「私がこの世でいちばん好きな場所は台所――」とまではいかなくても。 食材をまな板の上でトントン、鍋からグツグツ立ち上るおいしい匂いに満たされる時間はあわただしい毎日をリセットしてくれます。

【右上から時計回りに】ごぼうのバルサミコきんぴら/豚肉と根菜のラグー/鮭とブロッコリー、じゃがいものパテ/蒸し鶏と玉ねぎ、焼きカリフラワーのマリネ

すぐ食べられるおかずが1品でもあれば

仕事から帰ってきて、一から料理するのは大変……。そう痛感するワーキングウーマンの強い味方なのが、つくり置きできる常備菜だ。すぐに食べられるおかずが1品でも冷蔵庫にあれば、食事の支度が断然ラクに。調理道具を使わない分、洗い物だって激減。さらに、栄養を考えながら自分でつくったものなら、市販のお総菜より健康にも断然いい! と、いいことずくめ。

「常備菜はわが家でも大活躍。次の週は撮影続きで忙しいな、というときは、週末に一気につくってストックします」

と言うのは、料理家のこてらみやさん。自身もよくつくるという、ひと工夫アリの4品を教わった。

豚肉と根菜のラグー

【写真左】豚肉と根菜のラグー【写真右】パスタのソースとしても活躍。フライパンにラグーと茹でたショートパスタを入れて、加熱しながら和えるだけ。おなかがすいている夜にピッタリな一皿。

●ゴロゴロお肉が入ったピリ辛味。疲れた夜でも元気回復!

まずは、今日は疲れた! という夜にうれしい「豚肉と根菜のラグー」。疲労回復効果がある豚肉を主役に、体が温まる唐辛子を利かせた煮込み料理だ。「しっかり食べたいときには、パスタに絡めたり、丼にしたりすれば、大満足の夜ご飯になりますよ」

●材料(19×24cmの容器1個分)
豚肩ロース肉(塊)……400g/薄力粉……適量
【A】玉ねぎ……230g/セロリの茎……100g/ごぼう……150g/にんじん……100g/れんこん……100g
にんにく……1片/トマト水煮缶……1缶(400g)/赤ワイン……200ml/ローリエ……2枚/赤唐辛子……2分の1~1本/バルサミコ酢……大さじ1/塩……小さじ1と2分の1/黒胡椒……少々/オリーブオイル……大さじ2/イタリアンパセリ……適量

●作り方
(1)Aはそれぞれ8mm角に切る。にんにくはみじん切りにする。
(2)豚肉は大きめのひと口大に切り、塩小さじ1/2、黒胡椒をもみ込んで10分置く。薄力粉をまぶし、余分な粉は払い落とす。
(3)鍋にオリーブオイル大さじ1を中火で熱し、豚肉の表面をカリッと焼いて、いったん取り出す。
(4)3の鍋に、にんにく、玉ねぎ、セロリの茎、塩小さじ1/2を入れて中火で炒める。玉ねぎがうっすら色づいたら、オリーブオイル大さじ1を足し、ごぼう、にんじんを加える。
(5)全体に油がなじんだら豚肉を戻し入れ、赤ワインを注ぐ。アルコールが飛んだら、手で潰したトマトの水煮、塩小さじ1/2、ローリエ、種を除いてちぎった赤唐辛子を加える。
(6)アクを取り、蓋をして、時々混ぜながら弱火で40分煮る。れんこん、バルサミコ酢を加えてさらに20分煮る。塩(分量外)で味を調えて完成。食べる際には温めて、イタリアンパセリのみじん切りを散らす。

ごぼうのバルサミコきんぴら

ごぼうのバルサミコきんぴら

●おなじみの和総菜に生ハムが!? わが家の新定番にできるかも

次に、定番の和総菜を洋風にアレンジした「ごぼうのバルサミコきんぴら」。具材には生ハムを、しょうゆの代わりにバルサミコ酢を使う。「あっさりと仕上がるので食べ飽きません。不足しがちな食物繊維も補えるので、毎日の食事に少しずつでも取り入れてほしい」

●材料(直径11cmのビン1つ分)
ごぼう……400g/生ハム(脂の少ない部分)……30g/にんにく……1片/赤唐辛子……2分の1~1本/バルサミコ酢……大さじ3/塩……小さじ1と2分の1/オリーブオイル……大さじ3

●作り方
(1)ごぼうはタワシでこすって泥を落とし、大きめのささがきにする。生ハムは細切りに。にんにくは包丁の腹で潰す。赤唐辛子は種を除いて2、3片にちぎる。
(2)鍋にすべての材料を入れ、混ぜ合わせてから、蓋をして弱火にかける。
(3)5分たったら、ざっくりと混ぜる。もう一度蓋をして2分ほど火を通す。蓋をはずし、水分を飛ばすように中火で炒める。味を見て、塩(分量外)で調える。

これらの常備菜は冷蔵庫で1週間ほど保存可能。食べ終わるまで、なるべく風味をキープするコツを聞いた。

「下ごしらえした食材から出た水分はペーパータオルで拭い、炒め物は水分を飛ばすなど、なるべく水気を残さないように。薄味にはしないで、しっかり塩を入れることも大切です」

こてら みや

料理制作からスタイリングまで、食まわりの仕事を幅広くこなす料理家。スパイスや香味野菜を生かした料理に定評がある。得意な保存食レシピをまとめた『魔法のびん詰め』(三笠書房)は、台湾、韓国でも発刊。近著に『ひとり分からできる 作りおき上手のやりくりレシピ12か月』(家の光協会)。