部署や会社を変えても活躍できる人は、どういったスキルを持っているのか。経営コンサルタントの三坂健氏は、「どこでも誰とでも活躍できる人の多くは、ちょっとした手土産や気遣いのスキルを身につけ、スマートに活用している」と分析する――。

※本稿は、HRインスティテュート『全員転職時代のポータブルスキル大全』(KADOKAWA)を再編集したものです。

「嬉しくない人がいない」究極のスキル

キャリア選択の自由度が上がり、誰もが転職する可能性がある時代になった。この現代を「全員転職時代」といって差し支えないだろう。この全員転職時代において、部署や会社が変わっても難なく活躍できる人たちの共通点を、人材育成コンサルタントの視点で探ってみた。まず紹介したいのは、小さな気遣い=プチギフトのスキルである。

※写真はイメージです。(写真=iStock.com/hungryworks)

多くのビジネスパーソンはこのスキルについて、なんとなく気恥ずかしさをおぼえたり、あるいは「そんな子供だましは通用しないよ」といった反応をする。しかし、我々コンサルタントが知る「どこでも誰とでも活躍できる人」の多くは、このスキルを身につけ、スマートに活用している。

「生卵1パック」の心づかいに歓声

米国の会社で勤務するアメリカ人の友人が、以前、こんなことを話していた。

「日本支社に出張に行ったとき、俺はみんなのヒーローになったんだ。何をしたと思う? クリスピークリームドーナツを2ダース買って、持っていったんだ!」

「なんだ、ドーナツか」と思うかもしれないが、プチギフトの効果を軽視してはいけない。

形だけの手土産を「渡す」だけでは、社交辞令に終わってしまう。しかし、相手に喜んでもらいたいという気持ちがあれば、相手にもそれは伝わる。彼の場合、「ドーナツ」は正解だったのだ。

別の友人は、とある開発途上国に赴任した人に、日本から生卵1パックを持っていったという(飛行機に手荷物で持ち込んで!)。生卵が貴重なその国で、数カ月ぶりの卵かけごはんを食べさせてあげたいという彼の心づかいに、現地の日本人は歓声を上げたという。

思いやりを受けて「嫌だな」と思う人は通常、いない。誰もがされて嬉しいに違いないのだから、このスキルを使わない手はないだろう。喜ばれることを嬉しいと思うこともまた、優れたビジネスパーソンの特徴といえるかもしれない。