※本稿は、友野なお(著)、山口佐知子(編集協力)『新版 わたしを救う睡眠パーフェクトブック』(大和書房)の一部を再編集したものです。
よく眠れている人は免疫力が高い
よく「風邪は万病のもと」といわれますが、じつは「寝不足も万病のもと」。
睡眠をおろそかにし続けていると、病気になりやすいからだになってしまいます。
具体的には、寝不足の日が続くことで高血圧や糖尿病、心臓病や脳卒中などの生活習慣病や、うつ病などのリスクが高まってしまうといわれています。
病気を寄せつけないためには、健康の基盤である「免疫力の強化」がマスト。
日頃、「睡眠力とはなんですか?」と聞かれたときには、ずばり「免疫力です」とお答えしているくらい、私たちの眠りは、免疫力と深く関わっています。
「よく眠れていないと、風邪をひきやすくなる」ということを証明したアメリカの有名な実験報告もあります。
21~55歳の男女153名を対象に行われた、睡眠時間と免疫系の関係を調査した研究で、風邪のウィルスを鼻から投与してしばらく様子を見るというものでした。すると、普段から睡眠時間が短い人のほうが風邪をひきやすかった、という結果が出たのです。
1日の睡眠時間が6時間以下の場合、7時間以上眠っている人に比べて、風邪をひくリスクが約4倍高くなるという研究報告がありました。
睡眠と免疫は相互関係にあって、お互いに働きかけているため、寝不足は免疫機能を低下させること、つまり「体内の異物と闘う力が落ちる」ことにつながってしまうのです。
いろいろな健康法の情報であふれている現代だからこそ、基本に立ち返り、ぐっすり眠ること。
効果抜群でシンプルな「睡眠健康法」を続けない手はありませんよね。
体内時計は24時間10分周期
心身の調子を上げていく生活習慣の心得として、まずは「昼と夜のメリハリをきかせる」ということが大切です。
現代は、24時間社会。生活にまつわるさまざまなことが便利になった反面、昼と夜の区別がつきにくくなっています。昼と夜の区別がつきにくいということは、「夜になってもぐっすり眠ることができない」ということと大きく関係しているのです。
その理由はからだの仕組みにあって、人間は基本的には夜に眠り、朝になると起きるようにできています。夜に眠るのは、日中の活動で蓄積された疲労を回復するため、という以外にもうひとつ要因があり、それは「体内時計」と呼ばれる体内のリズムを刻む働きによるもの。
私たちのからだには体内のリズムをつかさどる体内時計があり、夜になると自然に眠くなるようにできています。眠気にかかわる体温調整や、ホルモンなど内分泌のリズムも、すべて体内時計がコントロールしているのです。
1日は24時間ですが、体内時計は、じつは24時間10分周期。“おおむね1日のリズム”という意味の「概日リズム」という周期で動いています。
その10分の誤差を正すのが、朝の光の役割。体内時計は、脳の視床下部の視交叉上核と呼ばれる部分にあり、目から入った太陽の光は網膜視床下部路を経由して視交叉上核に伝わります。それにより、地球の時刻に体内時計が合わせる形でリセットされるのです。
毎朝同じ時間に起床し、朝の光をたっぷり浴びる
仮に体内時計がリセットされないままだと、体内のリズムはどんどん乱れていき、通常の生活を送っていながらにして、からだはいつでも時差ボケのような状態になってしまいます。
朝起きたらまず、太陽の光をしっかりと浴びましょう。朝の光を浴びることで体内時計を正しくリセットし、からだに「朝」が来たことを知らせ、活動モードのスイッチをオンにします。
できれば毎朝、起床時刻は1時間以上のズレがないようにすること、そして朝の光をたっぷり浴びること。日中は明るい環境下で活動して、夜は暗めの環境下でおやすみ支度をすること。
夜中はぐっすり眠って、からだと心、脳をしっかり休めて回復させること。――昼夜にメリハリのある生活で、自律神経のバランスが乱れにくいヘルシーなサイクルを目指しましょう。
寝不足だと便秘になりやすくなる
女性にとって、便秘はやっかいな大敵ともいえる存在。
「下っ腹がポッコリ出ていてスタイルが悪く見えてしまう」「便秘のせいでいつも肌が荒れている」など、便秘について悩む女性は少なくありません。慢性化しているケースも多く、「体質だから仕方ない」「今さら改善できない」とあきらめてしまっている人も多く見かけます。
もしも、慢性化した便秘に対し「いろいろな方法を試してみたものの、どの方法でもなかなか改善しなかった」という人は、まず睡眠の質を上げるというアプローチを試してみてはいかがでしょうか。
ぐっすり眠るようになって、長い間悩まされてきた便秘が改善された方も、実際にカウンセリングしたなかにいらっしゃいます。
よく眠ると、なぜ便秘が改善されるのでしょう。
それには、自律神経が深くかかわっています。
私たちは、日中起きて活動しているときは交感神経が活発になっていて、夜寝る前のリラックスしているときや寝ている間は副交感神経が優位になっています。
人間の便は、副交感神経が優位のとき、つまり睡眠中に活発に働く腸の蠕動運動によって、下部に送られていきます。睡眠不足が続いていると、腸の動きが弱まることになるので、朝になっても出るべきものが出てこない状況を引き起こしてしまうのです。
腸内環境の悪化は肌トラブルにもつながる
便秘が続くと、たくさんの老廃物がたまっているということになるので、たとえば、台所にずっと生ゴミを放置しているようなもの。
しかも、お腹のなかは37℃と真夏のような温度ですから、それはもう恐ろしい状況です。たくさんの有害物質が生まれ、この有害物質をエサにする悪玉菌が繁殖し、腸内環境はどんどん悪化していく一方。全身をめぐる血液はよどみ、肌荒れやくすみといったトラブルも出てくるようになります。
便秘解消のために食物繊維をとる、サプリメントをとる、腸マッサージを行う、どれもいい習慣ですが、睡眠改善を見落としていませんでしたか?
「精神的な疲れ」から、メンタル疾患に苦しむ人が急増
最近、以前と比べて「疲れたな」と感じるペースが早くなっていませんか? 以前は前日に少々無理をしても、翌日も夜までがんばりがきいたのに、なぜだかこの頃「疲れた」「だるい」と感じやすくなってきた――そんな感覚は、決して軽視してはいけません。
私たちが「疲れた」と感じるのには、2つのパターンがあります。
ひとつは、激しい運動をした後など肉体的に負担がかかったとき。もうひとつは、ストレスやプレッシャーなど精神的にダメージを受けたとき。肉体面と精神面、どちらかを通じて、私たちは「疲れたな」と感じます。
特に現代は、デジタル社会やストレス社会の影響もあって、後者の「精神的な疲れ」から、メンタル疾患に苦しむ人が急増しています。
「疲れた」と感じることが慢性化してしまうことは、やがて心身の不調や、疾患へとつながる危険性をはらんでいるのです。我慢しているうちに、気づいたらあるとき心もからだもポッキリと折れてしまった、などということにもなりかねません。
メンタルの不調と睡眠も無関係ではなく、抑うつ症状と睡眠不足に関連があることなどは、これまでにも報告されています。
「疲れた」「だるいな」はからだからのSOSサイン
また、「ストレスがあるせいでよく眠れない」というのも本人の気のせいなどではなく、実際にストレスと睡眠にも深い関係があります。ぐっすり眠るためにも、なるべくストレスを減らすこと、そして、ストレスとうまく付き合っていくような生活を送ることが大切です。
「疲れた」「だるいな」は、心身の不調を示す大切なアラーム。心やからだが「もう限界間近だよ。このあたりで一度、しっかり休もう」と警告してくれている大事なサインです。
危険サインを聴き逃すことのないよう、日頃から1日5分でもいいので、自分のからだや心の声と向き合う習慣を持つこと。無理して我慢をせず、何よりも優先して質のいい眠りをとるようにして、からだと心をしっかり休めましょう。
