ファッションの街、イタリア・ミラノ。通りにはスーツ姿で颯爽と歩く男性や、シックな装いのマダムが行き交う。そんな中、ひときわ目を引く美女を発見。アパレル会社を経営する1児の母だという。彼女はワーキングマザーとして、どのように「美」を保っているのか? そこには驚愕のオリーブオイル使いの秘密があった。
ミラノ流「働く女性の美しさ」の秘密
ミラノでアパレルの会社を経営するチェレスタ・ピセンティさんは、なんと24歳にして自身のブランドを立ち上げた早熟のビジネスウーマン。現在、36歳の彼女は、今も移り変わりの激しいミラノのファッション業界の第一線で活躍している。同時に30歳の時に不動産会社を営む男性と結婚、現在は4歳の女の子の母でもある。
多忙を極めることこの上ない日々であることは想像に難くないが、ミラノの高級住宅地にある自宅兼アトリエで出迎えてくれた彼女は、にわかには信じられないほどの瑞々しい若さで溢れていた。
「ボンジョルノ。初めまして。わが家へようこそ」――微笑みながら、ほっそりした手で握手を求めるチェレスタさんの姿は優雅そのもの。さらさらと揺れるブルネットの髪、決して厚化粧ではないのにシルキーで滑らかな肌、ベイビーピンクのミニスカートからは贅肉のない長い足がすらりと伸びている。一体どうしたら、そんなに美しくいられるの!?
「私はビューティーとヘルスが大好きなの」と語る彼女に、さっそく、ミラノ流・働く女性の美しさの秘密を教えてもらった。
「私が一番気をつけているのは食事ですね」。開口一番にチェレスタさんが教えてくれたのは、やはり食べ物のことだった。「まず炭水化物はほとんど摂りません」
パ、パスタも? イタリア女性からの思わぬ告白につい聞き返すと、「そうですね。最近はミラネーゼでもパスタを控える人がとても多いんです。やっぱり太ってしまうので」麺王国イタリアといえど、やはり炭水化物ダイエットが流行らしい。
「でも、オリーブオイルはたっぷり摂りますよ。わが家では2カ月で5リットル使うんです」
2カ月で5リットル! 炭水化物を控えて、良質のオイルはたっぷり摂取するのは、昨今のヘルス・トレンドの大きな潮流だが、それにしてもその量は破格だ。では、どのようにして使うのか。
オリーブオイルは「非加熱」使いが決め手
「炒め物や煮物など、加熱する料理に使うのではなく、なるべく生で、そのまま直接かけて使うようにしています。私はサラダをたくさん食べるので、その時に使うことが一番多いですね。フィオッキ(ういきょう)や胡桃、セロリなどが特に好きです。チキンを入れることもありますよ」
サラダのドレッシングには、オイルの他にどんな調味料を使うのだろう。「夫はオリーブオイルにバルサミコ酢、塩を入れますが、私はオイルと胡椒だけ。塩も酢も入れないんです」
チェレスタさんが愛用するのは、ミラノにほど近いイタリア最大の湖、ガルダ湖近辺で搾油されたエキストラバージンオリーブオイル。マイルドで繊細な味わいは、良質なので、塩や酢を入れなくても物足りなさはないのだそうだ。
また、彼女が繰り返し言っていたのは、「重たくなるのが嫌」ということ。オリーブオイルで加熱料理などしないのも、オイルが「重たくなる」からだと言う。美と健康のために、ライトな食生活を心掛けるチェレスタさんの1日の食生活はこうだ。
朝はトーストと卵、昼はお米と野菜、夜は肉と野菜。おやつはフルーツで、料理に砂糖は一切使わない。1日1.5リットルの水を飲み、コーヒーは朝だけ。さらにお酒は飲まない。
「ミラノは伝統的にバターを多く使う土地なのですが、私はバターではなくオリーブオイルを使うようにしています」。さすが、美に敏感なミラネーゼ。かなりストイックな食生活だ。塩や酢、砂糖など強い味付けを避けて、なるべく薄味を心掛けているのもポイントだろう。
ちなみに、4歳の娘さんにもなるべく生のオリーブオイルをあげるようにしているとのこと。「ミネストローネなどにたっぷり入れてあげるんですよ」
未来の美女はこうして育てられているのだ。
オリーブオイル美容法でやわらか美肌をキープ
加えて、チェレスタさんは美容にもオリーブオイルをふんだんに使うのだと教えてくれた。「オリーブオイルはそのまま肌につけてもよいんですよ。例えば、お風呂から出た後に、オイルを垂らしたお湯を体になじませて一度洗い流す。そして、もう一度、今度はオイルをポンポンと肌に叩くようにしてつけていく。週2回くらいこうすると、肌がとても柔らかくなります」
他にも、ポレンタ(とうもろこしの粉)にオリーブオイルを混ぜたものをスクラブとして使う、というユニークなお手入れ法も。こちらは週1回程度、肌が乾燥する季節に特にオススメなのだそうだ。こうしたオイル美容法はイタリア女性の間で、最近のトレンドなのだろうか。
「みんながやっているわけではないのですが、私は、通っている自然派のスパのエステティシャンに教えてもらったんですよ。『最高だからぜひやってみて』って」。オイル入りの市販の化粧品もあるが、添加物などが入っていることも多いので、オイルそのものを使う方がよいのだという。ちなみに、肌につけるものも食べるオイルと同じものを使うそうだ。「口に入れるものだったら絶対に安全でしょ?(笑)」
世界のファッションリーダー、ミラネーゼの最新美容法は、とてもオーガニックでシンプルだった。炭水化物、塩、添加物などをなるべく取り除き、ピュアでフレッシュなオリーブオイルから、良質な成分をたっぷり取り込む。なるほど、2カ月で5リットルを消費するのも納得の使いこなしぶりだ。
地中海式ダイエットで“1日スプーン1杯”が叫ばれたのは今や昔。これからはたっぷり“2カ月で5リットル”の時代なのだろう。でも、台所や洗面台に溢れているたくさんの調味料や化粧品が、良質なオリーブオイル一本に取って代わるなら、忙しいビジネスウーマンの時短料理&美容にも朗報か。ニッポンの女性たちよ、ミラネーゼに続け!