スナック菓子や小麦を控えようと思っても、中々やめられないのはなぜか。医師の牧田善二さんは「スナック菓子や小麦を食べるのをやめられないのは、意志が弱いからではなく中毒性があるからだ。特に小麦はグルテンが体内で消化されると、脳に届くと何とも言えない幸せ感を覚える麻薬に匹敵するとも言われる物質が生成される」という――。

※本稿は、牧田善二『脳と体が老けない人の食べ方』(新星出版社)の一部を再編集したものです。

ポテトチップスを食べるビジネスパーソン
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スナック菓子がやめられないのはなぜか

食べたら体に悪いことはわかっていても、どうしてもやめられない。食べずにはいられない……。そんな人は多いのではないでしょうか。こうした行動を「意志が弱いから」と考えて、自分を責める人がいるのですが、そうではありません。

食べるのをやめられないのは「脳が糖質中毒に冒されている」からです。

ごはん、パン、麺、お菓子、清涼飲料水、スナック菓子……。こうした「食べるのをやめられないもの」は、糖質の塊です。糖質は食べるとすぐに血糖値が上がって、「おいしい」「幸せ」と感じるようになっています。

逆に、糖質をしばらく摂らないでいると血糖値が下がってイライラします。そうすると脳が糖質を摂れという指令を出してきます。食べたときの幸福感を得たくて脳が指令を出すから、糖質が多いものをやめられないことを知っておきましょう。

脳が感じる「もっと食べたい」の恐ろしさ

特に中毒に陥りやすいのが小麦製品です。

小麦で問題視されているのが、小麦のタンパク質の主成分である「グルテン」です。パンがフワフワ、モチモチとしているのは、グルテンの働きによるもので、グルテンが多いほどおいしさがアップすると言われています。

このグルテンが体内で消化されると、一部が「エクソルフィン」という物質になるのですが、これが脳に届くと何とも言えない幸せ感を覚えます。この刺激は麻薬に匹敵すると言われ、「もっと食べたい」という中毒性をもたらすのです。

ダメだとわかっていても食べてしまう理由が、意志の力ではなく脳に指令されていると知れば、ちょっと納得できたのではないでしょうか。

中毒から脱するために気をつけること

まずは、甘い清涼飲料水を買うことや、コーヒーや紅茶に砂糖を入れるのをやめましょう。これらをやめるだけで、AGEの害を大きく減らすことができます。

次に、大した用もないのにコンビニエンスストアに立ち寄るのをやめましょう。おいしそうなスイーツをつい購入してしまう、ということも減ります。スナック菓子や甘いお菓子、カップ麺などの買い置きをやめることも大切です。目に入らなければ「食べたい」と思うこともありません。

カップラーメンを棚から取る手
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大事なのは、おいしいものや自分が食べたいと思うもののなかには、脳や体の老化を速めるものがあることを知り、それを忘れないでいることです。

大好物のシュークリームを食べたくなったとき、「今日くらいいよね」と食べてしまうのか、「いやいや。これを食べると老けてしまう。やめておこう」と思えるかどうかで、あなたの将来は変わってきます。

油断しないよう、中毒に負けないようがんばってみませんか。

食事制限より「死なないこと」が何より大事

ここまで、老けない食べ物を選ぶ重要性を紹介したりしてきました。ただ、いくら気をつけても、AGEを完全にシャットアウトすることはできません。また、厳しい食事制限を続けることができない、好きなものを食べたいという気持ちもよくわかります。

食は人生の楽しみで大きなウエイトを占めます。自分の好きなものを楽しみたい、そう思うのも当たり前のことだと思うのです。

若々しくいるために食事を制限することはもちろん大事です。ただ、もっと大事なのは「死なないこと」です。

持病があるのであれば、適切な治療を受けることで寿命は伸びます。持病がないとしても、定期的に検査を受けることで病気を早期に発見することができます。

医師と結果について話す男性
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医療は常に進歩しています。悪いところがあれば、早めに見つけて、適切な治療を受けることで長生きすることができるのです。

そのためには、信頼できる主治医を見つけることが大切です。

病院や医者のすべてが同じレベルではない

すでに何らかの病院にかかっている人は、現在の主治医に満足している人もいれば、不満を抱えている人もいるでしょう。

満足している人は、そのままでいいと思っているかもしれませんが、一度考えてみてほしいことがあります。それは病院や医者のすべてが同じレベルではないことです。ハイレベルの治療が受けられるところがある一方で、医療機器や知識をアップデートできていない病院や医者もいます。

どの病院で、どの医者の治療を受けるかで、予後が大きく変わったり、極端な場合には助かる寿命が変わったりすることもあるのです。いざというときにベストな治療を受けるために、病気になる前から病院探しをしておきましょう。

いい医者かどうかを判断するための質問

いい医者かどうかを判断するときに、実践しやすいものを紹介します。

それは、自分が受けている検査や薬などについて、不安に思うことがあれば、その場ですぐに質問してみることです。もし、かかっている医者が質問をイヤがったり、答えるのを億劫がったりするようであれば、いい医者とは言えません。

会話を繰り返していると、相手がどんな人間かはわかってきます。誠意がなさそうとか嘘をついているとか、なんとなく感じるものです。医者としての力量も、会話を重ねることである程度は推測することができます。

自分に合ったいい病院が、自分が住んでいる場所の近くにないこともあるでしょう。しかし、遠くてもいい病院・医者にかかるべきだと私は思います。

検査を受けることで寿命は伸びる

医者の診察を受けることと同じように、検査を受けることも大切です。病気は早期に発見して治療することで、その後が大きく変わります。症状が進んで深刻な状態になる前に病気を見つけるためには、必要な検査をこまめに受けましょう。

私は糖尿病の専門医なので、糖尿病の患者さんの例を紹介しましょう。

糖尿病が進行すると「人工透析」という、体内の血液を人工的にろ過してきれいにする処置が必要になります。現在、日本では34万人強の患者さんが人工透析を受けていて、毎年4万人弱の患者さんが人工透析を始めています。そして、悲しいことに毎年4万人近くの患者さんが人工透析中に亡くなっています。

酸素マスクをした患者
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なんと362人に1人が人工透析を受けていて(日本透析医学会調査・2023年末時点)、現在もその人数は増え続けているのです。

糖尿病による腎臓病は初期であれば治ります。患者さんの腎機能をチェックするために、私は「尿アルブミン」という検査を行っています。

この検査を行えば、ごく初期の腎臓病が見つかるのですが、一般的な腎機能検査では血液の「クレアチニン」という項目を調べるだけで尿アルブミンは調べません。

人工透析を避けるために「確認すべき項目」

実は、血液のクレアチニンが高くなる頃には、腎機能はかなり低下しています。異常値になったときには、最短で1、2年で人工透析になるくらい悪化しているのです。

一方、尿アルブミンは血液検査よりも早い時期から異常が出はじめます。糖尿病性腎症を早期に発見するためには必須の検査です。

もしあなたが糖尿病で治療を続けていて、定期的に受ける検査項目に尿アルブミンが入っていないなら……。はっきり言いますが、その医者にかかり続けるのは危険です。あなたの命を縮めることになるでしょう。

私は、尿アルブミンを定期的、少なくとも半年か1年に1回受けるよう、厚生労働省が義務づければ、人工透析の患者数は減り、その数だけ患者さんも救われるのにと忸怩たる思いを抱いています。

人工透析になりたくないのであれば、尿アルブミンを調べてくれる病院や医者を探したほうがいいのは間違いありません。

こうした例は糖尿病以外の病気でもある話です。

がんを早期発見して、命を守るカギになる検査

がんは早期発見することで、治癒率が非常に高くなります。

ただ、国が行っているがん検診だけでは、早期発見できないでしょう。

牧田善二『脳と体が老けない人の食べ方』(新星出版)
牧田善二『脳と体が老けない人の食べ方』(新星出版社)

糖尿病の患者さんは、がんになるリスクが高いので、私は患者さんに胃内視鏡検査は毎年、大腸内視鏡検査はポリープがあれば毎年、なければ2、3年に一度受けるようすすめています。こうした検査を定期的に受けることが、がんを早期発見して、あなたの命を守るカギになります。

昔は内視鏡検査には苦痛が伴うというイメージがありましたが、現在は負担がかなり減っています。寝ている間に検査を行う病院も増えていますから、苦痛というものがありません。

認知症も同じです。脳の状態を画像検査する脳ドッグを定期的に受けて、脳の状態をチェックしましょう。認知機能が低下する原因に、思わぬ病気が潜んでいることがあります。定期的に検査を受けていれば、その異常を早期に発見できて、治療を受けることができます。

いつまでも元気でいるためには、定期的に必要な検査を受けることが大切です。