※本稿は、牧田善二『脳と体が老けない人の食べ方』(新星出版社)の一部を再編集したものです。
調理法によってAGE量はこんなに変わる
理想は火を通さずそのまま食べることですが、加熱調理が必要なものもありますし、食事内容を制限し過ぎるのも現実的ではありません。ただ、知識としてAGE(終末糖化産物)の少ない調理法を覚えておくことは大切です。
食べ物に含まれるAGEは、高温で加熱することで一気に急増します。調理中にAGEを増やさないためには、炒めたり揚げたりするよりも、ゆでるか蒸したほうがAGEの心配が減ります。
家庭で調理する際、フライパンで炒める温度は170〜180度くらいです。この温度を超えると焦げ目がつきはじめます。揚げるときの温度の目安は、低温で150〜160度、中温は170〜180度、高温は200度です。
炒めたり揚げたりする温度が高く、時間が長くなるほどAGEがたくさんつくられるので、そうした調理法を避けるとAGEの心配がありません。
一方、ゆでたり煮たり蒸したりする場合の温度は100度以下です。AGEのことを考えると、こうした調理法のほうがAGEは増えず、老化予防につながることを覚えておきましょう。加熱時間が短くなる電子レンジでの調理もおすすめです。
図表1に紹介しているように、同じ食材でも調理方法で含まれるAGEの数値が大きく異なります。同じ鶏むね肉でも、生肉は692KU(キロユニット)、10分間煮ると2232KU、5分間電子レンジで加熱すると1372KU、7分間炒めると3726KU、15分間オーブンで焼くと5245KUまで増えます。
肉などタンパク質が多い食べ物に比べると少ないのですが、野菜にもAGEは含まれています。特に糖質とタンパク質を含むじゃがいもは、ゆでると17KU、家で揚げたフライドポテトは694KU、ファストフード店のフライドポテトは1522KUです。
同じフライドポテトでも、家でつくったもののほうがAGEは少なめです。外食の揚げ物は高温調理されているのでAGEが高くなる傾向があります。食べたいときは自分でつくるほうが安心です。
火を入れるなら「蒸す」「ゆでる」「煮る」
健康に役立つ食材の代表とも言える卵も同じです。毎日食べるので必然的に食べる回数や量が多くなります。食べ方には気をつけましょう。
目玉焼きにした場合のAGEは1237KUですから、意外とたくさん含まれています。ゆで卵やポーチドエッグ、オムレツ、スクランブルエッグなどにすると、調理の温度も低く、時間も短いためAGEはそれほど増えていません。
AGEを増やさない調理方法としては、まず「生」が圧倒的にAGEが少ない調理法で、火を入れるならば「蒸す」「ゆでる」「煮る」が少なめです。「電子レンジ」も「焼く」「炒める」よりAGEを抑えられるケースが多くなります。「揚げる」と「オーブン調理」はAGEが非常に増えてしまいます。
大まかな目安を図表2に示していますが、順番は素材によって変わるケースもあります。ですので、基本知識として調理温度が低く、調理時間が短いほうがAGEは少ないということを覚えておきましょう。
牛肉料理ならすき焼きよりしゃぶしゃぶ
すでに調理しているものを選ぶときには、茶色っぽいものを避けて、白っぽいものを選ぶことでAGEの量が少なくなると覚えておきましょう。
例えば、豆腐は厚揚げや焼き豆腐よりも木綿豆腐や絹豆腐、チーズはチェダーよりもモッツァレラ、牛肉料理ならすき焼きよりしゃぶしゃぶ、鶏肉料理なら唐揚げよりもゆで鶏、焼き鳥や焼肉はタレよりも塩、焼き餃子や揚げ餃子よりも蒸し餃子や水餃子など、白っぽいものを選ぶようにすれば、AGEが少ないものを選んでいることになります。
煮物の場合は、調味料として使っているみりんや砂糖は糖質が多いためAGEの増加が考えられます。こちらも、AGEが多いものは茶色い色をしています。豚肉の角煮よりはゆで豚、肉豆腐よりも湯豆腐、さばのみそ煮よりも魚のホイル蒸し、中華の肉団子よりも鶏団子鍋など、白っぽい料理を選びましょう。
基本的には、和食は煮たり蒸したりしたものが多く、炒め物や揚げ物はそれほど多くありません。焦げ目がつくものや焼き色がしっかりつくものが少ないイメージがあります。世界でも健康食として認められた“和食”はAGEの観点から見ても、とても健康的な食べ物なのでしょう。
老化を促進させたくないならタンパク質を摂る
AGEの要因となるもうひとつの物質はタンパク質ですが、糖質と違って食べる量を減らすのはよくありません。タンパク質は筋肉、内臓、骨、皮膚、髪の毛、血液、酵素など、体のあらゆるものの構成要素だかららです。
そのため、タンパク質が不足すると老化が進んでしまいます。
例えば、筋肉が落ちて動きが遅くなったり、姿勢が悪くなったりします。コラーゲンに影響が出て肌がたるむこともありますし、動脈硬化や骨粗しょう症も進むこともあります。神経伝達物質の働きが悪くなって記憶力や集中力が損なわれ認知症に近づいてしまうこともあります。抗酸化の機能が落ちたり、血糖値を調整する機能が落ちたりもします。
体のあらゆるものの構成要素ですから、タンパク質が不足すると、こうした老化現象を促進してしまう可能性があるのです。
タンパク質不足の悪影響は老化だけではありません。免疫力が低下して感染症にかかりやすくなり、筋肉が落ちて寝たきりのリスクを高め、睡眠に障害が出てうつ病になることもあります。
タンパク質を多く含む食べ物は不足しないよう、しっかり食べましょう。
肉より魚を選べば、良質な油も摂れる
AGE対策としては、肉よりも魚を選ぶようにしましょう。食べ物自体に含まれているAGE含有量は魚より肉に多いですし、脳を活性化させる油(EPA、DHA)が豊富なので、認知症予防にも役立ちます。
あまりこまかいことを気にし過ぎると、何を食べていいのかわからなくなってしまうでしょうから、肉よりは魚、揚げ物や焼き物よりは蒸し物や煮物、味つけは甘辛いものよりも塩味を選ぶと覚えておくといいでしょう。
