“ワコールといえば、下着”。誰もがそう言うほど、日本のトップ下着メーカーでありトップブランドとしての知名度を誇る企業だ。しかし、ワコールが靴を販売していると知る人は意外に少ない。なぜ下着のワコールが女性の靴をつくっているのか。その開発秘話と人気のパンプスの秘密をひも解いた。

美しくあるためには、足もとも大切
~試行錯誤の開発期間~

ワコールといえば下着メーカーというのは周知の事実。日本女性のカラダをとことん研究し尽くしてつくり上げる下着は、女性の一生を美しく快適に彩ってくれる。

そんな、「下着のワコール」が、パンプスをつくっているのはご存じだろうか。

百貨店の靴売場を中心に展開する「success walk®(サクセスウォーク)」というパンプスがそれだ。働く女性と切っても切れない関係のパンプス。一度その履きごこちのよさを知ってしまうと「もうほかのパンプスは履けない!」という熱狂的ファンを多数抱えるほど、サクセスウォークの快適さには定評がある。

では、なぜ下着のワコールが靴の開発に着手したのだろう。ワコールのフット営業課・細川清里さんにお話を伺った。

「ワコールには1964年に発足した『人間科学研究所』があり、人体計測を行って『女性が美しくあるため』のさまざまな研究を行っています。動きに関する研究をはじめ、美しくみえる歩き方、負担を減らす歩き方の研究をする中でわかったのが、『足が人間を支えている』ということ。女性をトータルで美しく見せるには、下着同様、足もとも重要だとわかったのです」

ワコール/フット営業課 細川清里さん

注目したのは、「靴」。しかし下着をつくるノウハウはあっても、靴をつくるノウハウは皆無。そこで大学機関、靴工場の社長、資材メーカーの協力を得て、“快適な靴”をつくるための共同開発チームを発足。機能性の追求をコンセプトに、当初はサンダルなどを中心に開発をはじめ、1980年後半にワコール初の靴の販売にこぎ着けたが──。

「なかなか認知が広がらず、売上げも伸び悩みました。社内からは足の研究の必要性も問われはじめ、靴の研究開発は存続の危機にあったと聞いています」

ワコールは女性販売員を多く抱えている。一日中パンプスを履いて接客を行い、立ちっぱなしでいることも少なくない。担当者たちは社内の反対意見をものともせず、彼女たちの悩みを根気よくリサーチし、ニーズを引き出しながら地道な研究開発を続けた。

「当初の社内開発メンバーは男性4人。自ら一日中パンプスを履いて、なぜ痛くなるのか・疲れるのかを研究し続けたようです」

足の動きやかたちを研究する中で、パンプスを長時間履いていられないのは、体重を支える位置とヒールの位置のズレが原因だとわかった。ヒールの位置や角度を調整しながら試行錯誤を繰り返し、従来のパンプスの常識では考えられないヒール構造にするというアイデアにたどり着いたという。異業種メーカーだからこその発想だった。

最初の靴を市場に出してから20年ほど経った2004年、「success walk®」を発表。働く女性たちの「成功」と「歩く」ことをサポートしたいという意味から“サクセスウォーク”とネーミングした。

快適さ・歩きやすさ=人間工学に基づく独自設計

では、「サクセスウォーク」の機能性はどこにあるのだろうか。

「1つは『ヒールの位置』です。かかとの真下にヒールを置くことで、体重をしっかりと受け止められます。それによりつま先にかかる負担を軽減できるのです。2つめは『ヒールの向き』。足を蹴り出す方向にヒールの向きを設定しているので、自然でスムーズな歩行をサポートできます。3つめは『3Dインソール』です。足裏の形状に合わせた独自の3Dインソールを使用することで、前滑りや踏みつけ部・かかとに集中しがちな荷重をやわらげるので、履きごこちがよくなります」

かかとの真下にヒールを置く、独自設計。体重をしっかり受け止め、足の前部分に掛かる負担を軽減する。
足を蹴り出す方向に設定したヒール向き。足への負担をやわらげ、スムーズな歩行をサポートする。
【3Dインソール】
足裏の形状に合わせた独自の3Dインソール。足の前滑りや踏みつけ部、かかとに集中しがちな荷重をやわらげる。

こうした機能の秘密は、ワコール独自の研究機関「人間科学研究所」で培った人間工学に基づいている。歩きやすく・疲れにくい独自の設計が特徴といえる。

豊富なサイズ展開&靴選びをサポートする専門販売員

働く女性に限らず、靴選びに苦労する女性は多い。見た目だけで選べば機能が追いつかず、快適な歩行にならないことも。また一般的に女性は「大きめ」の靴を選んで履く傾向にあるという。サイズが合わない靴を履けば歩き方にも影響し、さらに快適さはほど遠くなる。

「サクセスウォーク」は、足長、足幅での豊富なサイズバリエーションと、つま先の形、さらに好みのヒール高から選べる。これまで「合うサイズが見つからない」と嘆いていた女性でもピッタリフィットする1足を選びやすいのが人気の秘密のようだ。豊富なサイズ展開は下着に通じるものがある。それこそ「ワコールならでは」の発想だろう。

●足長=最小21.5~最大26.0cm(0.5cmきざみ)
●足囲=最小B~最大EEE
●トゥの形状=3タイプ:スクエア、ポインテッド、ラウンド
●ヒールの高さ=5タイプ:3.0cm、3.5cm、5cm、7cm、8cm

自分にピッタリの快適な1足を見つけるには、自身の足のサイズを知ることがもっとも大切。思い込みのサイズで選んだり、試し履きをせずに購入したりすることが、靴選びにとってはもっともNGな行為でもある。

「靴を選ぶ際は、躊躇せず店頭の販売員にご相談を。また、定期的に開催している『足型計測相談会』(※1)では専門販売員である『パンプスコンシェルジュTM』がお客様の足のサイズを計測し、靴選びをお手伝いしています。コミュニケーションを取りながらサイズやトゥの形などをチョイスすれば、より自分好みで足にフィットした1足を見つけることができます」

(※1)現在は、新型コロナ感染症対策により、開催を見合わせています。開催情報は、サクセスウォークのHPからご確認ください。

自分で足のサイズを知りたいという人は、「サクセスウォーク」ホームページ内にある“自分で「サイズチェック」”から計測キットをダウンロード。自宅で簡単に足のサイズを計測できる。また、計測した結果をサイト上で入力すれば、サイズに合う商品も案内。そのままワコールウェブストアで購入できる。

さまざまなシーンに合わせた、美しいパンプスを追求

「サイズバリエーションのほか、デザインのバリエーションも大幅に増えました。発売当初はブラックパンプスをメインに展開していましたが、今では、季節に合わせたカラー展開、ビジネスにもフィットする柄や型押しなどのデザイン、メッシュ素材や木目のヒール、さらに晴雨兼用のパンプスやブーツなども展開しています。2020年秋冬は、シックなカラー展開はもちろん、幅広い世代に人気の3.5cmヒールでもキレイに見えるデザインを取り揃えています」

2020年秋冬の新作はシックなラメのカラースエード。BL/OC/GYの3色展開。WIN006[ヒール高:5cm]2万2000円(+税)/ワコール

一度履くとその虜になるという「サクセスウォーク」。自分の足にフィットするパンプスは自信を持った歩き方をサポートしてくれる。

「サイズの合っていないパンプスだと、ヘアやメイクが決まらないときのように、自分らしく過ごすことができません。自信を持ってイキイキと働くためにも、ぜひ自分の足にピッタリの靴を履いて、自分らしく歩いてほしいと願っています」

足を入れた瞬間に感動があふれる「サクセスウォーク」。この秋、「もっと歩きたくなる」パンプスで新たなビジネスライフをスタートさせたい。

【秋の衣替えキャンペーン実施中!】
9/1~10/18までの期間中、ワコールウェブストアまたは対象の百貨店でサクセスウォークをお買い上げの方に、抽選で合計100名にJCBギフトカードなどをプレゼント!
●A賞=JCBギフトカード5万円分×5名様
●B賞=レストランのギフトカード1万円分×10名様
●C賞=洋服のクリーニングギフト券3000円分×85名様
※ワコールウェブストアは、10/8までの購入の方に限ります。

Edit&Text=戌亥真美 Photograph=小林久井(静物/近藤スタジオ)、水野浩志(人物)