※本稿は、牧田善二『脳と体が老けない人の食べ方』(新星出版社)の一部を再編集したものです。
ビタミンB群は老化予防の強い味方
本稿では、体内でAGE(終末糖化産物)がつくられるのを抑制したり、体内にたまったAGEを減らしたり(糖化を抑える)、酸化を抑えたりする栄養素を紹介します。
まず積極的に摂って欲しいのが、ビタミンB1とB2です。ビタミンB1は筋肉や神経が正常に働くために欠かせない栄養素で、糖や脂質の代謝にも関わっています。不足すると記憶や集中力なども低下しますから、認知症予防にも有効です。
実は、ビタミンB1には、体内のAGEがたまるのを抑制する働きがあることが確認されています。ドイツで行われたラットの実験では、ビタミンB1からつくられた「ベンフォチアミン」という医薬品を投与すると、高血糖によるAGEがほとんどできなくなり、合併症を予防することが確認されています。
ベンフォチアミンは医薬品ですが、ビタミンB1の一種です。積極的にビタミンB1を多く含む食べ物を摂り入れることで、体内のAGEを増やさない効果が期待できるでしょう。
ビタミンB6にはAGEの産生を抑える効果がある
ビタミンB6は、神経伝達物質の合成に関わるため認知症予防に不可欠です。肌や髪の合成の材料でもあり、不足すると皮膚や頭皮、髪の質がもろくなります。
さらに、体内のAGEの産生を抑える働きもあります。これは、ハーバード大学の研究グループによって報告されています。研究グループは、糖尿病患者212人を対象に、90人にはプラセボ(偽薬)を投与し、残りの122人には大量のビタミンB6を投与して、AGEの数値を調べました。すると、ビタミンB6を投与したグループでは、血液中のAGEが有意に低下していました。
B6の一種である「ピリドキサミン」という医薬品を使った、糖尿病を誘発させたラットの実験では、皮膚のコラーゲン線維のAGEが有意に低下していたという報告もあります。
ビタミンB12は抗酸化・抗糖化作用は限定的ですが、老化防止に役立つビタミンです。一般的には造血作用が有名なため貧血の予防に効果が高いと言われていますが、記憶力の低下や思考力の低下を予防する働きもよく知られ、認知症の予防に役立ちます。神経を修復する作用もあり、視神経の働きも助けるため、目の老化予防にも役立つビタミンです。
目や骨の老化防止にも役立つ栄養素
抗酸化作用のあるビタミンとして、有名なのがビタミンCとビタミンEでしょう。この2つは強い抗酸化だけでなく、強い抗糖化作用もあります。
ビタミンC・Eほどではありませんが、ビタミンAや亜鉛も抗酸化作用があります。亜鉛には、皮膚や毛髪の健康を維持する働きもあります。
老化現象のひとつである骨粗しょう症を予防するためには、骨の主成分であるカルシウムだけでなく、ビタミンDやビタミンKも役立ちます。ビタミンDやビタミンKはカルシウムの吸収・吸着を促進する作用があるからです。
青魚などに多く含まれている「EPA」「DHA」は脂質の一種で、強い抗酸化・抗糖化作用があり、動脈硬化や認知症を予防する働きがあります。目や骨の老化防止にも役立つます。
このように、老化を防ぐ栄養素はたくさんあります。本書『脳と体が老けない人の食べ方』でもそうした栄養素を豊富に含む食べ物を紹介しているので、それらを積極的に食べましょう。
揚げ物を食べたいなら酢やレモン果汁も
炒め物や揚げ物が食べられないなんてがまんできないという人のために、AGEを減らす裏技を紹介しましょう。それは肉や魚を焼く前に、酢やレモン果汁が入ったマリネ液に漬けて焼くという方法です。
マリネ液に漬けて焼くと、AGEの含有量が2分の1になったという研究報告もあります。例えば、豚肉を7分間炒めたときは4277KUですが、バルサミコ酢に漬けてから焼いたものは3001KUと3割も減ります。
レモン果汁も同様で、レモン果汁に漬けて下処理すると、AGE量が40〜60%減ったという報告もあります。
AGEが減るのは、酢やレモンに含まれる「酢酸」や「クエン酸」などの酸性成分が、タンパク質と糖が結びつく「メイラード反応」を抑えてくれるからです。揚げ物や焼き物を食べるときには、レモン果汁をふりかけるとAGEの害を減らしてくれます。さわやかな香りがつくので、薄味でもおいしく食べられるというメリットもあります。
また、酢の酸っぱさの成分である酢酸は活性酸素の過剰な発生を抑えてくれますし、食後高血糖も抑えてくれます。
レモンに含まれるクエン酸は酸化ストレスがかかりにくい体をつくる助けをしてくれます。さらに、一部の酢には抗酸化作用の強い「ポリフェノール」が多く含まれています。白っぽい米酢などには少ないのですが、黒酢やリンゴ酢、バルサミコ酢にはポリフェノールが豊富に含まれています。
ポリフェノールはレモンの皮にも多く含まれています。すりおろして料理にかけるなどで活用できます。ただし、輸入物は防かび剤の不安がありますので、国産のレモンを使いましょう。
認知症予防に効果があり体や脳の老化を防止
酸化予防に特に役立つのが、野菜に含まれる「ポリフェノール」です。
ポリフェノールとは、植物が合成する色素やアクなどの成分で、抗酸化作用が強いものが多いことで知られています。もちろん、AGE化を抑制する抗糖化作用が強いポリフェノールもあります。
ポリフェノールが注目を浴びるきっかけになったのが、動物性食品の摂取量が多いフランス人の心臓病による死亡率が低いという謎、「フレンチ・パラドックス」を解く鍵が、赤ワインのポリフェノールにあったことです。
赤ワインに含まれるポリフェノールが、LDL(悪玉)コレステロールの酸化を防いでくれることがわかり、動脈硬化予防の強い味方として注目されるようになりました。具体名で言うと、強い抗酸化作用、LDL酸化の抑制をする「プロアントシアニジン」や、血管をしなやかに強くする「レスベラトロール」などです。
若返り効果アップのポリフェノール
老化予防にいいことで知られているポリフェノールはたくさんあります。
ブルーベリーや紫いもに含まれている「アントシアニン」は毛細血管を保護する働きがあり、目や脳の毛細血管にも作用するため、目の病気予防や視力回復、認知症予防などに効果があります。
豆腐や納豆に含まれている「イソフラボン」はコラーゲンが破壊されるのを予防するため、血管の若返り、肌の弾力の保持、骨密度の維持などに効果があります。AGEの生成を抑える働きもあります。
玉ねぎやりんごの皮や皮の近くに多く存在する「クエルセチン」は、老化細胞の除去を促す「セノリティクス作用」という効果が報告されています。AGEの生成を抑える働きもあります。
これら以外にも、しょうがの「ジンゲロール」、カカオの「フラバノール」、緑茶の「カテキン」、コーヒーの「クロロゲン酸」などを耳にしたことがある人もいるでしょう。
これらも血管を若返らせたり、食後高血糖になるのを抑制したり、AGEの生成を抑えたりすることで、体や脳の老化を防止するポリフェノールです。
毎日、複数の種類を少しずつ摂る
ここで紹介したポリフェノールはほんの少しで、実は数多くの種類があります。基本的に野菜や果物には何らかのポリフェノールが入っているため、老化を防止する働きを伴っていると考えていいでしょう。
ポリフェノールは一度にたくさん摂っても、持続的な効果は期待できません。また、一種類だけ摂るよりも複数摂ることで相乗効果を発揮します。ポリフェノールを含む野菜や果物を、毎日食べることが、体内の抗酸化システムを強化することにつながり、体内のAGE化や酸化を予防する助けになります。
