ブルボンヌさん(女装パフォーマー)、光浦靖子さん(タレント)、松本晃さん(カルビー会長兼CEO)が、交代でお悩みに回答する本連載。仕事や私生活でモヤモヤしていることを一緒に解決してくれます。今回の回答者は松本晃さんです。

【今回のご相談】
勤務先では今、女性の管理職比率をあげるため、入社12年目以上の女性社員に声がけしています。そんな中、大した実績もない女性にお鉢が回ってきて、あっさり昇進。苦労の末に管理職になった私としては複雑な気分です。数値目標ありきの、不公平な女性活用に疑問を覚えます。[43歳・住宅販売・匿名希望]

ビジネスは結果がすべて。新しい勝負に挑んでさらに上を目指しましょう

組織においては、一見、不公平にみえることが、往々にして起きるものです。上の人が自分の気に入っている部下を昇進させると、周囲は不満を抱きます。上に対して「あの人は好き嫌いで決めるから」と眉をひそめ、抜てきされた人には「あいつは上の覚えがめでたいから」と陰口を言いますね。とくに、自分より年下の人が選ばれると面白くない。

松本 晃●1947年京都府生まれ。京都大学大学院修了後、伊藤忠商事に入社。ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人社長、同最高顧問などを経て、2009年よりカルビー代表取締役会長兼CEO。

あなたも、自分より若い社員が何の苦労もなしに昇進したことに不満がある。要するに、嫉妬ですよね。

気持ちはわかりますが、世の中で一番つまらないのは嫉妬することだと思います。

同僚と居酒屋に行って、「何であんな人が選ばれるの」「実力もないのに、ずうずうしいよね」とケチをつけていれば一時は気が晴れるかもしれませんが、まったく生産性がありません。そんなことをしている暇があったら、自分のやるべきことをちゃんとやったほうがよいのではないでしょうか。

ビジネスの世界は結果がすべてです。

「あんな人に管理職はつとまらない。私のほうが優秀だ」と思うのなら、それを結果にして見せていくしかありません。

年齢から察するに、たぶんあなたはミドルマネジャー、課長クラスでしょうか。だったら、まだ上を目指す余地がある。あなたの会社は、女性を活用しようという方針なのですから、その流れに乗って自分の力をさらにアピールすればいい。新しい勝負はもう始まっているんですよ。

大した実績のない人にまでお鉢が回ってきて不公平だとあなたは言うけれど、それは実際にやらせてみないことにはわからない。会社はその人の可能性に賭け、その人はチャンスをつかんだ。そこで結果を出せれば、その人の勝ちなんですよ。

選ばれた人は、もう結果を出すしかない状況に追い込まれている。それで結果を出せればよし、出せなかったら元のポジションに戻されるだけのことです。

ただ、いったん上げた人を下げることなく、温情で残すというのもよくある話です。結果を出せない人を管理職のまま置いておくと、社員のモチベーションがどんどん下がって、組織が駄目になっていきます。

「もうこの会社は駄目だ」と思ったら、あなたは辞めていい。同じ組織に永久に縛られる必要はないのです。本当に力があれば、あなたを買ってくれる会社がきっとあるはずです。

中津川詔子=構成 冨田寿一郎=撮影