※本稿は、三上ナナエ著『あらゆるタイプのお客様に選ばれる 一生使える「接客サービス」の教科書』(大和出版)の一部を再編集したものです。
「気が利くね」と言われる人の言葉遣い
「神は細部に宿る」と言いますが、ちょっとした言葉遣いの違いで、相手の反応は大きく変わります。
そんなちょっとした“言葉遣いのコツ”を取り上げてみたいと思います。
余計な言葉は足さない
「〜させていただきます」という言葉を連発するのをよく聞きます。
丁寧な言い方ではありますが、相手に対して必要以上にへりくだったり、自信がない時に、連発しやすい言葉でもあります。
続くと、まどろっこしい印象を与えてしまうので注意しましょう。
お客様の担当になった時
←「担当の○○です。△△のご説明をいたします」
このようにスッキリとした表現は、お客様を余計な時間でお待たせしないことにもつながります。
主語をしっかり言う
意外と、話し始めに主語をつけるのを忘れがちです。
お客様からの質問に対して、「大丈夫です」「結構です」という言葉だけで済ませてしまうと、お客様の受け取り方とズレてしまう可能性もあります。
何が大丈夫なのか、主語をしっかりお伝えしましょう。
「〜の際はご連絡をくださらなくても結構です」
お客様に遠慮させないために「言い切る」
時には踏み込んで、言い切る
「〜しましょうか」とお伺いを立てることも、場面によっては必要です。
けれども、問われたお客様は本当はそうしてほしかったとしても、遠慮されたり、申し訳ないなと思ったりして、断る場合がよくあります。
そんな時は「〜(いた)します」と言い切ったほうが、お客様も遠慮なく受け取れるものです。
「ご案内しましょうか」→「ご案内いたします」
「お鞄、お持ちしましょうか」→「お鞄、お持ちします」
断言しないと不信感を与える
「思います」は自信がなく聞こえる
「思います」は、個人的な意見を述べる時に使う言葉です。
でもあまり使い過ぎると、自信なさげに映ったり、時には不信感を与えてしまう場合もあります。自分の考えに確信が持てない時、ダイレクトに伝えるのが恥ずかしい時などについ使いがちです。
確かに内容によっては裏づけも必要ですが、そのひと手間をかけ、断言することでより信頼を寄せていただけます。
お客様の服を褒める時
お客様に商品を勧める時
(比較のために、目の前で計算してさしあげるとなおGOOD)
確約できないときの答え方
お客様から質問をされた時
担当者「大丈夫だと思います」
→
お客様「○○は予約しなくても大丈夫ですか?」
担当者「確約はできないので、予約していただくのが確実です」
どちらかを選んでもらう言い方
ざっくり訊かれると、答えに困るお客様もいらっしゃいます。どちらか一方を選ぶ訊き方は答えやすく、的も絞りやすいので会話の入口には便利です。
マッサージ店でマッサージの強さを質問する
贈り物を選ぶシーン
ただ、お客様によっては自由に話したい方もいるので、会話の流れで自由に希望を言っていただいたほうがよいと感じたら、無理に絞り込む質問をする必要はありません。
「軽く見られた」とお客様に感じさせてしまう
砕けた言葉遣いは危険
相手を見てわざと砕けた言葉遣いに切り替える人もいますが、「軽く見られた」と感じさせてしまう危険性があります。
私もCA時代、中学生のお客様に友達言葉で話していたら、「普通の言葉遣いで話してください」と言われたことがあります。「自分が親しみやすい人に見られたい」という気持ちを見透かされたような気がして、恥ずかしくなりました。
また、相手がどんな反応を示しているのかを気にせず、一方的に砕けた話し方をしてしまったことが反省点です。
無理にお客様との距離を縮めようと、砕けた表現を使うと失礼になることもあります。第三者から見ても、不快感を抱いたり、その親しげな様子に「客によって対応を変えるのかな」と寂しい思いをする方もいるでしょう。
丁寧過ぎる必要はありませんが、言葉遣いは“車間距離”と同じ。
「です・ます」は最低限キープしたほうが、適度な距離感を保て、結果的に良い関係をつくりやすいものです。
周りからアドバイスをもらうのも手
いかがでしょうか。ついつい使い過ぎている言い回しはありましたか?
自分では気づきにくいものですから、日頃から友人や職場の同僚・先輩などに「もし言葉遣いや話し方で、少しでもおかしいところがあったら教えてください」とお願いしておくとよいでしょう。
まずは肩の力を抜いて、失敗したと思ったらそこから学べばいいだけです。
初めから言葉をうまく遣える人なんかいません。少しずつゆっくりゆっくり、試していきましょう。