「野菜スープ」でファイトケミカル摂取
子どもの頃から体は丈夫で、50代の壮絶な更年期症状を除けば、大きな病気も不調もなく、健康に過ごしてきました。
ところが70歳を過ぎたあたりから、急激な体重減少や筋力低下など、これまでに経験したことのない変化を感じるように。75歳のときに受けた健康診断では、血圧と血糖値が高めであることを指摘され、軽い糖尿病にかかっていることも判明。さらに、抵抗力も弱っていたのか、虫垂炎にもかかってしまいました。
「このままではいけない」と思っていたとき、書店で偶然目にしたのが、抗がん剤研究の世界的権威である故・前田浩先生の著書『最強の野菜スープ』でした。野菜をざくざく切って水から煮出すと、ファイトケミカルなど活性酸素を抑える成分が煮汁に溶け出し、これをスープとして食べることで、野菜を生で食べるよりも効率よくファイトケミカルがとれるという内容に心を動かされました。
活性酸素は、老化やがんの発生にもかかわっていますが、抗酸化作用の強いファイトケミカルをしっかり摂取することで、活性酸素の働きを抑制することができます。
高血圧対策の食事で不可欠なコト
さらに私が注目したのは、次のポイントでした。
・塩分を一切使わないこと
・調理がとても簡単なこと
高血圧対策には塩分制限が不可欠なのです。
とはいえ、どんなに体によくても毎日続けられなければ意味がありません。調理が簡単ということは、健康維持のために非常に大事な要素なのです。ただ、食事療法はおいしくなければ続けられないものです。塩味なしで大丈夫かしらと最初は心配でした。
ところが、実際に作ってみると、野菜の自然な甘みやうまみが溶け出したスープはとてもおいしく、そのやさしい味のとりこになっていました。
そして何より驚いたのは体の変化です。飲み始めて3カ月ほどで、140mmHg台だった血圧が120mmHg台で安定し、血糖値も改善していったのです。以来、いつの間にか習慣化し、欠かさず飲み続けています。
患者さんにもすすめると、「便秘が解消した」「体調がよくなり、疲れにくくなった」など、大好評。家にある野菜を切って煮込むだけなので無理なく続けられ、飲むだけで効果が表れ、副作用もない、まさにいいことずくめ。野菜スープは最高の“養生食”なのです。
高血圧が続くと血管の老化が進み、脳・心臓・腎臓などに障害が起こる危険があります。塩分を控えれば血圧は確実に下がりやすくなりますが、野菜スープにはこの塩分問題を自然に解決してくれる力があります。
味覚が自然に薄味へと導かれる
まず、薄味を習慣づけることで舌の感覚=味覚が変わっていく、という変化が起きます。野菜の淡い甘みやうまみが感じられるようになり、逆に、外食やお惣菜の味つけが「濃い」と感じるようになりました。
私は一人分の食事を自炊するのが面倒なので、1回分の食材がすべてセットになった生協のお料理セットをよく利用しますが、これに添付されている調味だれも、1袋の3分の1、あるいは半分入れれば十分に味を感じるようになります。
つまり、味覚が自然に薄味へと導かれ、結果として塩分と糖分の摂取が大幅に減ったのです。これが、野菜スープの大きなメリットの一つです。
そして、いうまでもなく、野菜にはビタミンC、E、βカロテンなど豊富なビタミン類が含まれています。血管を若返らせたり、免疫力を高めたりするポリフェノールをはじめとした抗酸化物質も豊富に含んでいます。
また、野菜はカリウムも豊富で、これが体内の余分なナトリウム(塩分)を排出してくれます。これらの栄養素が溶け出したスープを飲むことで、効率よく、体に必要な成分を摂取することができるのです。
さらに、野菜に含まれる水溶性食物繊維が、血糖値の急上昇を抑え、腸内環境を整える助けになります。便通改善や肥満予防にも繫がり、生活習慣病を遠ざける力を秘めています。
好みの野菜をざくざく切って煮込むだけ
野菜スープの材料は、有機栽培などの栄養価の高い旬の野菜がおすすめですが、ふだん冷蔵庫にある定番野菜でも、もちろん大丈夫です。味つけは不要です。野菜の甘みをそのままいただきましょう。
加える野菜を替えたり、牛乳を足したり、ざく切りにしたりんごを加えるなどして、味変を楽しみながら自由に続けてみてください。
飲み方や量に細かい決まりはありません。体調の変化を実感したいのであれば、最初の3カ月間は、朝・昼・晩の3回飲むといいでしょう。
ふだんの食卓に取り入れることで、スムーズに続けられます。私の場合は、「朝はたっぷり、昼はふつう、夜は少なめ」の食事を心がけていますから、夕食をサンドイッチなどの軽食と野菜スープ、季節のフルーツだけですませることも多いです。なにより体が温まりますし、具だくさんで歯ごたえもあり、満腹感も得られます。
人体に欠かせない最重要栄養素とは
健康寿命を延ばすには、必要な栄養素を過不足なく、適正量摂取することが基本です。加齢とともに食事量が減ったり、簡単にすませたりしがちですが、おにぎりだけ、パンとコーヒーだけなどの偏った食事では、たちまち栄養不足に陥ります。
生命活動に必要な栄養が確保できず、筋力も低下してロコモティブシンドローム(運動器の障害による移動機能の低下)やサルコペニア(筋肉量の減少)などを引き起こします。三大栄養素であるたんぱく質、脂質、炭水化物をバランスよく摂取しましょう。
特に、たんぱく質は人体に欠かせない最重要栄養素です。体重が50キロの人なら一日50グラム以上を目安に、肉や魚、卵、乳製品などの動物性たんぱく質と、豆腐や納豆などの植物性たんぱく質をバランスよく摂取しましょう。毎食こまめにとることで吸収率が高まります。
生きるヒント
日々の食事で体は変わる。
手軽で栄養満点、
甘くておいしい長生きスープで
薬いらずの体づくりを
