あなたはお菓子を自分で作りますか? 最近は男性にも自作派が増えており、お菓子作りの経験がある人は、女性で75.9%、男性で22.7%に上るそうです(出典:「お菓子作りに関する意識調査」株式会社アイシェア、2009年6月調査実施)。
今回は、企業や社会で活躍中の管理栄養士・栄養士171名に行ったアンケート結果を参考に、お菓子を購入する際や作る際に押さえたいポイントについて紹介します。
*作る派? 買う派? 「スイーツ」アンケート
【調査概要】調査手法:インターネットリサーチ、調査対象:管理栄養士・栄養士171名、調査期間:2015年11月19日~2016年1月15日、調査実施機関:食プロリサーチ
Q:お菓子は、“購入するもの”と“自分で作るもの”ならどちらが多いですか。
第1位:購入する方が多い(136人)
第2位:どちらとも言えない(17人)
第3位:自分で作る方が多い(15人)
お菓子は購入する方が手間もかからず、場合によっては安上がりという意見もあり、管理栄養士・栄養士でも「お菓子は購入する」という人が多いという結果になりました。では、購入する際にはどのような点に気を付けているのでしょうか。
Q:市販のお菓子を購入する際、気を付けていることは何ですか?(複数回答可)
第1位:エネルギー量(カロリー)を確認する(68人)
第2位:信頼できるメーカーかどうか(63人)
第3位:小分けになっているかどうか(62人)
1位、2位は「私もそれくらい気をつけている」という人が多いかもしれません。ポイントは3位の「小分け」と1位の「エネルギー量を確認」の組み合わせにあるのです。
間食は1日あたり200kcalまで!
お菓子を食べる際にはカロリーが気になりますよね。日本人が1日に必要なエネルギーや栄養素量の基準が示されている「食事摂取基準(2015年版)」(厚生労働省策定)によると、30~49歳の女性の推定エネルギー必要量(身体活動レベルが普通程度の場合)は2000kcal/日とあります。間食で摂取してもよい範囲はその1割。つまり1日あたり200kcalまでを基本と考えましょう。では、200kcal分のお菓子とはどれくらいなのでしょうか?
■市販のお菓子のエネルギー量(例)
【商品名/カロリー/1日あたり(200kcal)の目安】
・カントリーマアム バニラ(不二家)/56kcal/枚/3枚
・キットカット ミニ(ネスレ日本)/64kcal/枚/3枚(1箱)
・新鮮卵の焼きプリン(オハヨー乳業)/187kcal/1個
・ハッピーターン(亀田製菓)/21kcal/枚/9枚
自分が好きなお菓子について、栄養成分表を見て1日どのくらい食べてもよいのかを計算し、量で覚えておくとカロリーのとり過ぎを防げます。
また袋菓子をついつい1袋食べきってしまったという苦い経験はありませんか。小分けされたお菓子を選ぶことも食べ過ぎ防止になります。ダイエット中や職場のおやつを選ぶ時の重要ポイントですね。
Q:お菓子作りをする際に、おいしさ以外に気にしていることは何ですか?(複数回答可)
第1位:素材の味を生かす(65人)
第2位:食材は安全性重視で選ぶ(51人)
第3位:カロリーを低く抑える(42人)
素材の味を引き出すことが「ヘルシーでおいしい」への近道
お菓子作りの際に管理栄養士・栄養士が重視していることNo.1は、“素材の味を生かす”でした。お菓子作りに限りませんが、ちょっとした工夫で素材そのものの味を引き出せます。それにより、全体のおいしさもグンと上げられますよ。
・旬の食材を使う → 鮮度がよく、栄養価も高い
・かぼちゃやさつまいもなど、もともと甘みがある食材を活用するなどして、砂糖類の使用をできるだけ少なくする → カロリーオフになる
・アーモンドやくるみなどのナッツ類はオーブンでローストする → 風味が増し、食感もよくなる
第2位は“食材を安全性重視で選ぶ”でした。安全性についてはいろいろな観点がありますが、中でも知っておいてほしいのが、農林水産省が発行する「有機JASマーク」。農林水産省のwebサイトを見ると、有機JASマークは「農薬や化学肥料などの化学物質に頼らずに、自然界の力で生産された食品を表しており、農産物、加工食品、飼料および畜産物に付けられています」と書かれています。農薬にも「有機」表示のできるものがあるため、「無農薬」とは異なるのですが、その安全性の高さを農林水産省が認めており、安心して選べる食品なのです。
また「この『有機JASマーク』がない農産物と農産物加工食品に、『有機』、『オーガニック』などの名称の表示や、これと紛らわしい表示を付けることは法律で禁止されています」ともあります。有機JASマークがついている商品にどんなものがあるか、お店で探してみてください。
第3位は“カロリーを低く抑える”でした。そのための最も効果的な方法は、脂質を減らすこと。なぜかというと、脂質は1gあたり9kcal、炭水化物は1gあたり4kcalなので、脂質は炭水化物(糖質)に比べて少しの量でカロリーが高くなってしまうのです。例えば、乳脂肪分がたっぷりの生クリームの代わりに牛乳や豆乳を使うと、カロリーを抑えることができます。最近は、カロリーが生クリームの半分以下の豆乳クリームというものも販売されていますよ。
「普段は忙し過ぎてお菓子作りなんて無理!」という声も聞きますが、自分と大事な人の健康のために、手作り派も購入派も、管理栄養士・栄養士の視点を参考にしてみてください。
今回で連載「管理栄養士・栄養士に聞く!美と健康の秘訣」は最終回となります。ありがとうございました。
食・健康業界で活躍する管理栄養士・栄養士会員4000人に対する調査結果を用いて、食品メーカーなどのマーケティングを支援。アンケート調査、商品モニター、商品体験会などを通して、消費者の課題・ニーズ収集、会員による商品評価、管理栄養士・栄養士に対する認知度アップ支援を行う。