1人1オンラインストアを目指して

人材ビジネスのインテリジェンスとネット広告代理店のサイバーエージェントで働き、その後、フリーランスの時代を経て、2012年にブラケットに入社しました。

ブラケット取締役 塚原文奈さん

ブラケットは代表の光本(勇介社長)が2008年に創業し、カーシェアリングサービス「カフォレ」をはじめ、次々と新しい発想のwebサービスを世に送り出してきました。私が入社したころは3人の小さな会社。現在は30人くらいです。2013年にファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイのグループ会社になりました。

現在は、誰でも数分でオンラインストアが開ける「STORES.jp」のサービスに力を入れています。ブログのような感覚で、簡単にオンラインストアがつくれるサービスです。目指すのは、みんなが1つずつオンラインストアを持てる世界。でも、まだ広く知られていないので、できるだけたくさんの人たちに使っていただけるサービスにするのが当面の目標ですね。

取締役になったのは2013年。STORES.jpは代表と私、都度分担しながら見ています。それから採用などのバックオフィス系の業務は、私が管轄しています。

出来上がっていないほうがおもしろい

大学は日本文化学科で、江戸文化や日本の絵画を学んでいました。就職活動では専門とは関係なく、すぐに新しいことにチャレンジできて、仕事の仕組みもイチから考えないといけないところを探しました。

そのあたりは、脱サラして自分で事業をはじめた父の影響もあるかもしれません。事業が上手くいっている時代もあれば、ダメなときもありました。それでも「サラリーマンで上に行くより、自分で事業をやっているほうが楽しい」と言っていましたね。

最初の会社にインテリジェンスを選んだのも、採用面接のときに「入社して2、3年目の社員が子会社を立ち上げている」という実績があったからです。自分も早期に新規事業が出来るんじゃないかと思って入ったんです。個人の転職をサポートする紹介事業部に配属され、キャリアコンサルタントの仕事に就きました。

インテリジェンスは、思ったより組織としてきちんとした会社でした。たとえばキャリアコンサルタントで実績が出なかったら、「転職希望者とのカウンセリングの数が足らないからそれを増やせばいい」など、効果の出る手法をちゃんと教えてくれます。とてもよい会社だったので、仕事の不満はなかったのですが、もっとジャングルのような、何も決まっていない環境で働いてみたと思ってしまったんですね。そして、1年半でインテリジェンスを退職することになります。

転職したEC事業部が半年でつぶれる

組織が固まっていない会社で働きたいと思いはじめたころ、知り合いから「サイバーエージェントで新規事業をはじめるから来ないか」と声をかけてもらいました。ECサイト立ち上げの仕事です。サイバーエージェントの新しい収益軸をつくれる可能性があったので、そういうチャンスをもらえて「ラッキー!」と思いました。

売るものを仕入れて、サイトの“店構え”をwebデザイナーさんと一緒につくって、販売していく仕事です。なかでも一番多く携わったのはバイヤーの仕事ですね。特に女性向けの商材、サプリメントとか美容機器を仕入れ、またメーカーさんとコラボして下着を考案したり。

ところが、そんなに売れなかったんです。まだアメーバブログはない時代でしたが、サイバーエージェントのポイント媒体をはじめとするメディアでは、たくさんのユーザーを抱えていました。そのユーザーさんに案内すれば、絶対に売れると思ったんです。実際はそんなことはまったくなくて、そのとき、「難しいなぁ、ビジネスって」と思いました。ユーザーさんたちが本当にそのメディアに求めていることと向き合い、ターゲットにあったアプローチをしないと上手くいかないんでしょうね。

結局、EC事業は立ち上げから半年で廃止となります。事業部自体がなくなり、広告代理店事業部に異動します。法人営業ですね。ありがたいことに、けっこう受注できました。いろんな方法で開拓してみたんですよ。