忙しく働く女性にありがちなストレス、女性ホルモンの揺らぎ、そして環境汚染による、肌の“荒れ”……。過酷な環境にある女性の肌は、年々敏感になっている。彼女たちの多くが、スキンケアはもちろん、メイクアップのベースアイテムである「ファンデーション」への期待値が高い。敏感肌に寄り添うファンデーションとはどんなものであるべきか、皮膚科専門医・小林美和先生と美容ジャーナリスト・小田ユイコさんが徹底対談。

“肌が敏感”とは、どういった状態をいうのか。

――近年、肌が「敏感」だと感じる女性が増えているようです。敏感肌とはどういう状態ですか?

【小林美和先生(以下、小林)】水や気温・湿度変化、自分の汗など、通常であればあまり刺激を受けることがないようなことでも過敏に反応してしまう肌と捉えています。紫外線や環境汚染物質、ストレスなど、さまざまな要因により、肌を守る「バリア機能」が弱ってしまっている状態なんですね。

【小田ユイコさん(以下、小田)】私も敏感肌です。個人的な経験ですが、乾燥から肌荒れを引き起こすことが多かったですね。やはり、乾燥によっても肌のバリア機能が衰えると感じます。

【小林】乾燥するとどうしても肌のバリア機能は弱くなってしまいます。バリア機能は肌のもっとも外側の「角層」が担いますが、角層の保湿成分が不足すると、まるで角層がヒビ割れしたかのようにバリア機能が壊れてしまう。すると外からの刺激物質が角層内に侵入しやすくなり、トラブルを引き起こすのです。

――保湿には手を抜けないですが、逆に手入れをしすぎて肌を傷めないよう、注意すべきことは?

【小田】そこが難しいところですよね。お手入れしたい意識はあってもその選び方、使い方によっては、やればやるほど肌に負担を与えてしまう可能性がありますから。

【小林】敏感肌の患者さんの声でいちばん多いのは、「合う化粧品がわからない」「何を使ってもダメ」。医師の目でみれば、上手に選べていないだけ。自分の肌に合うものを選べばスキンケアもメイクもうまくできるはずです。そういう意味でも、選び方の目安は「敏感肌用」が第一。低刺激な処方が多いので、化粧水がしみるなどの問題を回避できます。もちろん、ファンデーションも敏感肌用を選ぶことが大切です。

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 小林美和先生
こばやしみわ●こばやし皮膚科クリニック副院長。さまざまな皮膚疾患の予防から治療までトータルな診療を行う。シミ・シワ、肌が敏感なときのメイク法など、女性に多い悩みにも親身に寄り添う診療とアドバイスで患者からの信頼も篤い。TV、雑誌などでも正しいスキンケア方法を発信している。

【小田】先生がおっしゃるように、「敏感肌用」を選ぶことは大切です。皮膚のバリア機能を守ってくれるようなものを使うと、次第に肌の調子が改善され、「自分の肌は本来こんなにもうるおっているんだ」と、実感できますから。

【小林】乾燥してちょっと赤みが出ているような肌は、皮膚が弱い炎症を起こしていて、さまざまなものにかぶれてしまう過敏な状態です。そんなときは化粧水もファンデーションもつけたくない人も多いでしょう。だからこそ敏感肌用のアイテムを選ぶこと、マイナスのケアを心がけることが大切です。たとえば、スキンケアは保湿のためのクリームのみにし、その後にファンデーションを使うなどですね。

美容ジャーナリスト 小田ユイコさん
おだゆいこ●出版社で女性誌の編集に携わった後、美容ジャーナリストとして独立。多くの女性誌でスキンケアから美容医療まで幅広い分野の美容記事を執筆。大人の女性を美しくする美容法やアイテムを探求しジャッジする。その確かな視点と長年の美容経験を生かして講演やTVなどでも活躍中。

敏感肌を守るには、「摩擦」は絶対NG!

【小田】季節、自分のバイオリズム、メンタル面のちょっとした変化でも肌はゆらぎます。これが進むと肌荒れを起こすなってことはなんとなくわかります。そんなときには、アイテムをマイナスするシンプルなケアがおすすめです。アイテムを減らすことで、肌への摩擦刺激を減らすこともできますから。また、その時期には敏感肌用のアイテムに切り替えることも大切だと思います。アンケートで「こすらずつけられるもの」と回答した方々はとても意識が高いと思います。

【小林】回答者の多くが実感しているように、保湿力、こすらずつけられる=摩擦が少ないということは、敏感肌に限らず肌にとってはとても大切です。皮膚への摩擦は、バリア機能の低下につながり、やがては炎症を引き起こします。また摩擦を繰り返すことで肝斑(かんぱん)を悪化させたり、色素沈着を起こして「くすみ」が生じたりします。

【小田】肌が敏感なときは、何かくすみやすい。乾燥からくる肌の暗さとか……どこかエイジングに傾くような。「シワが増えた?」「シミが濃くなった?」など、肌が敏感なときこそ感じやすいですね。

【小林】「シミが濃くなった」と悩む方は、私のクリニックの患者さんにも多いですね。紫外線はもちろん、洗顔やメイクの際にもっとも強くこすりやすい頬骨のあたりは、摩擦が原因でシミが濃くなることも多いのです。

【小田】本人はこすっていないと思っていても、手指のタッチの圧であったり、右手だけを使うとか、最初に触れた場所を何回も触れるとか、実は無意識の習慣になっていることが多いんです。触れれば触れるほど摩擦は起こります。それでシミができてさらに気になり、ファンデーションを何回も塗り込む……悪循環なんですね。

【小林】そう、洗顔でもメイクでも「こすらない」を意識しながら行うことが大切。こすらないためには、本当に触れるか触れないかくらいの圧でケアを。基礎化粧品の場合も、基本は手のひらで押さえるだけ。リキッドファンデーションであれば、指の腹全体でスッーとのばす。指先だとどうしても力が入るので注意が必要です。

――なるべく肌に触れる回数を減らすため、おすすめのファンデーションとはどんなものですか?

【小林】やはり保湿力があり、こすらずにつけられるものです。のびが悪いと、のばそうとして余計に力が入り摩擦を起こしてしまいます。指が皮膚の上で動いたら、それはもう「摩擦」なんですね。

【小田】肌に何度も摩擦を起こさないためには、ファンデーション自体に下地や日やけ止め機能があるものがいいですよね。ひと塗りでサッとのびるものを選んでもらいたいです。そして、カバー力も重要。薄づきだとシミを隠そうとして何度も重ね、摩擦につながりますから。

【小林】こすらないことを意識してケアするだけでも、3、4カ月ほどで肌に透明感が戻ります。そして、ファンデーションは必ずサンプルで自分の肌に合うかチェックすることも重要。肌トラブルに悩む人は、アレルギーテスト済み、ノンコメドジェニックテスト済みの表示も選ぶ際の参考になります。

【連載】敏感肌に寄り添うファンデーションを考える

Edit&Text=戍亥真美 Photograph=小林久井(近藤スタジオ)