時には厨房にも立つ役員

東京には新しい課題がありました。

会社の組織が、婚礼プロデュース、衣裳、レストランの3つの事業部制から、全国の店舗を東京、北関東、中部、関西の4つにわける支社制へ変更したことに伴い、ドレスショップと婚礼施設との横のつながりを強化することが急務でした。ある日、婚礼施設を回ってみると「ドレスショップを見学したことがない」と言われました。これはまずいと感じました。

ノバレーゼ 取締役営業本部副本部長 植野真理子さん

そこでキッチンのスタッフをドレスショップに研修に行かせ、その逆も経験させたりして、お互いにどんな仕事をやっているか理解させました。すると、お互いに協力し合う体制が生まれてきたのです。

マネジャーも双方から集め、月に一度はミーティングし、「お互いの業務を深く理解しないといけない」という話をし、夜はみんなで飲みに行って(笑)、そのうち団結力が生まれてきました。レストランのお客さまで結婚を予定している方がいらっしゃればドレスショップをご紹介しようとか、逆にドレスショップのお客さまにレストランをご紹介したりして、全員でたくさんのお客さまに幸せになっていただこうという想いを共有しました。

強いきずなが生まれてきたので、仕事も楽しかったですね。

その後、広島に異動します。役員をやりながら広島地区のゼネラルマネジャーも兼務することになったんです。代表からまた「広島だ!」と言われ、「はい、わかりました!」って(笑)。

広島では2店舗同時オープンだったので、本当に忙しかったですね。また、広島は地域のつながりが強くて、社外の方との交際も多くなりました。

店舗の立ち上げのときは役員であっても手伝います。その後、福岡の店舗の立ち上げがありましたが、そのとき、レストランが大変だと言うので私もお手伝いに入りました。私もコックコート着て厨房に入り、「何をやればいいの?」と聞くと、「パセリを600数えてください」って。気が遠くなるような作業でした。ふつうの会社の役員って感じではないですよね(笑)。

何よりも社員を愛せよ

ノバレーゼは男性だから女性だからという雰囲気はなくて、優秀であれば仕事を任せる文化があります。職場環境的にも女性が働きやすいと思います。時短勤務で土日は休みというフレックスキャリア制度もありますから、結婚・出産後も仕事を続けやすいと思います。実際、産休から戻ってくるスタッフもすごく多いですね。昨年からは、有給休暇を100%取得するのが目標にもなりました。

会社がスタートしたころの、徹夜してやりとげるということはなくなりましたね(笑)。

でも私の場合は、仕事最優先ですね。ノバレーゼは代表が「仕事をとことん楽しもう」とつくった会社です。最初、社名まで「ワーカホリック」だったんですよ(笑)。

02年に名古屋のドレスショップのマネジャーになるとき、代表から「すべてをスタッフに捧げなさい。スタッフが心から信頼し、尊敬するマネジャーになるために全力を尽くしなさい」と言われたんです。そのときは疑問に思うこともありましたが、いまは本当にそうだなと思います。

●植野さんのキャリア年表

1998年 シャンテ入社
2001年 ワーカホリック(現・ノバレーゼ)入社
2002年 ノバレーゼ名古屋 デビジョンマネージャー
2005年 婚礼衣裳事業部長
2008年 取締役首都圏支社長
2011年 取締役営業本部長
2014年 取締役営業本部副本部長

■仕事道具
スマホ:スタッフからの電話は24時間対応!