グツグツと鍋を煮込むいい匂いがするキッチンで今日1日の何げない出来事を思い出しながら、じっと出来上がるのを待つ。特別なスープじゃなくても、あったかくなる時間です。パリ留学の経験を持つ料理家の若山曜子さんに、ほっこりスープのレシピを教えていただきます。

どんなに寒い日も熱々のスープさえあれば。食卓も体もほかほかに

日に日に寒さが増すこの時季は温かいものが飲みたくなる。パリ留学の経験を持つ料理家の若山曜子さんは、「とびきり寒いパリの冬をスープで乗り切った」というスープ好き。パリのおいしい野菜に魅せられて、しょっちゅう野菜入りのメニューをつくっていたそう。そんな若山さんが考案してくれたのは、フランスのエッセンスをきかせた野菜たっぷりのスープだ。

「フランスの料理は凝った印象がありますが、日常のものは素朴です」

言葉どおり、家庭料理の定番、ポトフのスープ仕立てはとてもシンプル。数種の野菜と手羽先と塩を鍋に入れてコトコト煮込むだけ。なのに、しみじみと味わい深い。その秘訣(ひけつ)は?

「何かしらの油分を足すのがコツ。手羽先やベーコンなどの肉類、またはバターを少量加えるだけで、野菜の味がぐっと引き立つんです」

体を温める作用を持つにんにくや玉ねぎが入り、体の奥からほかほかになれる。日持ちするので多めにつくって、朝に夜に。ほっこりスープ、召しあがれ。

かぶと手羽先のポトフ風スープ

●主役はジューシーで甘い旬のかぶ。鶏のだしがきいたあっさり塩味

●材料(4人分)
手羽先……4~6本/かぶ……4個/じゃがいも……2個/にんじん……1本/セロリ……1本/玉ねぎ……1個/にんにく……1片/ローリエ……1枚/塩……適量/黒胡椒……適量/マスタード……適量

●作り方
(1)手羽先は関節の部分に包丁の刃を立て、ぐっと力を込めて、関節から先を切り離す(a)。先の部分も一緒に、塩、黒胡椒をまぶし、30分以上置いて味をなじませる。
(2)かぶとじゃがいもは皮をむき、大玉の場合は半分に切る。
(3)にんじんは皮をむいて大きめの乱切りにする。セロリは大きめのざく切りにする。玉ねぎは縦に6等分に切る。にんにくは包丁の腹で潰す。
(4)鍋に、キッチンぺーパーで水気を拭いた1、3、ローリエを入れる。水をひたひたになるまで注ぎ(b)、塩を小さじ2分の1程度加える。
(5)弱火にかけ、沸騰したらアクを取り除き、蓋をして10分ほど煮る。2を加えて、さらに10~20分、野菜が柔らかくなるまで煮る(c)。塩、黒胡椒で味を調える。
(6)手羽先の関節から先の部分は取り除く。皿によそい、好みでマスタードを添える。
若山曜子

大学卒業後、パリへ留学。ル・コルドン・ブルー・パリなどを経て、パティスリーやレストランで研さんを積む。菓子を得意とする一方、現在は料理にも活躍の場を広げ、料理研究家として活動。著書に、『作りおきできるフレンチデリ』(河出書房新社)、『ごきげん朝ごはん』(講談社)など。