どんなに仕事ができる人でも、管理職を目前にしてつまずくのが社内政治の問題。会社が面白くなる知恵が満載なので、食わず嫌いの人はとくに必読です。

●思い当たる人は社内政治力を磨くべし!
□一生懸命働いているのに、なぜか評価してもらえない
□自分の意見や企画がなかなか通らない
□仕事で意見が対立し、気まずくなることが多い
□何かをするときは、いつも正々堂々と正面からぶつかる
□上司や部下の欠点が許せない
□他部署のことには、はっきり言って関心がない
□人の顔と名前を覚えることが苦手
□世間話をすることが面倒に感じる


▼参議院議員 蓮舫さん
35歳を過ぎたら愛想笑いはやめましょう

先の民進党代表選で勝利し、女性で初めて同党のトップの座に就いた蓮舫議員。

厳しい政治の世界で自分の地位を確立させてきた、その政治力と心構えについて聞いた。

蓮舫●参議院議員。青山学院大学を卒業後、司会やリポーターを経て報道キャスターに。2004年7月の第20回参議院議員選挙(東京都選挙区)で初当選。その後、10年には内閣府特命担当大臣に就任。16年9月に民進党の新代表となる。

「男女平等とはよく言われますが、政治の世界にはまだまだ大きな壁があります。女性は“花”であれという雰囲気があり、いわゆる“お酌文化”というものも根強く残っているように思います。けれど、男性に対してへりくだらなければやりたいことを実現できないのかというと、そうではない。私はお酌もしないし、どちらかといえば昔から注いでもらうキャラ(笑)。そんな態度や振る舞いに対してお怒りになる方もいるかもしれませんが、いかに個人のエッジを立たせられるかが政治には必要。もちろん、お酌をして、そこでいろいろなことを吸収するのもひとつの手。要はキャラを確立して、それを貫き通すことが大切なんです」

とはいえ、自分の考えを強く主張したり、個性を出したりすることはどちらかといえば苦手という人も多いはず。自分に自信が持てない場合はどうすればいいのだろうか。

「100パーセント自信がある人なんていませんよ。たたかれたり批判されたりすることに慣れる人もいない。けれど、ぶつかってでも、間違ってでも主張を続けて、成功と失敗を繰り返すべきだと思います。女性は愛想笑いをして自分の気持ちを押し込める人が多いでしょう? でも、それが通用するのは30代前半まで。そこから先も働き続けたいのなら、愛想笑いで逃げないで、自分というものをしっかりと出していかないと。そうすると、今度は笑わないと『怒っているの?』と心配されて、ちょっと笑うと『何かあったの!?』と周りから言われる(笑)。そこまでいったら成功ですよ」

素の自分は武器になる。「私なんて……」と気後れすることなく、正直に行動すればいいのだ。

▼大学非常勤講師 関下昌代さん
会社組織ほど面白いものはない

「社内政治力」というと重たく腹黒いイメージで、男性と選ばれた一部のバリキャリ女性にしか関係のない話と思う人もいるだろう。しかし、『伸びる女の社内政治力』などの著者である関下昌代さんは、社内政治力とはそんな大それたことではなく、どんな職種、ポジションの人にも関係することだと言う。

関下昌代●大学非常勤講師。邦銀に就職。1989年、外資系銀行へ転職。法人部などを経て人事部へ。働きながら立教大学大学院へ入学し、09年に異文化コミュニケーション学修士を取得。現在、亜細亜大学非常勤講師。著書に『伸びる女(ひと)と伸び悩む女の習慣』など。

「会社のことをよく知り、敵をつくらず、味方を増やし、自分の居場所を確立して最終的に考えやアイデアを実現していく。これが私の考える社内政治力です。長く、面白く働き続けたいと考えている女性にこそ必要なスキルなんですよ」

では、社内政治力はどうしたら身につくのだろうか。実はその場面は私たちのとても身近なところにある、と関下さん。

「身だしなみを整えることで信頼感を高めるとか、チャーミングな笑顔で積極的にまわりに話しかけるなど、非言語と言語の両方のコミュニケーションがすべて社内政治につながっています。誰しもが無意識のうちに行っているようなことを意識的にやっていくことで、チャンスに恵まれるのです。何も考えないで目の前にある仕事だけにかかりきりになっていてはダメ。職場や仕事をする相手をよく観察して、それに合わせて自分の振る舞いを調整することですね。これができるようになると“会社組織ほど面白いものはない”と、思えるはずです」

仕事に慣れ、余裕が出てきたら社内政治にエネルギーを傾けてみよう。今後の自分のキャリアをより華やかでワクワクできるものに変えることができるかもしれない。

▼まずはこの4つからトライ!

1. 組織の表と裏を知るべし
会社には表からは見えないつながりや関係があるもの。まずは会社を動かすキーパーソンの顔と名前を覚えよう。会社の歴史や過去の情報を知っている社歴の長い人とは、良好な関係を築いておいて。

2. 上司、部下に味方を増やすべし
うまが合わない上司でも、上司を支え手伝うことが自分への信頼につながる。また、部下には自分の苦手なところをオープンにして。やりたい仕事をするためには、フォロワーシップは不可欠。

3. 女性を敵に回すべからず
女の敵は女であることを女性はこれまでの体験から知っているはず。無神経なひと言や態度は反感を買うので、職場では発する言葉にも配慮を。幸せなプライベートは明かさないほうがベター。

4. 存在感のある女性を目指すべし
会社に貢献して一目置かれる存在になると、あらゆる場面で影響力、主導権を握ることができるように。さらに仕事ができるだけでなく、女性らしさを兼ね備えた品格のある女性になれれば無敵だ。