※本稿は、小林弘幸『なんとなくだるい、疲れやすいを解消する! 自律神経について小林弘幸先生に聞いてみた』の一部を再編集したものです。
のんびりするとかえって疲れが抜けなくなることも…
Q:仕事から帰ると何もやる気が起きません
→お答えしましょう!
疲れていても、活動のスイッチをオフにする前にやるべきことを片付けるほうが効率的。休日も同じペースを意識しましょう。
疲れているときは、のんびり休養するのが一番と考える人も多いはず。特にハードスケジュールが続いた週末は、朝寝坊をしがちになります。
しかし昼までゴロゴロしていると、自律神経が乱れて、かえって疲れが抜けなくなります。
また、仕事から帰宅したあと、ひと休みしようとソファに腰を下ろした途端、ドッと疲れを感じた経験のある人もいることでしょう。
それからごはんをつくったり、部屋を片付けたりしようと思っても、一度切れてしまったスイッチを再び入れるには膨大なエネルギーが必要になります。そのため、余計なエネルギーを使うことで、さらなる疲労を招くという悪循環に陥ってしまいます。
このことでもわかるように、人間は毎日同じペースで過ごすほうが元気でいられるもの。週末も忙しいときと同じようなリズムを保つことが大切です。まずは、休日でも早起きする習慣をつけることから始めてみましょう。
一度切れたスイッチを入れるのは困難
早起きして趣味に熱中してもいいし、その日に何をやるか決めて実行するのもいいでしょう。早起きすれば、夜もゆっくり過ごすことができ、疲労も自然と回復していきます。
帰ったらまず休憩? それとも家事?
仕事から帰宅するといつもクタクタで、そのままスイッチが切れてしまう人も多いが、じつは完全なオフモードになる前に動いてしまうほうが最小限のエネルギーですむ。
ここに注意!
「疲れたときほど動く」を意識して、時間をダラダラと浪費しないことが自律神経にもプラスに。
睡眠負債はアルツハイマーの原因にも…
Q:睡眠不足で慢性的な疲労を感じます……
→お答えしましょう!
睡眠不足は万病のもとです。週に一度は「睡眠の日」をつくり、起きている時間から良質な睡眠を取る準備をしましょう。
「睡眠負債」という新語ができるほど、睡眠不足が深刻な問題になっています。
睡眠不足で真っ先に影響を受けるのが、自律神経です。寝不足の状態が数週間続くと、自律神経が酸化ストレスの影響を受けて、高血圧や不整脈の原因になります。さらにはアルツハイマーの引き金にもなりかねません。
そうならないためにも、「よい睡眠」の確保が必要になってきます。
「気持ちよく眠れた」が大切
「今日はよく眠れた」と感じるときは、眠りの質が良好ですが、「たっぷり寝たはずなのに、まだ眠い」と感じるときは、「よい睡眠」ではないと言えるでしょう。何よりも「気持ちよく眠れた」と感じることが大切です。
基本的には「毎日7時間は寝る」「夜11時に寝て、朝6時に起きる」と目安を決めることから始めます。必ずしもそのとおりにはいかないと思いますが、寝るときにそう念じるだけでも、意識は変わってきます。
仕事などで忙しく、まとまった睡眠時間を確保できない人は、週に一度「睡眠の日」をつくってみましょう。その日は昼間に意識的に運動量を増やし、寝る前のメールチェックを控え、スムーズに眠れるよう心がけましょう。
週に一度は「睡眠の日」を
睡眠不足はさまざまな不調を招く。週に一度はしっかりと睡眠を取る日を決めておこう。とはいえ、長時間眠ればいいというものではない。大事なのはあくまでも睡眠の「質」。昼間に体を動かしたり、寝る前のスマホチェックを控えたりするなどして、良質な睡眠を取れるよう意識したい。
ポイント
睡眠不足は心身に悪影響を与える。イライラしているときにしっかり睡眠を取ると解消することも。
長すぎる睡眠は逆効果
Q:休みの日に“寝だめ”してしまいます
→お答えしましょう!
睡眠時間は長ければ長いほどいいわけではありません。午前0時には寝て、腸を整えるための睡眠の“質”を重視しましょう。
健康によいとされる睡眠時間は、6.5~7.4時間と言われています。
睡眠時間が短いことは健康に悪いイメージがありますが、じつは、睡眠時間が5時間以下の人よりも8時間以上の人のほうが、健康を害するリスクが高くなるというデータがあります。
どんなに睡眠時間が長くても、寝だめのように質の悪い睡眠を取っていたら、体調はなかなか整いません。質の悪い睡眠は、自律神経も乱し、朝起きて鏡を見たら、やつれ切った表情になっていて驚いた、などという話もあります。
若いころは多少の夜更かしも平気ですが、50代以上になったら、夜11時、遅くとも午前0時には就寝するよう心がけましょう。
これは睡眠時間を長く取るのが目的ではなく、腸の消化活動が活発になる午前0時には眠っていたほうがよいためです。
午前0時ごろまでには眠るべし
夕食の3時間後は副交感神経の活性化がピークになり、これがだいたい午前0時ごろ。この時間に安眠できていれば、副交感神経の働きによって、腸内環境が整い、消化・吸収も十分に行われます。
このように質の高い睡眠を取れれば、翌朝は爽やかな気分で目覚められ、快便にもなります。
寝すぎても疲れは取れない?
前日から翌日のお昼頃まで寝ても体調がそれほどすっきりとしない、という経験のある人も多いのでは。日頃の疲れを取ろうと休みの日に長時間“寝だめ”するのは、健康のためには逆効果。もちろん寝不足はよくないが、遅くとも午前0時には寝るなど、睡眠の“質”の向上を心がけたい。
ポイント
日頃の睡眠不足を過度な長時間睡眠で取り戻そうとするのはNG。自律神経の乱れにもつながる。
首のまわりがこると心の不安感が増大
Q:首まわりのこりを解消するにはどうしたらいいですか?
→お答えしましょう!
首の後ろのツボを押して筋肉をほぐし血流を促しましょう。
姿勢の悪さや運動不足にも注意を。
首の筋肉がこって悩んでいる人は、意外に多いはずです。首の筋肉がこると、全身の血流が悪くなり、自律神経に関係する「迷走神経」や「「星状神経節」の働きも低下してしまいます。
迷走神経は副交感神経の線維からできていて、内臓の働きを左右する重要な神経です。首の付け根にある星状神経節も、頭や首、肩などの血液の流れをコントロールしているので、どちらの働きも悪くなると、内臓機能の低下だけではなく、心の不安感も増大させてしまいます。
この状態を改善するには、副交感神経の働きを高める必要があります。リラックスするのが一番ですが、何かとストレスがたまる現代社会では、普段の生活でも交感神経が優位になりがちな状態にあります。
首の筋肉をほぐすと血流もアップ
そこで、首まわりの筋肉をほぐし、血行をよくしましょう。日頃から首の付け根をほぐすことを習慣づければ、副交感神経の働きも高まります(図表2参照)。
また、首全体をホットタオルなどで温めると、迷走神経や首のツボをほぐす効果があり、自律神経のバランスが崩れたことで起こる心身の不調や悪化した腸内環境の改善にもつながります。
首回りのツボを押して副交感神経の働きを高めよう
首の後ろ側の外側から中心に向かって並んでいるツボを、両手の親指で首筋に沿って少しずつ下の方向へずらしながら押していく。こうすることで副交感神経の働きが高まり、血行もよくなる。
ポイント
ツボを押すときはあまり強い力を入れず、心地よく感じるレベルを意識しよう。