場合は、インドかドバイかという二者択一で口論をするのでなく、たとえばオマーンのように、どちらの要求も満たせる旅行先を探せばいい。

妥協ではなく、協調するのである。すでに信頼関係を築いている相手との交渉は、協力してよいアイディアを探すためのプロセスという色合いが強くなる。そうすると、ただ単に妥協をするよりもはるかによい結果を導き出せるようになるのだ。

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