子どもを読書好きにするのは難しいと、首をひねる親が多い。そこに登場したのが、子ども向けの電子書籍リーダー「Kindleキッズモデル」。これをどう活用すれば、子どもを読書好きにできるのか。開成中学校・高等学校の柳沢幸雄校長にアドバイスをいただいた。
開成中学校・高等学校校長
柳沢幸雄先生
1947年生まれ。開成中学校・高等学校を経て東京大学工学部化学工学科卒業、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士)。シックハウス症候群・化学物質過敏症研究の第一人者。 元ハーバード大学大学院准教授・併任教授。元東京大学大学院教授。現在は東京大学名誉教授。

子ども向けの書棚がいつもそばにある良さ

「読書の大きな楽しみのひとつは『本選び』、本との出会いです」と開成の柳沢校長。「おもしろい本に出会ったときの『この本、おもしろい、当たりだった!』という感覚が、もっと別の本も読んでみようという興味につながる」と言う。

小学生、それも低学年くらいだと、親が選んで本を与えるケースが多い。しかも、読書をとかく学習と結びつけようとすることもある。

「押しつけられた本を読んだり、読書が勉強になってしまったら、おもしろみがなくなります。子どもを読書好きにしたければ、好きな本を自由に選ばせることが大切です」

アマゾンが10月30日に発売した、「Kindleキッズモデル」。この子ども向けの電子書籍リーダーで、柳沢校長が注目したのは、1000冊以上というタイトル数だ。

「これほどの数があれば、好きな本を選び出せます。読み放題というのもいいですね。買ってもらった本だと、最後まで読まなければとプレッシャーを感じたりもするでしょうが、そもそも本は何が何でも読み切らなければならないというものでもないんです」

つまらないと思ったら途中でやめてかまわない。むしろ大切なのは、自分に合った本を探し出すプロセスだという。

「何事もそうですが、人間は楽しいと思えることはすぐに身に付く。この学年だからこの本を、名作だから読ませたいなどというのは親の身勝手な発想です。鉄道でも恐竜でも何でもいい。『こういうのが好き』『これが楽しい』というものを見つけられれば、子どもはどんどんその先に進もうとするものです」

読書経験を積んだ大人は、手にした本が熟読に値するか、卒読で済ます程度のものかを、それぞれ独自の基準で判断している。それも子どもに身に付けさせたい大切な読書スキルだが、「自ら選ぶ」経験の積み重ねで、そのスキルが養われていくという。

最近、都市郊外や地方では、街に書店がないところが増えたが「これは、書店の子ども向け書棚が、いつもそばにある状態」と柳沢校長。持ち歩きができるデバイスで「本選び」ができる点も高く評価する。

ただ、道具立てが良くても、それに任せきりにしては、読書好きの子どもは育たない。親の働きかけも必要だともいうのだが、そのキーワードが「アウトプット」だ。

読んだ本を親子でふり返ることが大切

Kindleキッズモデルには、子どもが読んだ本や、読書の進捗状況などを見ることができる「ペアレントダッシュボード」という機能がある。「これをうまく使いましょう」と柳沢校長は勧める。

「開成には、プレゼンテーションのうまい生徒がたくさんいます。例えば中3の修学旅行の行き先は、生徒たちがプレゼン合戦をして決めるのですが、そういう発表や表現の機会が多いのでうまくなっていくのです」

つまり、知識はインプットだけでは定着しにくい。アウトプットすることにより定着する。逆の言い方をすれば、必要があって得た知識は、開成の生徒たちのプレゼン合戦の例のように、使える知識になるのである。

「読書は、インプットにすぎません。アウトプット、すなわち表現することを親が働きかけていくと良いでしょう」

難しいことではない。子どもが読んだ本を、親も読むのだ。そして「私も読んで、ここがおもしろかったけれど、あなたはどこがおもしろかった?」と問いかける。読んだ本のふり返りを、親子で共有するのだ。

「子どもがまだ幼くて、言葉で表現する力がなければ、英語でいう六つの疑問詞、5W1Hで問いかけるようにするといいですよ」

例えば「いつ(When)の物語なの?」「誰(Who)が主人公なの?」「何(What)をおもしろいと思ったの?」といった具合にたずねるのだ。読んだ本をふり返り、対話として表現することにより、本の内容が子どもに定着する。その積み重ねで、感想の表現も次第に文章化されていくのである。

「言葉は、物事を抽象化して表したもの。子どもはまだ知識や経験が乏しいですから、書かれた文章から実際の場面をイメージするのが難しい場合がけっこうあります」

それを補う辞書機能も充実している。わからない言葉にタッチすると、その場で辞書が開き、その単語を保存して単語帳として蓄積することもできる。英語の書籍も数百冊用意されているが、英語の本に出てくる難しい言葉には、簡単な英単語を使った説明文が文面の行間に表示される機能がある。

読みたい本を選ぶところから始められるKindleキッズモデルの読書。おもしろかったことは、それを他者に伝えるのも楽しいもの。次の本を選ぶ動機づけにもなる。柳沢校長は、インプットとアウトプットの両輪を回していくことで、このデバイスの価値はさらに高まると指摘した。

10,980円(税込)
対象年齢6歳以上

●読書のためだけのデバイスだから、安心して子どもに渡せる。
●ゲーム、動画、広告などは一切なく、読書に集中できる。
●1,000冊以上の子ども向けの本を1年間追加料金なしで読み放題。
●ペアレントダッシュボードで読書の進捗を確認できる。
●辞書、単語帳、目標達成バッジなど、多彩な機能で読書のレベルアップをサポート。
●目に優しいフロントライト、紙のように読みやすいE-inkディスプレイ搭載。
●2年間の限定保証付き。壊れても端末を返却すれば無料でお取り替え。
●Kindle本体(第10世代)、キッズカバー、1年間のAmazon FreeTime Unlimited(お子様向け定額サービス)利用、2年間限定保証付き(一定の条件が適用されます)。