近畿通信建設に入社して5年後、社内改革に携わることになった鹿本真由さん。『なぜ会社は変われないのか』にヒントを得て実践したコミュニケーション法とは?

読む時々で線を引く箇所が変わる

1994年に当社の前身である近畿通信建設に入社した私は、経理部で出納を担当していました。5年たった99年、総務、経理、人事など間接業務を集約するシェアード・サービス・センターを設置する改革があり、私もそちらに配属されることになったのです。

その際、会社から幹部に配られた本が『なぜ会社は変われないのか 危機突破の企業風土改革』でした。借りて読んでみると、「文句を言うばかりの評論家が多い」「責任の所在が不明」など組織がかかえる問題がリアルに描写され、「そうそう!」と思うことがいっぱい。面白くて、早速自分用に購入しました。

一番共鳴したのは、「会社を変えるには、気楽にまじめな話をする場(オフサイトミーティング)をつくる」という部分です。他の部門の人たちと話をしてみたい! 若かったので、熱い心で早速上司にかけあい、1泊2日の合宿の実現にこぎ着けました。

鹿本真由さん「社内改革のときに、まじめな雑談を実践。思いもよらない課題がざくざく出てきました。」

最初は衝撃的でした。部門を超えて20人余り参加したのですが、「私たちの会社にはこんな仕事もあったのか」と開眼したような気持ちに。

例えば、当社は日本電信電話(NTT)関連の仕事を主体としていたのですが、それ以外の業務に携わっている社員から「自分たちのことを知ってもらえていない」という意見が出たのです。ほかにも、経理の仕事がすべてだった私にとって思いもよらない課題がたくさん浮かび上がってきましたが、いろんな部署から代表が集まっていたので解決も早かったです。

正直、異動の際は、会社の意図が理解できない不安や、経理部から放り出されたような寂しさもありました。人って変化に弱いじゃないですか。ですから、自分の置かれた場所が変化するときに、この一冊に出会えたことは大きかったです。

それから16年、合併やホールディング化を経て会社の雰囲気は大きく変わりましたが、「まじめな雑談」は、そんな変化のたびに社員がマッチしていくためのツールとしてワークしていった気がしますね。

『なぜ会社は変われないのか』

この本はこれまでに何度も読み返しましたが、読む時々で線を引く箇所が変わるんですよ。一般社員だった頃は、責任をとらない上司の話などに線を引いていましたが、管理職になったときは「部下の話をきちんと聞いていない」ことに気づかされ、いまのポジションになってからは「もっと広く社内の声に耳を傾けなければ」と考えさせられました。

読書からは人生で経験しきれないことを得ることができます。最近、秘書室長になったので、生まれて初めてマナーの本を買いました(笑)。

●好きな書店
丸善日本橋店

●好きな読書の場所
移動中の新幹線

●好きな作家
高田 郁

鹿本真由
ミライト・テクノロジーズ総務部長 秘書室長。
1971年和歌山県生まれ。94年大阪教育大学卒業後、近畿通信建設(現・ミライト・テクノロジーズ)へ入社。2011年ミライト・ホールディングスのエムズ・ブレインセンタ設立に関わり、12年同社財務部担当部長、14年よりミライト・テクノロジーズ総務部長 秘書室長。1級建設業経理士。