美容ドリンク市場は、アンチエイジング意識の高まりや「インナービューティ」の浸透に伴い、約1200億円の規模に拡大しています(出典:総合企画センター大阪「2012年度 美容ドリンクの市場分析調査」より)。単純に計算しても、成人女性1人あたり年間2000円の美容ドリンクを購入していることに。日常的に飲んでいる方も多いのではないでしょうか。
ですが、一口に美容ドリンクと言っても用途はさまざま。美白、保湿、アンチエイジング、シワ対策など、目的別にたくさんの製品が販売されています。あまりの多さに目移りしてしまいますが、皆さんはどうやって選んでいるのでしょう?
そこで、食と健康に関する専門家である管理栄養士・栄養士を対象に、マーケティング調査を行う『食プロリサーチ』が実施した「美容ドリンクに関するアンケート」の結果を元に、美容ドリンクの上手な活用方法を管理栄養士・松原郁実さんに聞きました。

※「美容ドリンクに関するアンケート」【調査概要】調査手法:インターネットリサーチ、調査対象:管理栄養士・栄養士 155名、調査期間:2014年11月28日~12月26日、調査実施機関:食プロリサーチ

Q:美容ドリンクはどんな時に飲む(飲みたくなる)ことが多いですか?(複数回答可)

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美容ドリンクに頼りたくなるのは「疲れ」を僅差でかわして「肌トラブル」!

【松原さん】「肌トラブルがあった時」と「疲労感がある時」に飲む管理栄養士・栄養士が半数でした。コンスタントに飲むよりも、身体の不調を感じた時の“リカバリー”として飲んでいる人が多いようです。管理栄養士・栄養士からみた美容ドリンクは、健康・美容面でちょっと困った時に助けてくれる“救急箱”のような位置付けです。

Q:美容ドリンクはどこで購入しますか?(複数回答可)

【松原さん】1位はドラッグストア、2位はコンビニという結果でした。どちらも「鏡を見たら、悲しいことに肌トラブルが起きていた!」という時の駆け込み寺的な存在のお店ですね。身近でいつでも立ち寄れる場所が支持されています。お勤めの方も、休憩時間や外出時などにパッと行きやすいのではないでしょうか。

Q:1本あたりどの位の価格でしたら購入しますか?

【松原さん】9割の管理栄養士・栄養士が300円程度までの購入を想定。いちばん多かったのは「150円~300円程度」でした。「効果を期待しつつ、でもお昼ご飯代くらいになると出し過ぎ? その間をとって……」というような感じがありますね。

Q:美容ドリンクを選ぶ時の基準は何ですか?(複数回答可)

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管理栄養士・栄養士は、価格よりも味よりも栄養成分を重視。

【松原さん】8割の管理栄養士・栄養士が「栄養成分」を基準に選んでいます。「栄養成分」とはカロリーや三大栄養素などのこと。製品には各栄養素がどのくらい含まれるのかが表示されています。

アンケート結果にはありませんが、注目したいのは「栄養成分」と同じく、製品に表示されている「原材料名」。原材料は量の多いものから順番に表示されていますので、何が多く含まれているのかをチェックしてみましょう。中には最初に甘味料が表示されているものもありますよ!

また美容ドリンク以外にも目を向けてみましょう。例えば野菜ミックス濃縮ジュースなら「野菜」、酢を使った清涼飲料水なら「りんご酢」、コーヒーなら「コーヒー」などと、表示されていたりします。美容ドリンクに限らず、いろいろな飲食物の「原材料名」に着目してみてください。

Q:美容ドリンクで補いたい栄養素は何ですか?(複数回答可)

【松原さん】半数以上の管理栄養士・栄養士がコラーゲン、ビタミンC、ヒアルロン酸の補給を期待しています。コラーゲンは肌の弾力を保つ働きが、ビタミンCは血管の老化を防ぐ抗酸化作用が、ヒアルロン酸は肌の保湿作用があります。

コラーゲンは飲んだらそのままプルプルの肌になるのではなく、体内でアミノ酸に分解・吸収され、必要に応じてコラーゲンに再合成されます。そのコラーゲン再合成にはビタミンCの働きが必須。美容のためにはコラーゲンとビタミンCを一緒に摂ることがお勧めです。

Q:美容を考えて、ドリンク以外から補っている栄養素はありますか?(複数回答可)

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美容ドリンクだけに頼るのではなく、食品からも栄養素を補給したもの。

【松原さん】圧倒的にビタミンCが多くの票を集めました。野菜や果物を積極的に食べたり、スムージーなどで補ったりしている方も多いと思います。ちなみに、緑黄色野菜に多く含まれるビタミンA、C、Eは、美肌ビタミンとも言われます。最近は3つ合わせてビタミンエース(ACE)とも呼ばれ、注目されています。

アンケート回答の選択肢にあるもの以外では、食物繊維をたくさん摂ることもお勧め。理由は、腸内環境の改善によりデトックスが期待できるからです。野菜や果物に加え、食物繊維が豊富なきのこ、海藻、豆類も積極的に摂るといいですよ。

いかがでしたか? 美容ドリンクは、栄養の専門家にとっても「美」の維持に“使える”存在でした。「栄養成分を上手に組み合わせる」などの管理栄養士ならではの工夫を、美容ドリンクを飲む際には参考にしたいですね。

管理栄養士・松原郁実(まつばら・いくみ)
働き盛り&キレイになりたい世代の男女に向けて、賢く・おいしく・楽しく食べるコツを伝えながら、生活習慣・メタボ改善アドバイス、ダイエットサポートなどを実施。管理栄養士、フードスペシャリスト、健康・食育シニアマスター、きのこマイスターの資格を保有。

【文・監修】食プロリサーチ(http://www.shoku-pro.com/
食・健康分野に特化した人材サービス業の株式会社RDサポートと、健康情報分析評価業の株式会社インサイツが共同運営する管理栄養士・栄養士限定の会員制サービス。管理栄養士・栄養士の知識・信頼性を活かした機能性食品市場のマーケティング支援を行う。