※本稿は、リサ・サン『なめられない品格 誰からも信頼されるようになる8つの力』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
合理的かつ冷静に物事を掘り下げる〈頭脳の力〉
前編に続き、真の品格を得るための4つの内なる力についてご説明します。
〈頭脳の力〉タイプの人は、知識によって支えられています。裁判初日の弁護士のように、資料をそろえて準備をし、専門知識からパワーを得ます。
常にきちんとしていて決して油断せず、寡黙で誠実な熟練者といった雰囲気で、合理的かつ論理的な人生観を持っています。家電を箱から取り出す前に説明書の全ページに目を通す(トラブルのたびに調べるのではなく)のが好きなのは、入念に整理した情報を系統立てて実行したいからです。
分析的かつ客観的で、事実に重点を置いた知識の宝庫のような存在です。遭遇したものすべてを分析し、パターンや関連性を特定し、興味のあるトピックについてあらゆる事柄を可能な限り深く学びます。真実の探求者であり、物事の表面を深く掘り下げるまでは、高度な概念を受け入れがたく感じます。
ひとつの問題を幅広く調査し考察するあなたは、決定を下す前に問題を多角的に見るのが得意であり、作業の手順について確固たる意見を持っています。責任感があり、地に足がついていて実践的で、困難に直面しても冷静さを保ち、合理的な意思決定ができます。生産性が極めて高く、混とんとした状態から秩序を作り出すことが得意です。
構造とガイドラインがあり、関与する全員が経過と理由を正しく把握していれば、物事をやり遂げられると信じています。誠実で率直な、信頼できる人であり、感情操作をほとんど差しはさまずに状況を現実的に管理します。自分が言ったことに責任を持ち、やると決意したことは、確実にやり遂げます。
革新的なアイデアを実現する〈創造する力〉
〈創造する力〉を〈一番の強み〉に持つ人は、アイデアが未来を形作ると固く信じています。独創的で先見の明があり、誰よりも大胆な夢想家であり、開拓者の精神を持って革新と進化を推し進めます。
鮮やかな想像力とオープンな心が、世界のワクワクする可能性を追求する力になります。アイデアに夢中になるときには、情熱を持って全力で尽くします。とことん独創的なので、周囲の人に新しい物の見方を考えさせるお手伝いができます。現状や常識に挑戦することに抵抗がなく、アイデアを形にできたときに最も幸せを感じます。
アイデアは、機能したときにしか価値を生みません。想像力豊かな好奇心と野心ある決断力を組み合わせることで、ゼロから何かを生み出すことができます。このタイプの人は、グリット(やりぬく力)と臨機応変さと打ち込む力を備えています。未来を見ることができ、そこに向かうために画期的な取り組みを構想して立ち上げることができます。
革新には変化を受け入れることが必要です。失望や失敗を恐れず、その両方から冷静に立ち直ります(なぜなら、過去を生きていないから。未来の住人なのです!)。
リスクや実験に対して高い耐性を持っているのは、自分の行動がより良い未来を形作ると心から信じているからです。
共感力があり肯定感が高い〈楽観の力〉
〈楽観の力〉タイプの自信は、希望から生まれます。それは、〈未来は明るい〉と信じること。
この強みを持つ人は、この世は得られる限りの最高の世界であり、最終的には善が勝利すると信じています。信じることが、恐れずに自由な人生を送るための活力です。このタイプの人は、あらゆる人と状況を、肯定的なレンズを通して眺めます。どんなことにも良い点を見いだし、世の中を良くする潜在能力を自分に感じています。
価値観と理想とより大きな目的意識が、やる気の支えになり、本当に大切なことを決して見失いません。道徳観念を持ち、賢く直感的で、たとえ手ごわく複雑であっても、最良の結果に焦点を当て、人と世界をより良くするような、意義深く目的に満ちた道を模索します。
解決策に向かうときには共感力を頼りにします。批判的ではありません。寛容で受け入れる心を持ち、あら探しをするのではなく、常に人の話に進んで耳を傾けます。その結果、恨みを抱くことがめったになく、人を犠牲にして成功することを喜びません。人生に起きた良いことを分かち合い、必要に応じて称賛し、周囲の人の気持ちを明るくすることを求められていると感じます。
たとえ最も厳しい時期であっても、冷静かつ前向きでいることができます。最終的にすべてがうまくいくという信念があり、結果を強制するのではなく、それぞれの時間軸に沿って物事を見つめます。持ち前の楽観主義と目的意識によって、失望から立ち直り、コントロールできないと見なしたモノについては、手放します。
人生を一貫して感謝の気持ちで見つめ、次の目標地点に向かうときは、谷ではなく頂点を思い出すことを活力にします。
見たままを得て他人に振り回されない〈自分を支える力〉
〈自分を支える力〉を〈一番の強み〉に持つ人は、外部からの評価を必要としません。称賛に頼ることなく、冷静に自分を信じています。
評価はいつでも歓迎しますが、それが原動力ではありません。テーブルの椅子を見たら座ってもいいものだと思い、その席に座る理由や資格について説明する必要性を感じません。
「見たままを得られる」という感覚があり、確固たる自意識を持ち、傲慢ではない最高の形の笑顔と威厳を放つことができます。
自分に価値があると知っているので、人と比べたり、うらやましがったり、地位を追求したりということに心を揺さぶられません。簡単に言うと、あなたは自分が好きなのです。自分の中に蓄えた力を引き出し(心の中には批評家ではなく応援団がいます)、「私は十分なの?」という疑問を持ちません。なぜなら、答えは必ず「私で十分」だからです。
トラブルが起きても、動揺せずに自分の内面を見つめてエネルギーを補給し、目の前の問題に取り組みます。説明や言い訳や自己弁護の必要性を感じることなく、望むことを要求できます。〈自分を支える力〉の持ち主は、後悔や謝罪をせずに人生をふり返ります。なぜなら、人生経験の積み重ねが自分の強さと目的の源だと考えているからです。自分が今の場所まで到達したことに誇りを持っています。
自分の功績を挙げ連ねたり、自分の地位で人を感心させたりするのではなく、自分以外の話題に深く関心を持ちます。批判から自由な場所で生きているので、周囲の人のことも同じように受け入れます。誰かが好意を返してくれるかを考えてエネルギーを浪費することもありません。
自分の基盤を知ることは極めて重要
自分の強みについて、自分に言い聞かせるのも大切ですが、そういった強みを実際の人生の瞬間とリンクさせると、さらに強力な効果が得られます。
過去をさかのぼって、「あなたの才能」と「達成した成果」という点と点を結び付けると、自分の〈一番の強み〉が人生の多くのことを動かしてきたとわかります。
特別な思い出は、いわばあなたの〈一番の強み〉を形にしたものであり、これが自分の長所を信頼する基盤となります。これを知ることは極めて重要です。
なぜなら、将来の到達点や業績には、同じ指標が当てはまり、あなた独自の才能が使われるからです。過去にそれがどのように作用したのかを知り、自分の中にすでに能力の蓄えがあることを知れば、自分の能力を信頼することができます。