+30kgで「血糖値」に異変が…
――ダイエットのきっかけは何だったのでしょうか?
食べることとお酒が大好きで、気の赴くままに過ごしていたら30代に入った頃から徐々に体重が増えていきました。けれど昔からあまり体型にこだわりがなかったこともあり、ダイエットはしてきませんでした。
ところが、コロナ禍で家に籠る生活になったら体重増加に拍車がかかり、気づいたら20代の頃よりも30kg以上太っていたんです。いくら気にしないとは言え、さすがに衝撃を受けましたね。膝の痛みが出たり疲れやすくなったりと、体調もどんどん悪くなっていきました。
それまでも健康診断で脂肪肝の指摘はありましたが、この年は血糖値の項目が再検査になってしまったんです。父親が糖尿病の合併症で亡くなっていることもあって、「これはマズい……」と思ったのがきっかけでダイエットを決意しました。
食生活を“見える化”してエンジン始動
――ダイエットを決意してからはどのように進んだのでしょうか?
まずは正しい情報を知ろうとwebや本を参考に自分なりに調べました。その上で、やはりカロリー収支が重要という点に行き着いたのですが、そもそも自分が毎日何を食べて、どのくらいのカロリーを摂っているのかがわからない。そこで、食事を記録できてカロリーもわかる『あすけん』をダウンロードしました。
最初の2週間は現状を知るために一切制限せず、普段食べているものをそのまま記録してみたんです。そしたら、「私の食事って脂だらけじゃん!」と(笑)。糖質はそこまで多くないものの、脂質がかなりオーバーしていて、たんぱく質やほかの栄養素も不足気味。そして脂質が多くなる理由はお酒とおつまみ、ということまでわかりました。ここまで“見える化”してしまったら、もうやるしかないですよね。
自分を律するのではなく、トリックを仕掛ける
――もともと食べることがお好きと聞きましたが、ダイエット後はどんな食生活になりましたか?
一時期はおいしいものを求めて週5で外食していたほどですが、コロナ禍もあって自炊中心になりました。それまではパスタやパンを好んでよく食べていたけれど、あすけん開始後は栄養バランスを考慮して、ご飯・おかず・お味噌汁という献立スタイルに。未来さん(アプリ内に登場するAI栄養士キャラクター)のアドバイスも参考にしつつ、たんぱく質は足りているか、食物繊維は摂れているか、と意識が変わりましたね。
――大きな変化ですね! 我慢が多くて辛くなったりしませんでしたか?
それが、辛いどころかむしろおもしろいと感じました。我慢ばかりだと続かないとわかっていたので、最初から「どうしたら自分が満足できるか?」を意識して行動したんです。自分を律するのではなく、トリックを仕掛けるイメージです。
例えば、食べたいメニューがあるけどカロリーオーバーするという時は、諦めるのではなく、どうしたら油を使わずにおいしく作れるかとか、どうしたら少量でも満足感が得られるかといったことを工夫して作ります。
おなかが空いたら間食もOK。ただし、ゆで卵や茎わかめ、アーモンドフィッシュ、無脂肪ヨーグルトなど、カロリーや栄養価を考慮したものをいくつか用意しておき、その中から選ぶようにしました。
空腹の時はあれが食べたいこれが食べたいと色々浮かぶのですが、いざ目の前に用意されたおやつを食べると、それはそれでおいしいのでおなかも気持ちも満たされるんですよ。欲望に負けて好き勝手食べてしまわないよう、先に環境を整えておく感じです。
会社にゆで卵を持参して給湯室でもぐもぐ食べることもありましたね(笑)。そんなふうに、どうしたら自分の欲求を満たしながら痩せられるかを考えて動いていました。
――結果もついてきましたか?
はい、会う人会う人に「痩せたね!」と言われるのが嬉しくて。その頃には空腹のメカニズムを調べたり、栄養学の本を読んだりして、痩せる仕組みについて人に語れるほどになっていました。
知識がついたことで食の選び方もずいぶん変わり、しっかり食べながらも順調に痩せていきました。ただ、のめり込み過ぎて体重が落ちるペースが早くなり、周りから心配されるようになってしまったんです。そこからは週に一度は好きなものを食べたりして、少しペースを落としました。それでも緩やかに痩せ続け、最終的には約1年で25kg落ちました。
――25kgはすごいですね! どんな変化がありましたか?
体が軽くなったのはもちろん、いつも診てもらっている病院で血液検査をしてみたら、オールAになっていたんです。ダイエットのきっかけとなった血糖値も問題なし。これにはホッとしましたね。長年指摘されてきた脂肪肝も消え、以前感じていたような疲れやすさもなくなりました。お医者さんもびっくりです。
ただ、25kg痩せても膝の痛みが治らなくて……。これは筋肉をつけない限り解決しないとわかったので、筋トレを始めました。最初はパーソナルトレーニングで体の動かし方やマシンの使い方を教わり、現在は週3~4回で24時間ジムにも通っています。その効果もあり、最近は筋肉量がアップして体つきも変化してきています。
あすけんは究極の自分育成ゲーム
――ダイエットにあすけんを上手く活用いただきましたが、続けるうえで何かコツはありますか?
私にとってあすけんは、自分が主人公のゲームなんです。足りない栄養素があれば、未来さんのアドバイスや自分でも調べて次の食事で活かしたり、運動をしたら健康度が上がることを発見して習慣化したり。
高得点が出るとやる気が出ますし、たまにお酒の量が多くなると、未来さんに「こんなに飲んで驚きました……」とか言われるんですけど、うっさいわ! と心の中で思っています(笑)。そんな口うるさい未来さんとの“攻防”も含め、あすけんをどう攻略しようか考えるのが楽しいですね。そして何より、自分が変わっていくことが喜びになっています。
――未来さんとの攻防ですか(笑)。やりとりを楽しんでいるのが伝わってきます。ほかにはありますか?
ダイエットを始めて半年くらいたった頃、順調に痩せていたこともあり、あすけんで日記を書き始めたんです。そうしたら同じ悩みを経験している方と出会って情報交換したり、お互い励ましあったりと、世界が広がりました。
――日記にはどんなことを書くんですか?
週に3~4日は何かしら書いてますね。食事や運動の記録とあわせて日常のできごとをつぶやくと、それに対してゆる~いコメントが届いたり(笑)。「いいね」を気にする世界でもないので格好つけて発信する必要もないし、ほかのユーザーさんとの距離感も丁度よく、心地がいいんです。
それに住んでいる場所や生活環境などが全然違っても、ダイエットという共通の目標があるので、自然と繋がりが生まれやすいのかなと思います。リアルの世界だけではきっと知り合えなかったような方と日記を通じて交流できるのは楽しみの1つになっていて、いつか実際にお会いできたらいいなと思っています。
――これから実現したいことや夢などはありますか?
私の人生にお酒とおいしい食事、それを一緒に楽しむ仲間というのは欠かせないものなので、健康に気をつけながら、今後も楽しんでいきたいと思っています。
たまに食べすぎて体重が増える時もありますが、食事管理で痩せられるとわかってからは日々の細かな体重増減を気にしなくなりました。あまり数字に執着しすぎると気持ちがつらくなりますよね。どんな体型であれ自分がポジティブに過ごせるのが一番なので、あまりストイックになり過ぎずにやっていきたいです。
取材・執筆/城石愛