東京タワーやスカイツリー、東京湾、レインボーブリッジ――「TOTO」東京オフィスの24階にある社員食堂からは、すばらしい景色が望めます。さらに、入ったとたんに顔がほころぶ色とりどりのお惣菜コーナーや、保健師が考案する“ヘルスケア・メニュー”など、社員の健康を気遣うメニューが満載。社食をこよなく愛する女性社員2人が、案内してくれました。

就業中でも気分はリッチ

2017年に創立100周年を迎えたTOTOは、住宅設備機器メーカーです。本社は福岡県北九州市。東京のオフィスは、JR浜松町駅から徒歩3分の場所に建つオフィスビル「汐留ビルディング」内にあります。13年、それまで首都圏各地に点在していたオフィスを集約し、同ビルの22~24階に移転。それにともなって、ビルの最上階でもある24階に社員食堂が創設されました。

今回、社員食堂を案内してくれたのは、社食の運営に携わっている東京総務部の梅田佳代さんと、一部のメニューづくりに関わっている保健師の下田理津子さん。「お昼はほぼ毎日、ここ!」という社食好きのお2人です。

食堂エリアは342席を設けた広々としたスペースで、一面ガラス張り。

「東京タワーやスカイツリー、東京湾にレインボーブリッジも見えます。晴れた日には富士山も顔をのぞかせるんです」

梅田さんが満面の笑みで教えてくれたとおり、窓の外に広がる眺望のすばらしさといったら!  同じ汐留地域に建つホテル「コンラッド東京」のレストランは28階……。そう考えると、都会のラグジュアリーホテルから眺めるのとほぼ同じ景色を味わえるのだからうらやましい限りです。

ビル24階にある社員食堂からの眺め。眼下には浜離宮恩賜庭園が広がっています。

彩り豊か。充実のデリコーナー!

汐留ビルディング内のオフィスに在籍する社員数はおよそ1250人。社食の利用率は7割近くを誇り、この日もお昼時間のチャイムが鳴ると大勢の社員たちがやってきました。

食堂内は、バイキング形式のデリコーナー、麺類のコーナー、そして定食のコーナーに分かれていて、どこも大行列。

梅田さんと下田さんも「よく利用する」というデリコーナーは圧巻! ブロッコリーやカリフラワーなど数種の素材を合わせた「野菜ピーナツ和え」、なすとトマト満載の「カポナータ」、紫キャベツの色が映える「ひじきと豆のサラダ」など、彩り豊かでヘルシーなメニューがずらりと並びます。量り売りで、「炭水化物をとらず、お惣菜だけでランチをすませる方もいますよ」と梅田さん。メニュー名を記載したプレートにはカロリーも表示されているので、ダイエット中の人には嬉しいことこの上ありません。

デリコーナーに並ぶメニューは、日替わりで12種類。1g単位の量り売りで、少量ずつ好きなものを選べるシステム。
手前は「カニ風味のタマゴとブロッコリーのタルタル」。野菜をふんだんに使った惣菜が中心ですが、根強い人気の唐揚げも奥にひかえています。

毎週火曜はヘルスケアランチで健康維持

定食コーナーも魅力的です。

「毎日3つの献立が登場します。1つは肉料理がメインの定食。今日は豚肉のスタミナ炒めですね。もう1つは魚の定食で、赤魚の煮つけです。そして最後の1品は、曜日ごとにテーマを設けたスペシャルメニュー」と梅田さん。

たとえば水曜日は、全国各地のご当地素材でつくる「和食メニュー」。木曜日は東北・九州などの食材を使い復興支援を手伝う「つながるランチ」。訪れた火曜日は、健康をテーマに掲げる「ヘルスケアランチ」でした。

この日のヘルスケア・メニューは、たっぷりの野菜と豚肉を入れた「しびれ鍋セット」。献立レシピ考案に携わっている保健師の下田さん曰く、「インフルエンザ予防のためのメニューです。舌がヒリヒリするくらい生姜と粉山椒をきかせているので、体が温まり、免疫力アップにつながります」。

確かに、食べはじめた直後から体がポカポカ。しかも、素材のだしがしっかりきいていて、満足度の高いおいしさです。

白菜、ニラ、長ネギなどの野菜が210g入った「しびれ鍋セット」。ヘルシーかつボリューミー!
身のしっとりとした「赤魚の煮つけ定食」。ご飯、味噌汁付き。自宅で魚を食べる機会がないという社員たちに魚の定食は好評。

さりげなく体調を気遣える場所

ヘルスケアランチに合わせ、各テーブルの上にはインフルエンザ予防に効果のある食材情報をまとめたプレートを設置。食堂の中央には血圧計も置いてあり、社食に来るだけでさりげなく健康を意識できるよう工夫がこらされています。

「わが社は、会社ぐるみで社員の健康増進に力を入れているんです」と下田さん。保健師としてふだんは社員の健康診断をはじめ、検診結果が悪かった人への個別面談を行ったり、メンタル相談にのったり。健康がらみのイベントも積極的に考案しているというからサポートが手厚い。

社外からの評価も高く、経済産業省と東京証券取引所が主催する「健康経営銘柄」に、15年から5年連続で選定。従業員の健康管理を戦略的に取り組んでいる優良企業として認められているのです。

(左上)社員の健康管理を行う、保健師の下田理津子さん。(左下)東京総務部の梅田佳代さん。食堂の名前「FLATO」は、社員に募り決定。(右)食堂でゆっくり食べる時間がない人のために、入り口で弁当を販売。

職場からいちばん近くにある交流の場

「社食はただ食事をするだけの場所ではない」と話す梅田さん。

「じつはこの社員食堂には、“FLATO”という名前がついているんです。部門や役職の隔たりなくコミュニケーションをとれる場所という意味合いが込められています」

ふだん接する機会がない役員層ともランチを楽しみながら会話ができ、ちょっとした刺激を受けるそう。社長がふらっと訪れることも。社内の懇親会や取引先とのパーティ会場としても利用でき、ライトアップされた都会の夜景を眺めながら親睦を深められる場としても人気です。

また、朝8時からオープンしているカフェや売店も併設されているので、仕事中、気分を変えたいときにひと休みできるのも大きなメリット。リフレッシュ機能も兼ね備えているわけです。

「社食があるおかげで、仕事の生産性が上がる」という梅田さん、下田さんの言葉に、おおいに納得。心身共に豊かになる、オアシスのような社員食堂でした。

食堂の営業時間は11時30分から13時30分。フロアごとに3交代制で利用。みなさん、45分間の休憩時間を有意義に過ごしています。
カフェコーナーは8時から17時30分まで営業。マイカップ持参で訪れ、コーヒーをいれてもらっている社員さんの姿も。