※本稿は、中谷充宏『30代後半~40代のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)の一部を再編集したものです。
あなたよりかなり若い社員が多いので、やりづらいと思いますよ
根拠のない「大丈夫です」は聞きたくないからね
若手の育成が求められていることを理解してるかな?
こうした圧迫系の質問には、絶対に感情的にならずに理路整然と打ち返すのが必須です。
確かにジェネレーションギャップがあれば、やりにくい部分もあるでしょうが、たとえば「前職でも20代の社員とタッグを組んで現場を回っていましたし、その経験から若手の思考や行動の特性を把握しているつもりなので、大丈夫です」といった、今まで若手と一緒に仕事をした経験やエピソードなどを交えて、問題ないことをPRしてください。
ミドルですから、「若手と一緒に楽しくやる」より、若手の模範となり、育成指導していく役割が求められます。その点にも触れていくとよいでしょう。
たとえば「もちろん、若手と楽しくやるのは良いのですが、仲良しクラブではいけません。彼らはまだ未熟なので、年長者である我々世代が、仕事の進め方やプロ意識を見せていかないとと思っています」といった感じです。
なお、「異性が多いので、やりづらいのでは?」という類似質問もあります。
いずれにせよ、どんな人に囲まれても柔軟にやっていける環境適応力があることを証明しましょう。
たとえばこういう人の場合
45歳男性、大卒。今まで新卒入社した1社に勤務。今回は2社目の転職で、同業種・同職種への応募。
NG!
↑若手と一緒に戯れる人を求めているわけではありません。
OK!
確かにやりづらい面はあろうかと思います。10も20も年が離れていると、やはり考え方や価値観も違って当然です。
しかし仕事ですから、若者であろうと異性だろうと『合わないからやりにくい』では前に進まないことを承知しています。
前職でも、我々の年代と違ってマイペースな若手社員達と一緒に仕事をした経験がありますが、接していくうちに、彼らには彼らなりの仕事への向き合い方があることを知りました。
だから我々の価値観を一方的に押し付けることなく、良好なコミュニケーションをとり、彼らの意向も踏まえながら一流の職業人に育て上げていくというのも、私のような世代の使命だと思っています。ぜひ御社でも、その役割を積極的に担っていきたいと思います。
↑面接官の指摘を一旦受け止めた後に、きちんと持論を展開して反駁していくことは、圧迫系の質問では大事なことです。「問題ありません」一辺倒ではなく、育成という付加価値をPRすることで、入社後の期待度がより高まります。
上司が年下になりますが、やっていけますか?
不安気な素振りや回答をするなら採用は難しいよ
やっていけるのは当然として、根拠を具体的に説明してね
当然のことながら、大半の人は「やっていけます」と答えます。
しかし、それだけでは不十分です。具体的なエピソードや事例を用いて、面接官を納得させる証明をしなければなりません。
既に同じような経験があれば、それを根拠に証明すれば良いでしょう。「前職でも直属の上司は5つ下でしたが、何の支障もなく業務を遂行しておりました」といった感じです。
未経験の場合は、前職での他の社員の例や他企業の例、社会全般の話に触れて、自身の「やっていく」という強い決意、覚悟を語るのが良いことになります。
たとえば「私は今までそういった経験はありませんが、今や年功序列ではなく成果主義、能力主義が主流です。若くても力があれば上席に就くのは当然のことと認識しています。上司の年齢で、自分の業務パフォーマンスが変わることはあってはならないし、そうしないとここで確約いたします」といった感じです。
いずれにせよ、面接官が不安に思う回答はNG。堂々と自信を持って語ってください。
たとえばこういう人の場合
43歳男性、大卒。現在まで新卒入社した1社にて勤務。今回は2社目の転職で、同業種・同職種への応募。
NG!
↑不安感が残る回答は、よろしくありません。
OK!
はい、そのような状況下でも、しっかりやっていく覚悟があります。
たまたま、私はまだ年下の上司に仕えたことはありませんが、前職でも早い人は35歳くらいで部長に昇進していましたし、私の同期社員も10歳若い課長の下で働いていました。
今や年齢の差はもちろんのこと、性別や国籍が違っても、能力があれば上席に就いていておかしくないし、むしろそれが普通なのだと思います。
上司が誰であっても、きちんとコミュニケーションを図って指示を受け、自分の職務を遂行する、それに尽きると思います。
↑未経験の場合は、いかに事例を盛り込めるかがポイントです。
前職の同期社員や性別、国籍の話などを引き合いに出し、最後は仕事への取り組み姿勢でまとめる構成であれば、面接官も不安に感じないでしょう。
転職回数が多いようですが、当社もすぐに辞めるのでは?
くどくど弁明しなくていいよ
要因分析、反省、覚悟を聞かせてほしい
この年代なら、転職回数が多い人は、決して珍しくありません。
ただ、やはりその多さがネガティブ要素であることは、間違いありません。
だからここは、「多さ」の要因とそれに対する反省の弁、そして「次は絶対に辞めない」という強い覚悟の3つを盛り込むことが必須です。
たとえば「若い頃は、会社に不満があると、次を探せばいいやという感覚で安易に転職を繰り返しておりました」というように、転職回数の多さの要因を分析します。
そして「今振り返ると、若気の至りとはいえ、当時の勤務先にはずいぶん迷惑をかけたし、もっと腰を据えて仕事をすべきだったと猛省しています」と、真摯な反省を述べます。
最後に「転職回数の多さと年齢の高さから転職活動は苦戦していますが、御社でチャンスを頂けるなら、同じ過ちは絶対に繰り返さず全身全霊で仕事に励みます」と、強い覚悟を語ります。
なお、転職回数の多さについて、ミドルが言い訳がましく長々と弁明するのは最もみっともないことです。絶対にやめましょう。
たとえばこういう人の場合
49歳男性、大卒。今まで6社に勤務経験あり。今回は7社目の転職で、同業種・同職種への応募。
NG!
↑くどくどと弁明しても、聞き苦しいだけです。
OK!
確かに、過去の転職の多さについては、自覚しております。今まで全てが自己都合退職での転職ですので、堪え性がないのではと懸念されるのももっともで、真摯に反省するしかありません。
50代を目前に控えた今、子供も大きくなり、もう家族を不安にさせるようなことはしたくありません。転職回数の多さと年齢の高さから、再就職活動は苦戦続きで失業期間が長くなってきました。もはや、甘えや泣き言をこぼしている余裕すらありませんし、退路を断って歯を食いしばって働くしかないと腹を括っています。もし御社にチャンスを頂けましたら、ありがたさを噛みしめて、一生懸命働く覚悟です。
↑転職回数の多さの要因にサラッと触れ反省を語り、今の偽らざる心境から、入社が叶ったら全身全霊で仕事に邁進する覚悟を語ると、回答構成の3つの要素を満たしており、非常に説得力が高いです。
今回、不採用になったらどうしますか?
改めて当社への想いを聞かせてほしい
(不採用後の)具体的な説明はいらないよ
これは「圧迫系」の最たるもので、かなり意地悪な質問です。特にミドルの場合、切迫した状況に追い込まれている人も多いので、精神的に動揺しがちです。
しかし、これはあくまで仮定の話。転職に大苦戦していたとしても、落ち着いて対処してください。
ある意味で、これは典型的な「裏を読まないといけない質問」と言えます。
面接官は、不採用後の具体的な取り組み、つまり「残念ですが、そうなったら他を探します」といった回答を求めているのではありません。
「今までとは違った角度から、当社への熱い想いを伝えてもらいたい。冷やかし応募でないなら、語れるはずだ」と思っているのです。
たとえば「不採用は、今は全く考えられません。御社の経理課長職として、制度会計はもちろんのこと、経営分析をはじめとした管理会計に携わりたい一心で応募させて頂きました。そして企業研究を念入りに行うなど、徹底的に準備をしてきました。だからそうした最悪の事態を想像したくはありません」というように、志望動機やそれを補完する追加エピソードなどを交えて、これがラストチャンスだと言わんばかりの、応募企業への熱い想いを語る必要があるのです。
たとえばこういう人の場合
38歳男性、大卒。新卒入社した1社に在職中(スーパーバイザー職)。今回は2社目の転職で、異業種・同職種への応募。
NG!
↑間違いではありませんが、ここは応募企業への想いを語ってください。
OK!
いま私は、御社で働くことしか考えておりません。御社のスーパーバイザー職に就きたいという強い想いで、今回応募させて頂いた次第です。
これからますます拡大していく御社のフランチャイズチェーンで、私が培ってきたSVのノウハウを活かし、そのスピード感やダイナミズムを現場で感じ取りたいと熱望しております。
もし願いが叶わない場合、現実的には現職でSV職を続けることになりますが、今は想定したくないし、この大切な面接中に想定すべきでもないと考えています。
最後に、御社で働きたい気持ちは誰にも負けない決意でこの面接に臨んでいる、ということを改めて強調させてください。
↑動揺せずに落ち着いて回答することが必須です。
その上で、今まで語れなかったエピソードを交える等、応募企業への熱い想いを改めてぶつけてください。