お客様気分はNG! ネタの仕込みを

私がスタッフを食事に連れていくときは、「最近起こった面白い話を順番にしてもらう」ことが恒例です。

社員たちは「また始まった?」とうんざり顔ですが単なるゲームや意地悪でやっているわけではありません。なぜしているのかというと、クライアントと食事をする際、面白い話のひとつぐらいできなければ、素敵な人間関係を共有することなどできないと思うからです。特に、自分が接待する側のときに、相手の言うことを、ただニコニコ笑って聞いているようではダメなのです。

場を盛り上げるような話をするのが苦手、私にはおしゃべりの才能がないから無理・・・・・・、そんな悩みを抱える人に朗報です。どんな人だって、面白い話ができるようになる方法があるんです! 

女性は、あまりしゃべらず相手の話に笑顔でうなずいているほうがかわいい、といった考えでは対等な関係になれません。

ですから、お客様気分で座っているのではなく、おいしい料理、おいしいお酒とともに、面白い話も提供できるようになりましょう。「彼女と話していると楽しい、時間がたつのも忘れてしまう」と思わせることが大切なのです。

私は食事のときに、その練習をかねて社員たちに面白い話をしてもらっています。しかも、1回話せば終わりではなく、3、4周くらい順番が回ってくるので、事前にネタを用意しておかないと話が尽きてしまいます。

けっこうなスパルタです!

ネタだけでは不十分!

ところが、みんなつまらない話しかしない。話にオチがないのです。

ある日私が「本当に、あなたたちの話はオチがなくてつまらない」と言うと、1人のスタッフから「島村さん、オチのある話をしたいと思うのですが、どうしたらオチのある話ができるのか、教えてください」と言われました。

答えはただひとつ。

「最初からオチのある話を用意しておくこと」――これだけの話です。

我が社の社員も含め多くの人は、「オチのある話ができる人は、話しながらオチを作るテクニックを持っているのだろう」と思っています。しかし、そうではありません。最初からオチを用意しておいて、それを話しているだけです。

ただ、そのためには日頃から、「面白いことを探そう」という目線で暮らす習慣を持たないと、オチのある話は拾えません。面白い話を集めたければ、常に周りをよく見る観察力を磨くことが何よりも大事になります。

また、いろいろな体験を積極的に増やしていく行動派であればあるほど、面白い出来事や面白い人に出会う頻度も高くなります。

誰だって、話が面白くない人といるよりも話が面白い人といたいもの。おいしい食事と面白い話で楽しいひと時を過ごすことができれば、相手にいい印象を残せるだけでなく心まで和ませることができるので、コミュニケーションもとりやすくなります。

面白い話ができることと、仕事ができることは一見関係ないように思えるかもしれませんが、実は、面白い話ができることは、楽しい人間関係を築くために欠かせないスパイスなのです。

※本連載は書籍『30歳から自分を変える小さな習慣』(島村美由紀著、プレジデント社刊)からの抜粋です。

島村美由紀(しまむら・みゆき)

商業コンサルタント。1956年、神奈川県川崎生まれ。雑誌・書籍の編集業務、シンクタンク研究員を経て、商業コンサルタントとして独立。株式会社ラスアソシエイツ設立、代表取締役就任。都市計画、商業施設計画、店舗業態開発などのコンセプトワークやトータルプロデュースを手掛け、大規模開発を成功させる。ラゾーナ川崎プラザ、羽田空港第1旅客ターミナルビル「スタースイーツ」など、実績は多岐にわたる。著書に『30歳から自分を変える小さな習慣 運を引き寄せる女性の6つの法則』(プレジデント社)(http://presidentstore.jp/books/products/detail.php?product_id=1713)がある。