おいしい中華はいろいろあれど、大切なクライアントを招いて、商談を円滑に運ぶのに間違いないのがホテルレストラン。おいしさ、サービス、設えと3拍子揃った佳店の魅力を、dancyu誌で活躍の鹿野真砂美さんが紹介します。

前振り(私流ビジネスランチ。絶対にハズさない店選びのポイント4つ  http://woman.president.jp/articles/-/809)が長くなってしまったが、今回紹介するのは、ビジネスランチはもちろん、接待にも最適なホテルの中国料理である。

今年10月から3年ぶりに総料理長に復帰した、陳啓明氏。スタッフ、常連客からも「おかえりなさい」と迎えられてのカムバック。「メニュー以上に、食材が命」と、野菜や鶏肉をはじめ、食材は自ら現地まで出かけて、納得のいくものを選び抜いている。

恵比寿ガーデンプレイス、ウェスティンホテル東京内にある、広東料理の「龍天門」。館内に5つのレストランを擁するなかでも、特に高い人気を誇る店だ。龍をあしらった荘厳な門、黒とゴールドを基調にした内装は、洗練かつエキゾチックな趣。この雰囲気だけでも、気分がアガる。

ゆったりとテーブルが配置されたダイニングフロアのほかに、個室が4つ。うち3室は仕切りを取って連結させることも可能。料金もランチタイムはリーズナブルに設定されていて、気軽に使いやすい。

そして、肝心の料理だ。厨房を仕切るのは、総料理長の陳啓明氏。1996年より「龍天門」の料理長を務め、長きに渡り多くのファンを魅了してきた名料理人。定年により、いったんは職を離れたが、多方面からのラブコールを受け、2014年には横浜のホテルで中国料理の総料理長に。そして今年の10月より、再び愛着ある「龍天門」の総料理長に就任した。陳氏のカムバックを受け、手練の料理人やサービスマンたちが「もう一度、陳さんと働きたい」と再集結したほど、客はもとより、スタッフからの信頼も厚い人物である。

ホテルレストランならではの「おもてなし」

陳氏の指揮のもと、昼夜ともに食材、メニューを全面的に見直し、料理はさらにパワーアップ。ランチタイムは、アラカルト、コース料理のほかに、税金とサービス料込みで4200円と7000円の2つのセットが用意されており、これが素晴らしくお値打ちなのだ。今回紹介するのは、1日20セット限定、7000円の飲茶セット。

「龍天門」のランチではおなじみの、飲茶のワゴンサービス。熱々を目の前でサービスしてくれる。

「龍天門」でランチをしたことがある人なら、ワゴンサービスの飲茶を思い浮かべるのではないだろうか。このセットも、1皿目はワゴンから選べる飲茶。ホカホカの湯気が上がるセイロを前に、いきなり場の雰囲気も盛り上がる。この後も、北京ダックのバーガー仕立て、大ぶりの餃子が入ったスープや小龍包などの点心、千葉の契約農家で育てられた中国野菜に、自慢の焼き物をのせたごはんと、魅力的な皿が次々とタイミングよく登場する。デザートにたどり着く頃には、もう満腹。この充実の内容には、誰もが驚き、満足するはず。セットでありながら、自分でチョイスできる料理が3皿あることも、楽しいポイントだ。

さらに素晴らしいのは、ウェスティンホテルならではの心地よいサービス。外資系ホテルということもあるのだろう、格式ばったところがなく、スマートな立ち居振る舞いの中にも、どこかフレンドリーな空気がにじみ出ていて、自然とリラックスさせてくれる。こうした雰囲気こそ、商談の成功に一役も二役もかってくれるはず。ホストのポイントも、ぐぐっとアップするに違いない。

次ページからはいよいよコースの紹介だ。招いた相手を確実に笑顔にする料理の数々をご覧あれ。

飲茶セットで堪能する陳料理長の世界

1皿目はワゴンからの飲茶。6種類から一つを選べる。この日は、左上から時計回りに、湯葉巻き、腸粉、鮭のアラの黒豆ソース、海老シュウマイ、もち米シュウマイ。

2皿目は北京ダック バーガースタイル。ふわふわのパオに自分で挟んで仕上げるのも楽しい。揚げた春巻の皮を砕いたものが、カリカリといいアクセントに。

3皿目の点心は、写真の4種類から一つをチョイス。一番人気は、右奥の海老春巻きガーリック風味とか。他は、手前から揚げもち餃子、ニラ入り焼き饅頭、大根もち。

4皿目。特製餃子入りスープ。具だくさんの餃子もおいしいけれど、なんといっても、極上の上湯スープが美味!

5皿目は本日の中国野菜。千葉の契約農家から届く新鮮な野菜を調理する。今回はカイランの塩炒め。オイスターソースを添えて。

6皿目の小龍包。薄皮に包まれたたっぷりのスープにうっとり。お腹もかなり満腹に近づいてきた。

〆の一品は、本日の焼き物とチャーシューのせご飯(写真上)。さまざまな焼味(焼き物)のおいしさも「龍天門」の自慢の一つ。カリカリサクサクの豚バラ肉は必食だ。デザートは3品からチョイス。手前は愛らしいマンゴープリン、左手のアボカドソースがけアイスの下は、タピオカとあずきが潜んでいて、ものすごいボリューム!

広東料理 龍天門
東京都目黒区三田1-4-1 ウェスティンホテル東京 2階
レストラン総合予約センター/03-5423-7787
ランチ/11:30~15:00(平日)、11:30~16:30(土日祝)
ディナー/17:30~21:30

写真で紹介した飲茶セット(ランチのみ、20セット限定)は7000円(税、サ込み)。前菜に飲茶ワゴン、スープ、一品料理、ご飯、デザートがついたランチセットは4200円。全席禁煙。個室料金は1室(2~10名)7130円(ランチ時の価格。ディナー時は11880円)。
鹿野真砂美

ライター。旅行誌などの編集を経てフリー。大好きな食の分野を中心に活動中。dancyu誌での執筆は1998年から。合間で6年ほど編集部にも在籍し、さまざまな食の記事を手がけた。レシピ本の制作にも携わり、最近では「銀座 マルディ グラのストウブ・レシピ」(世界文化社)の文・構成を担当。おいしいものをつくること、食べることが生きがい。