日々の食事やライフスタイルの工夫で、美しく健やかに――健康への意識が高まっている今こそ、体の中から美しくなれる薬膳や漢方を使ったセルフケアの学び時です。3月16日に開催されたビューティーセミナーでは、薬膳料理専門家と医師が、薬膳や漢方の基本や、すぐに実践できるセルフケアの方法を解説しました。大盛況となったオンラインイベントの模様をレポートします。

身近な食材の組み合わせで始められる

まずは薬膳料理研究家の谷口ももよさんによる、薬膳料理のクッキングレッスンから始まりました。難しいイメージのある「薬膳」について、谷口さんは「美味しく食べて、バランスよく美しく健やかになれる、インナービューティーにつながる料理です」と教えてくれました。

谷口ももよさん/薬膳料理研究家、一般社団法人東洋美食薬膳協会代表理事、全日本薬膳食医情報協会理事長。薬膳料理教室「Salon de Maman」主宰。著書『身近な10の食材ではじめる薬膳ビューティレシピ』『べジ薬膳』が2015年、2017年にレシピ本のアカデミー賞といわれるグルマン世界料理本大賞にてグランプリ受賞、他にも著書多数。

「病気の予防や健康を保つために身体のバランスを整えて、体調や体質、天候に合わせ、薬と同様に食材を組み合わせていきます。自分にとって足りないものを補い、余分なものは取り除く。体質に合ったバランスを整えるために、どんな効能を持つ食材が必要か、季節に合わせて考えていきます」

普段の暮らしですぐできる薬膳料理とはどんなものでしょうか。クッキングレッスンでは、動画を使って谷口さんが考案した簡単薬膳レシピをレクチャーしました。身近な材料を使った薬膳レシピに、ウェビナー視聴者は興味津々。「薬膳には特別な食材を使用するイメージがありましたが、これなら簡単そう」「早速作ってみたい」との声が多く寄せられました。

人生を楽しむためのセルフケア

続いて医師の正木稔子さんが「漢方入門」と題して、漢方の基礎知識を解説しました。「症状があって病院で検査をしても、病名がつかず、治療してもらえない“未病”が得意分野」などと、漢方の特徴をわかりやすく説明。さらに、2000年以上前に書かれた中国の医学書「黄帝内経」に「養生(セルフケア)」の概念が記されていたことに触れ、セルフケアの重要性についても話しました。

正木稔子先生/医師、漢方アドバイザー。複数のクリニックで西洋医学に漢方薬を取り入れたスタイルで診療を行っているほか、漢方の理論を使った健康法を紹介するセミナー「Food Detox」「食と心と健康」(一般の方向け)なども主宰している。

「飲食に節度がある」「寝起きは規則正しく」「無理な力使いをしない」――黄帝内経では、これらを日々実践していくことこそが養生であり、その真逆の状態が「一時の快楽のために、生きることの真の楽しみをすり減らすこと」とされています。生きることの真の楽しみとは、世界のベストセラー聖書によると「自分の労苦に満足を見出す、仕事を楽しむこと」だそう。

さらに儒学者・貝原益軒による「養生訓」の一節を引用し「自分を大切にできていないと、自分の不調にも目が向きません」と指摘します。「生活習慣の乱れやストレスをそのまま放置しているというのは、自分自身に興味がないということ。“今あるもの”に目を止めて、感謝をすることが心の平静につながります」

生活習慣を見直して、心身のバランスを整える

最後に「薬膳&漢方で変わる、健康美のためのライフスタイル改革」をテーマに、谷口さんと正木さんが対談しました。お二人とも、心身のバランスが崩れたことから漢方や薬膳について学び始めたと言います。

谷口さんは「食生活を見直したことで、寝込むことがなくなったうえ、美容の面でも驚きの効果が出ました」と話します。6年ほど前に肌チェックを受けたら、肌年齢がマイナス14歳になっていたそうです。

輝く美肌の秘訣は食生活はもちろん「楽しみになる目標を作ったり、いい香りを嗅いだり、睡眠をしっかりとること」。「自分のことをしっかり見て、体と心のバランスを整えることが大事です」と谷口さん。

これには正木さんも同意。正木さんご自身も、日頃から「湯船に浸かる」などのセルフケアを心がけていると話します。最後に働く女性に向けて、「在宅勤務の人が多くなり、生活習慣が乱れやすい状況です。まずは生活習慣を見直して、それでも不調が長引く場合は、ぜひ漢方医に相談してほしいですね」とアドバイスしてくれました。

お二人に共通しているのは、毎日の暮らしの積み重ねが心身の美しさにつながっているということ。働く女性は、日々の忙しさに紛れて、つい自分のことを後回しにしがちです。まずは体の声に耳を傾け、薬膳や漢方を暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。

2021年3月22日(月)~28(日)までロイヤルガーデンカフェ青山にて、薬膳カフェ「PRESIDENT WOMAN Café ―Life with KAMPO―」を期間限定でOPEN。薬膳料理研究家・谷口ももよ先生アドバイスのもと開発した薬膳料理5品が特別メニューとして登場しました。

協賛:株式会社ツムラ
Text=新田理恵 Photograph=皆木優子(オンラインイベント)、kuma*(カフェイベント)