上司という立場になると、部下を注意したり叱ったりする機会が増えます。しかし、人を叱るというのは難しいもの。厳しすぎれば距離が生まれ、逆に優しすぎると効果がありません。部下との関係をこじらせず、効果のある「いい叱り方」とはいったいどのようなものなのでしょうか。叱られる側、叱る側、それぞれの立場にある働く女性に話を聞きました。
Case.1 質問を交えて原因・対策を考えさせる
「私はミスをしたとき『叱られる!』という恐怖心でパニック状態になってしまうタイプです。それを分かっている上司は、落ち着いた声で『このミスの原因は何だろう?』『再発防止にはどんな方法がある?』と、一つ一つ質問をしてくれました。質問に答えていくうちに冷静さを取り戻し、何が悪かったのか、今後はどうすべきか分かるように。おかげで仕事のやり方も見直すことができました」(25歳/IT)
ミスをしたことへの戸惑いや叱られることに対する恐怖で平常心を保てない場合があります。そんなときに叱られても頭の中でうまく処理できないもの。叱る側は感情的にならず、落ち着いて質問を進め、相手を冷静にさせたり、頭の中を整理させたりすることも大切なのですね。
Case.2 相手を認めながら叱る
「作業を間違えて上司に叱られていたとき、『◯◯まではこうしていたんだよね、そこまでは正しい作業だよ』と、途中までの作業は認めてくれました。叱られるときは全否定されているような気持ちになりますが、こうやって部分的に認められていれば自信喪失して仕事が怖くなるということもありません。『上司にもっと認められるよう頑張ろう!』と、やる気が出てきます」(31歳/製造)
ミスをしたからといって、全てが悪かったというわけでもないでしょう。よかった部分はよかったと認めてもらえれば、仕事へのやる気も継続できます。叱るときはあくまでミスをした部分だけ、と心得ましょう。
Case.3 最後に必ず励ましの言葉を添える
「私の上司は叱った後に必ず『ミスは誰にでもあること。ミスが起こらないようにバックアップするから、次は気を付けましょう』『今回は残念だけれど、◯◯さんはいつも頑張ってくれているから、これにめげず引き続き頑張ってね』と、励ましてくれます。この一言で『よし、次こそは!』と前向きな気持ちになり、ミスを引きずることなく仕事ができました」(31歳/アパレル)
叱られると気分が落ち込み、次の仕事に影響が出てしまうことも。しかし、最後に励まされれば前向きな気持ちになれます。落ち込んだままでは、またミスをする可能性もありますので、前向きに気持ちを切り替えられる一言は大切ですね。
Case.4 周囲に分からないように2人だけのときに叱る
「仕事ができないのに、プライドだけは高いという部下もいます。そういう部下は人前で叱ると逆ギレしたり反省しなかったりするので、2人だけの環境を作って話すように心がけています。2人だけなら周囲を気にしなくてもいいですし、そうすると意外と素直に反省するものです。それ以降は気を付けてくれるようになりました」(39歳/外資)
みんなの前で叱る上司もいますが、「恥ずかしい思いをさせられた」と感じる部下もいるでしょう。それでやる気がでるタイプならいいのですが、そうでないなら2人だけのときに叱る方が、効果的ですね。
Case.5 ミスした側の話もしっかり聞く
「一方的に叱らず、できるだけ相手の話も聞くようにしています。聞いているうちに『あの指示の仕方だとそう解釈するのか』『◯◯は私の中で常識だったけれど、彼女の中では違うのね』と、いろいろな発見があります。話を聞くことで本人の不満もある程度解消できますし、こちらも何が悪かったのかよく分かります」(35歳/飲食)
ミスをした当人にも言い分があります。それらをきちんと聞くことで、叱る側にもよくなかった点があると気付く場合もあるでしょう。一方的に叱るだけではなく、相手の主張からミスした理由を理解できれば、自分も再発防止ができますね。
いい叱り方をすることにより、その後、お互いが気持ちよく仕事を進められるので、気を付けたいですね。また、叱り方を間違えれば部下の成長を妨げてしまうことにも。皆さんはどのような叱り方がいいと思いますか?
兵庫県神戸市在住のライター。1984年11月5日生まれ。ライターとは無関係の短大へ進学、一般企業で5年ほど勤めた後にライターへ転身。女性向けウェブ媒体で恋愛コラムを中心に執筆中。