現代人のたんぱく質摂取量は1990年代をピークに急激に減少している。だが「美容や健康維持のために、たんぱく質は重要な役割を担っています」と語るのは、松倉クリニック代官山院長、貴子医師だ。いつまでも美しく、健やかに生き生きと働き続けるために知っておきたいたんぱく質の有用性を貴子医師に解説してもらった。

たんぱく質摂取量低下が招く体の変化とは?

貴子医師
松倉クリニック代官山院長。帝京大学医学部卒業後、京都大学医学部付属病院形成外科などを経て、2012年より現職。美容医療の専門医として、多角的視点からの解説に定評があり、各メディアでも活躍。クリニックではメディカル栄養療法なども取り扱い、栄養学にも詳しい。

厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、2010年に日本人のたんぱく質摂取量は70gを切った。これは戦争終結から5年後の1950年よりも低い数値となっている。なぜ、日本人はたんぱく質を摂らなくなったのか。

「理由のひとつがダイエットです。食事量やカロリー制限など、間違ったダイエット法を行っている方が多く、患者さんでも見た目を気にされる30~40代女性は特にたんぱく質が足りない傾向にあります」

2000年頃からカロリーを極端に制限するダイエット法が流行。さらに2008年からメタボ検診が始まったことにより、カロリーを気にする人が増加。これらの社会的背景がたんぱく質摂取量の減少の一因と考えられている。

「また、多忙なビジネスパーソンは、手軽に食べられる炭水化物メインの食事に偏りがちで、やはりたんぱく質が不足している人が多い傾向です」

毎日の忙しい仕事に奔走され、時には家庭にも気を配らなくてはいけないキャリア女性こそ、たんぱく質を意識的に摂らなくてはいけない理由がいくつもある。

出典:厚生省・厚生労働省1947~1993「国民栄養の現状」、1994~2002「国民栄養調査」、2003~「国民健康・栄養調査」

最近ではたんぱく質=筋肉のイメージも強いが、日々の健康や美容に大きく寄与しているため、摂取量が減少するとさまざまな変化が現れやすくなる。

「まず、たんぱく質の摂取量が少ないと、筋肉が分解されて減ってしまいます。筋肉量が減るということは、基礎代謝量が減少するということ。美容面にも影響があります。皮膚、爪、毛髪はコラーゲンでできていますが、この原料のひとつがたんぱく質です」

たんぱく質を意識的に摂ることは、現在も将来も健康的な生活を送るためのリスクヘッジとなる。それは将来の自分の健康への貯金とも考えることができる。

日々のたんぱく質摂取が将来の健康に寄与

積極的にたんぱく質を摂取しなければならない理由は他にもある。それは歳を重ねることによる筋肉量の減少だ。筋肉量はなんと20~30代をピークに、40代から徐々に減り始め、60代以降は減少の度合いが加速する。つまり若い頃と同じ生活、同じ食事をしていると、筋肉はどんどん減っていくということ。

出典:Lexell et al,J Neurol Scl 1988を改変

「また高齢者に限らず、胃腸の状態が悪い人は、吸収力が低いため、すべての栄養素が不足しがちです。美容だけでなく、健やかに加齢するという観点からも、たんぱく質は積極的に摂るべきなのです」

若い頃に比べて活動量が落ちている分、たんぱく質も減らすべきだと考えがちだが、筋肉量を維持して、人生100年時代を健やかに過ごすためには、年齢を重ねるほどたんぱく質を多く摂取する必要がある。

賢いたんぱく質摂取方法を考える

では実際にどのぐらいたんぱく質を摂取すればいいのか。たんぱく質の食事摂取基準には『推定平均必要量』『推奨量』『目標量』があり、年齢や性別によって異なる。

推定平均必要量……統計学的に50%の人が1日の必要量を満たす摂取量。
推奨量……統計学的に97.5%の人が1日の必要量を満たす摂取量。
目標量……欠乏を回避する量ではなく、生活習慣病の発症予防のために目標とする摂取量。

「厚生労働省が食事摂取基準で定める推奨量は最低限摂取したい量です。ただし、将来的な健康維持のためにはさらに上、目標量の摂取を心がけるべきです」

1回の食事で摂るべきたんぱく質量は、年齢や体重によって異なるが、少なくとも毎食20g、できればそれ以上摂取するのが理想と言われている。

「たんぱく質の摂取量が少ないと筋肉の量(体内のたんぱく質の量)はすぐに減ってしまいます。目標量のたんぱく質を摂るには、毎食しっかり摂取する必要があります」

だが、国民健康・栄養調査をもとに、30歳以上の男女のたんぱく質摂取量を調べると、朝食と昼食で20gのたんぱく質を摂取できていない人が多く、特に朝食でのたんぱく質摂取が突出して不足していることがわかる。

これは朝食の欠食が原因だ。2019年の同調査によると成人男性の15.5%、成人女性の9.1%が朝食を食べていないことがわかる。

「睡眠中は何も食べておらず、長時間栄養が欠乏した状態ですから、朝食はとても重要です。朝食でも炭水化物に偏らずにたんぱく質もしっかり摂るようにしましょう。一方で日本人は夕食のたんぱく質摂取量が多い傾向があります。たんぱく質含有量の多い食材は、調理法も含め、カロリー、脂質、糖質が高くなりがちですので、気をつけましょう。毎食、バランスの良い食事を確保した上で、たんぱく質を多めに摂取することを心がけてください。とはいえ、いきなり目標量を摂取するのは難しいので、1日10g程度のたんぱく質を増やすことから始めるといいでしょう」

出典:Isikawa-Takata et al.Geriatr Gerontol Int.2018

摂取量とともにこだわりたいのがたんぱく質の質だ。たんぱく質は乳製品や肉、魚、卵、豆類などに多く含まれているが、なかでも、積極的に摂りたいのが、日々の生活で手軽に取り入れることが出来る牛乳やヨーグルトなどの乳製品に含まれる『乳たんぱく質』。

「乳たんぱく質は約80%がカゼイン、約20%がホエイプロテインからなっています。ホエイプロテインは吸収が早く、カゼインは吸収が遅いため、乳たんぱく質としては適度な速度で吸収されます。

また乳たんぱく質は、たんぱく質の中でも必須アミノ酸をバランスよく含んでいるのもポイントです。最近ではそれぞれのたんぱく質がどれぐらい消化されやすく、体内で利用されやすいかを総合的に判断する、DIAASという評価法ができました。乳たんぱく質はDIAASにおいても、高スコアのため、毎日の健康的な身体づくりに適していると言えるでしょう」

忙しい現代人をサポートする「TANPACT」シリーズで手軽にたんぱく質摂取を

たんぱく質の有用性を理解しても、多忙な日々のなかで食生活を改善するのが難しいという人も多いだろう。そこで紹介したいのが明治の「TANPACT」シリーズ。

朝食に取り入れやすいヨーグルト、外出先でも手軽に摂取できるドリンクやゼリー飲料、間食に取り入れやすいチョコレートなど、現代人の多様なライフスタイルに対応する、幅広いラインナップを取り揃えていて、どの商品も良質な乳たんぱく質を手軽に摂ることができる。

「身体の組成は約60%が水で、次いで約16%をたんぱく質が占めます。それだけたんぱく質は体にとって重要なのです。たんぱく質=筋肉というイメージも強いですが、健康や美容を維持するためにもたんぱく質は重要です。毎日、美しく健康的に過ごすためにも積極的に摂取しましょう」

TANPACTギリシャヨーグルト バニラ風味
1個当たり乳たんぱく質量10g

TANPACTミルク、カフェオレ
1本当たり乳たんぱく質量10g

TANPACTミルクチョコレート
1袋当たり乳たんぱく質量5g

編集・文=林田順子