職場で話す時、気持ち、高くかわいらしい声で話していないか? フランクに付き合おうとするあまり、プライベートについて話し過ぎていないか?
仕事場でのむやみな衝突を避けたいがために、少女のような「かわいい」女として振る舞ってしまうことはありませんか。時には自信がない態度で、またある時はキャピキャピ(古い表現でしょうか……)と仕事仲間と会話していることはないでしょうか。
『大人の女はどう働くか』は、全米を代表するビジネスコーチが、女性が職場でおかしがちな行動・言動について、チェックテストを設け、ウィークポイントごとに、改善のための具体的アドバイスを提示する1冊です。
著者のロイス・P・フランケルは言います。
――仕事の場では、「かわいい」女ではなく、「大人の」女であるべきです――
冒頭にこう言われてしまっては、チェックテストをしないわけにはいきません。
Q 意見があったら、質問の形にしてほのめかすのではなく、率直に言う。
Q 「まあまあ」、「ちょっと」、「みたいな」といった曖昧な言葉は使わない。
これらの点数が低かった私には、どうやら「知的な話し方」が不足しているようでした。――どんなにいい考えを持っていても、自信と信頼性を感じさせながら伝えられなければ、人は耳を貸してくれません。この章では、話の内容ではなく、言葉の選び方、声音、話す速さ、そして考えのまとめ方をとりあげます。
×「繁忙期に備えて、スタッフの増員をした方がいいと思いませんか?」
○「スタッフ増員を行い、繁忙期のプロジェクト遂行に備えることを提案します」
意見を述べる際に質問形で言ってしまうと、否定されてしまった時にはそこでもう終了です。それどころか、「提案の発信元は自分である」ということや、成果が上がった場合にも、自分の功績は認められないことが往々にしてあるでしょう。
ビジネスに“女の子らしさ”は不必要
また、よくやってしまうのが曖昧な表現です。今も「ちょっと曖昧な表現」と書いてしまいそうになりました。
×「■■みたいな感じです」
×「もしかしたら……、△△かも知れません」
私の話し方が直球過ぎはしないだろうか、自信満々に受け取られはしないだろうか……。気を遣って柔らかな表現にしたつもりでも、曖昧な表現は、結果として、会話の相手にとっては分かりづらいメッセージになることでしょう。
女性として社会一般的によしとされる行動スタイルが、果たしてビジネスシーンでは正解なのか? それは、男性的に振る舞えということでも、マッチョになれ! ということでもありません。
本書を読んでみて分かりました。仕事で目指すべきは、自信無くコミュニケーションを取ったりせず、また、周囲に好かれようとして不必要に愛嬌を振りまかない、ということです。
因みに、『大人の女はどう働くか?』を初めて読んだ時、夫にも同じチェックテストを試してもらいました。当然、夫は男性なので、全ての項目のテストができたわけではないのですが、私よりは高得点を獲得していました。ショックでした。
それは、彼がたまたまビジネスマンとしてきちんとした振る舞いができていたからなのか、私が「女の子らしさ・少女らしさ」の抜けきらない行動をしてしまっているからなのかは分かりません。
ただ、女性がビジネスシーンで陥りがちな、誤った行動パターンというものは存在するのだろうな……とその時分かった気がします。
“女の子”からの卒業
まだまだ気になるチェック項目はあります。
Q 人の仕事までしていないか?
⇒眼前の実務もキャリアも大事、ということを忘れてはならない。
Q オフィスをリビングのように飾っていないか?
⇒オフィス、デスクはその人となりを表してしまう!
Q 会議を休んでいないか?
⇒中身のない会議だってある。しかし、自分の知識やスキルをアピールできる場であることも忘れてはならない。
本書の売りは、チェックテストだけではありません。ロイス・P・フランケルはビジネス・コーチングとして、各チェック項目に付いているアドバイスを定着させる方法まで紹介しています。書店では、人事担当と思しき男性がまとめ買いしていく姿をお見受けすることもあります。
この本をお薦めする書店員として、まずは性格テスト・心理クイズのノリで読んでいただいてもいいかと思います。普段、ビジネス書を読み始める時より、ハードルは低くなるはずです。
それと、自分を「大人女子」「女の子」と呼ぶには抵抗がある方にも大変お薦めです。日頃「いやいや、“大人女子”はないでしょ!」などと言っていても、無意識に、仕事場で女の子マインドな行動をしてしまっているかも知れません。(プライベートではどうぞご自由に!)
我々が目指すべきは大人の女です。
未熟な振る舞いが、あなたのキャリアを妨げることのないように、職場での「女の子」は卒業しませんか?