コロナで派遣切り、体重は人生MAXの82kg!
――『あすけん』を使い始めたきっかけを教えてください。
10年ほど前、新婚旅行で体重が増えたのをきっかけにレコーディングダイエットをしようと思い、スマートフォンで記録できるものを探した時に出会ったのが『あすけん』でした。その頃のあすけんは今と比べると機能も少なく、使い勝手もあまり良くなかったのですが(笑)、食べたものと1日の総摂取カロリーを把握できればいいや、という軽い気持ちで始めたんです。
ある程度は体重が落ちたのですが、その後、不妊治療に取り組んだりしているうちにダイエットへの興味が薄れてしまい、リバウンド。あすけんアプリはダウンロードしたままでしたが、だんだんと使わなくなっていきました。
――それから再びあすけんを使うようになったのは、なぜだったのでしょう?
38歳になった時、妊活もうまくいかず、コロナで派遣切りにあって職も失い、おまけに体重は人生MAXの82kg! 自分は何ひとつ成し遂げられていない……という思いに苛まれ、自信もどんどんなくなっていきました。その状況を変えたいという気持ちから、本気でダイエットを決意したんです。
社会的な理由や年齢の問題など、自分でコントロールできないことは数多くあるけれど、ダイエットは違う。自分の努力次第でなんとかなる、という思いから、携帯に入ったままだったあすけんをもう一度信じてみることにしました。
「食べてないのに太るのはなぜ?」の疑問が解消
――あすけん再開後はどのように活用しましたか?
「健康度(※)」に注目しました。とにかく“100点”を目指す、というわかりやすい目標を置いたんです。100点を取っても痩せられないのなら、それはもう私ではなく、あすけんが悪いんでしょう、と(笑)。
それまでも食事は節制してきたつもりだったので、「食べてないのに太るのはなぜなんだろう?」と不思議で仕方なかったんです。でも、あすけんで栄養バランスを見るうちに、これは太るはずだと納得。
いざ痩せたいと思っても、自分の食生活で何が過剰で、何が不足しているのかを理解できている人はほとんどいないんじゃないでしょうか。あすけんを使うとそれがわかるので、私は“ガイドライン”だと思っています。
世の中にはさまざまなダイエット情報が溢れているので、どれを取り入れるか迷いがちですが、新しいことを始める前にまずは現状を正しく把握する、というのが大切だと実感しました。
――100点を取るために行った工夫があれば教えてください!
最初は良い食事がどんなものか全くわからなかったので、スーパーでよく買う食材をそのまま入力してみたんです。鶏もも肉100gだと栄養はこうだけど、むね肉だとこう、と感覚をつかむ感じですね。
ほかにも野菜などを入れてみて、適正値になったらその食材で料理するんです。味は二の次で、まずは健康的な食材の組み合わせを知るところから。
最初から何もかも完璧にやろうとするとくじけるので、レンジで蒸してドレッシングをかけるだけなど、料理のハードルを下げたのも続けられたポイントだと思っています。ずっと蒸しただけだと当たり前ですが飽きてくるので(笑)、そのうち調理も工夫するようになり、自然とバリエーションが広がっていきました。
あとはバランスの良いメニューを1つでも覚えておいて、悩んだらとりあえずそれを作るという手もあります。私も最初の頃は頻繁に作るメニューがあり、よく助けられました。
――ダイエットは順調に進みましたか?
100点を目指す生活を始めて1カ月くらいで、「あれ? 食欲が安定しているな」と気づきました。それまでのダイエットでは、目標体重を達成したら爆食いしてやる! とか、常に我慢をしていたのですが、今回はそれがなく、メンタルも調子がいい。そんな出来事から、食事がもたらす影響力の強さを感じ、この方法でいいんだという確信が持てたのは大きかったです。
あとは運動ですね。当時はジムに行くために1回痩せたい……というようなメンタリティーだったので、自宅トレーニングに絞り、YouTubeなどを参考にできることから始めました。その時、とにかく3カ月は続けようと決めたんです。
最初はやる気に満ち溢れていますが、モチベーションが下がってくると続けるのがしんどくなる。それがわかっているので、最初からハードルをめちゃくちゃ下げて、たとえ1日10秒でも続けることを優先したんです。
すると、内容はさておき、継続できたことが自信となって「1カ月できたから、もう1カ月やってみるか」と続けてこられました。経験上、週に4日以上を3カ月維持できたら、習慣化に成功しやすいのではないかと思います。
努力している自分のことは肯定できる
――その結果、1年間で24kgもの減量に成功したんですね! お話を聞いていると、自分を褒めて認めてあげるのが大事という印象を受けますが、もともとそういうのが得意だったのでしょうか?
全然そんなことありません。もとは明るい性格だったと思うのですが、太り始めてからはとにかく自分に自信がなく、他人と比較することもしばしば。仕事をしていない、子どももいない、しかも太っている。私ってなんてつまらない人間なんだろう……と落ち込んだものです。
脂肪が本来の自分を覆い隠していたんでしょうね(笑)。それがダイエットに取り組んだことで、「私やればできるじゃん」と少しずつ自信を取り戻していった気がします。
今はどんな外見でもありのままで美しい、という考え方がありますよね。コンプレックスを受け入れてポジティブに生きられたらすごく素敵だし、そう思えるのが一番いいと思うんです。けど実際は、その考えに到達できる人はそんなに多くないんじゃないかなって。
コンプレックスのせいでやりたいことを我慢したり、ネガティブな気持ちになってしまうのだとしたら、自分で変えるしかない。どちらを選択するかはその人次第ですが、私の場合は自分を変えたくて行動したら、自信がついて本来の自分に戻ったというわけです。
それでもまだ完璧とはいきませんが、嫌で仕方なかったコンプレックスも、努力することで徐々に受け入れられるようになったのは発見でした。どれだけトレーニングしてもお尻だけは下がったままなのですが、「お前はいつまでも上がらないな!」とかわいく思えるようになりました(笑)。努力している自分のことは肯定できるので、気持ちに余裕が生まれたんでしょうね。
ダイエットで得た一生の財産
――これからの目標や、実現したいことはありますか?
この先、更年期など、自分ではどうにもできない力で体やメンタルが変化する時期を迎えると思うので、できるだけ土台の健康を整えておこうと思っています。それには食事管理が不可欠ですが、ダイエットを通じて、自分の体をコントロールする方法が少しでもわかったのは大きな財産ですね。
また、現在Instagramなど多くのフォロワーさんがいてくれるので、ダイエットに関する情報発信も引き続き頑張っていきたいと思っています! あの頃の私のように痩せたくても何をしたら良いかわからない、うまくいかないなどの悩みを持った方々に、自分の経験が少しでも役立ったらうれしいです。
※健康度:あすけん内で、食べたメニューや運動などの生活内容を記録すると、その内容を判定して算出される総合点数のこと
38歳の時、派遣切りをきっかけに一念発起して「人生最後のダイエット」を決行。 82kg・体脂肪率43%から、1年で58kg・体脂肪率27%へ。その成功体験を発信し、SNS総フォロワー数12万以上の人気インフルエンサーに。
取材・執筆/城石愛