トップが本気になれば、女性活躍は成る。女性の意識を変え、道筋を整えることが大切
「2030(ニイマルサンマル)」達成期限が迫る。民間企業では各役職ごとの女性割合の成果目標は、部長相当職で10%、課長相当職15%、係長相当職25%とされているが、2019年6月、内閣府発表の資料によると、現状は部長相当職6.6%、課長相当職11.2%、係長相当職18.3%と、依然目標値に及ばない。しかし、女性登用を積極的に進める「なでしこ銘柄」「えるぼし」認定企業での進捗具合はどうだろうか。
女性社員比率46.7%のみずほフィナンシャルグループでは「19年7月までに女性管理職比率を30%以上に」と独自の目標を打ち立て、28.2%まで到達。一方、女性社員比率23.4%のLIXILでは、持続的に女性管理職を輩出できるよう、人材育成の基盤づくりをするとともに、女性の定期採用を30%以上に設定した。
一方、管理職就任を尻込みする女性が多い中、SCSKでは役員をはじめとする会社側の期待度を管理職候補の女性に直接伝えるなど、コミュニケーションを密に取り、候補者のモチベーションを上げる取り組みが行われている。各企業とも、目標値達成に向け、さまざまな施策を展開しているが、女性管理職比率はそれらの結果でしかない。
※ニイマルサンマル=2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にするという政府目標。 成果目標=政府全体で達成をめざす水準として、民間企業に割り当てられた数値。
女性活躍推進への理解を促したのが花王
トップの発言と行動をもとに、現場での女性活躍推進への理解を促したのが花王。SCSKは女性の積極登用に向け、意識改革を行うため、役員以下管理職のマネジメント層向けに研修を行った。現場の意識改革にはトップダウンが有効なよう。
女性管理職比率15%のイオンモールは、仕事と家庭の両立支援制度が浸透した結果、産休・育休から職場復帰する女性が25%増加。13年から連続で「なでしこ銘柄」に選定されているトッパンフォームズは、選定されて以来、女性活躍推進への意識がさらに浸透し、15年に17.6%だった男性社員の育休取得率が、18年には71.8%へと飛躍的にアップした。「えるぼし」認定のちばぎん証券に至っては、女性はもちろん、男性の育休取得率も100%に。
配偶者の転勤に伴う離職の可能性も視野に入れ、共働き世帯応援制度を用意した企業も。帝人は配偶者の海外転勤に同行できる休職制度を導入。イオンモールは転勤のある総合職から一般職へ、または勤務地転換を可能にするスイッチング制度を整え、配偶者の転勤による勤務先変更にも対応するようにしている。
今回のアンケートで、各施策が効果を発揮するまで、少なくとも2年、平均4~5年掛かっていることがわかった。「なでしこ銘柄」企業、「えるぼし」認定企業でも目標値到達は難しいよう。ただし、2030が、女性活躍の呼び水となっているのは確かなようだ。