年利換算では15%以上のおトク

「週末に洋服見に行かない?」。先輩に誘われたものの、ちょっと気が進まない由貴。消費税率が上がったので少し節約しなくちゃ、と思っているからだ。

増税前には駆け込み需要、増税後はその反動があることからも、買い物の際に消費税を意識する人が多いのは事実。来年10月には10%に引き上げられる可能性もあり、節約に意識が向くのは当然だ。

とはいえ、由貴さんのような働く女性としては、洋服や靴、化粧品、時には贈答品など、買わないわけにはいかないモノもあるし、デパートを利用する機会も多いかも知れない。

節約したい。でも買わないわけにはいかない。……ならば、「買う必要のあるモノ」を「ちょっとの工夫でおトクに買う方法」を考えよう。

デパートには、百貨店積立やデパート積立といわれるサービスを行っているところが少なくない。毎月一定の額を百貨店で1年間積立すると、積立累計額に一定のボーナスが上乗せされたお買物券(商品券)やプリペイドカードが受け取れる、というものだ。

基本的には毎月1万円ずつ積み立てると、1年後に積立額1回分(積立額が1万円なら、1万円)のボーナスが付き、13万円分のお買物券が受け取れる仕組みで、積立額は月額3000円程度から、5000円、1万円、3万円など、デパートによって異なる。

1万円を1年間積み立て、13万円分になるということは、年利に換算すると約15.4%に相当する。しかも税金も課税されない。消費税率のアップ分3%はらくらくクリアできるし、預金するよりずっと得、といっていいだろう。

東武百貨店のようにボーナス分が積立額の2分の1回分にとどまる例もあるが、それでも十分、魅力がある。

プラスαのサービスも

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積立サービスの例

積立をする人は自動的に「友の会」や「サークル」に加入することになるパターンが主流(会費などはかからない)で、会員には積立でのボーナス以外にもさまざまな特典が用意されている。

年数回の優待セール、レストランなどへの優待、会員向け情報誌の送付、カルチャースクールの優待、オリジナルグッズのプレゼントなど、内容はさまざまで、東武百貨店では1000円以上の買い物が5%引きになり、それだけで増税の負担増を帳消しにできる。

また阪急百貨店では、毎月1万円×12回の積立で13万円の買い物券が付与されるコースのほか、毎月5000円×12回で6万円分の商品券と、観劇、展覧会、行楽地などへ年3回無料招待が付くコースもある。買い物でトクするのとは趣旨が異なるが、レジャーや親孝行に利用してそれらの費用を節約、という使い方もある。

高島屋や大丸松坂屋には年1回の観劇が付くコースがある。

大丸松坂屋、三越伊勢丹、東急、小田急の各百貨店には、5000円×6回の半年コースもあり、開始から半年後には買い物券が手に入る。ボーナス額は、東急、小田急は2500円、大丸松坂屋、伊勢丹は2000円だ。

元本保証はなし

もちろん、このサービスが有効に活用できるのは、お気に入りのショップがある、お中元やお歳暮を定期的にデパートから贈っているなど、「贔屓にしているデパートがあり、デパートをよく利用する人」。

年間でどの程度利用しているかを整理して少し抑え目に積立額を決めると、気が大きくなって使い過ぎるという失敗も防げるし、「使うのはこの額だけ」と決めれば支出のコントロールにも役立つ。

ただし、このサービスには預金保険のような制度がなく、割賦販売法に基づき、前受金残高の2分の1相当額を供託することが義務付けられている。

クレジットカードや株主優待を使う手も

このほかにも、デパートの買い物でトクする方法はある。

たとえばデパート系のクレジットカードをつくり、それで買い物する方法。とくにおトクなことで有名な高島屋のクレジットカードは、年会費無料で、高島屋での買い物代金の8%が還元される。かなり有利だ。

とはいえ、クレジットカードの保有枚数が多すぎると、住宅ローンを借り入れる際などに影響することがあるので、メインで利用するデパートに絞ったほうがよさそう。

また株主になって株主優待を受ける、のもいい。

三越伊勢丹ホールディングスの株主になると、100株保有の場合で三越や伊勢丹などの15万円までの買い物が10%オフになる優待カードが年2回贈られる。優待をフル活用した場合の割引額は最大で年間3万円。100株保有のための必要額は13万2500円(14年4月4日現在)だ。丸井、松屋なども10%オフの優待券が受け取れる。

ただし、株価が下がるリスクがあることは頭に入れておこう。

節約も大事だけれど、働いているのだし、贅沢もしたい。お得な方法で買い物を楽しむのも、オトナ女子のたしなみだ。

フリーライター 高橋晴美(たかはし・はるみ)
1989年よりライターとして活動。資産形成、投資信託、住宅ローン、保険、経済学などが主な執筆テーマ。