人生100年時代、せっかく長く働き続けるのなら、プロフェッショナルな知識とスキルを持って、自分が輝けるキャリアを築いていきたい。証券アナリストとして活躍する女性にインタビューしました!

市場と企業の橋渡し役として、さまざまな課題を一緒に考え、解決していくのが楽しいです

SMBC日興証券
株式調査部 アナリスト
佐藤 有さん
さとうゆう2009年にドイツ証券入社。ITソフト・エンターテインメントなどのアナリスト業務に従事。13年にSMBC日興証券へ転職し、通信セクターを担当後、17年より紙パルプ・ガラス・土石素材、日用品・化粧品セクターを担当している。13年にCMA資格を取得。

SMBC日興証券の佐藤有さんは、新卒で前社に入社した頃から現在まで一貫して証券アナリストとして株式調査を担当してきた。

証券アナリストは、企業の実力を見極めて、株価がその実力を正確に表しているかどうかを分析する。「日々、企業のIR担当者に業績の状況や展望を取材し、顧客の投資家と面談して今後の業界予測などの情報提供を行っています。発表された業績の背後には何があるかを調査・分析するのがアナリストの役割で、開示情報をもとに企業・投資家双方とディスカッションを行います」

担当する企業の今後の株価予想も含むレポートの執筆も、重要な業務だ。もちろんそれには大きな責任が伴い、佐藤さんも重責に悩む時期があった。しかし、入社2年目、初の執筆が彼女のアナリストとしての自覚を芽生えさせてくれた。

「私がレポートを執筆した1カ月後に震災が起こり、ある担当企業の施設は打撃を受け、株価も大きく下がりました。ですが、そこから企業は復興に向けて動き、我々アナリストもマーケットがその企業をどう見ているのか、どうすれば株式市場から理解を得られるかを一緒に考えました。その時、アナリストとはただ業績の良しあしを判断するのではなく、企業や業界を応援する立場なのだと気づいたのです」。最終的にその企業は復興を遂げ株価も回復した。「例えば脱炭素など、企業を取り巻く新しいテーマや課題は次々に出てきます。マーケットと企業の橋渡し役としてディスカッションを重ねながら、どう対処しどう発信していくべきかを一緒に考えていくことはとても楽しく、アナリストとしての仕事にやりがいを強く感じています」

資格取得の勉強で使っていた『証券アナリストのための企業分析』は今でもよく手にとって、仕事に役立てている。家とオフィスに1冊ずつ置いているほど佐藤さんのバイブル的存在。

CMAの勉強を本格的に始めたのは、入社2年目の頃。

「平日の昼休みや業務後の夜に勉強したうえで、2週間のリフレッシュ休暇を勉強に費やしました。大学の同期も受講していたので協力し、わからないところや効率的な勉強法を教え合ったことで、挫折せずにやり遂げられました。この資格は、パスポートのようなもの。きちんとした専門知識がある証明としてアナリスト以外でも強い味方になります」

 

CMA資格とは?

確実なスキルアップに証券アナリスト資格!

高度な専門知識と分析技術を応用して、担当している業界セクターの動向を分析・予測し、企業価値と将来価値の評価・予測を行うのが証券アナリスト。そのために必要な知識を学習できるのが“CMA”資格です。企業財務や投資理論の学習、資本市場の理解、M&Aに必要な知識が得られます。

証券会社にとどまらないCMAの活躍

(2019年3月末現在 2万7169人)

CMAになるには?

女性や一般企業でも活躍できるCMA

(2018年度第2次レベル試験合格者)

佐藤さんのインタビューにもあるように、CMAは証券アナリストを職業とする人だけのものではない。実際、約2万7000人の資格者の大多数は、証券アナリスト以外のさまざまな仕事で活躍している。 「具体的にはIR、財務、経営企画などの仕事に就く人にお薦めです。予算を起案し目標を掲げ、利益をどう創出していくかといった、一連の戦略を考えるための基礎となります」と佐藤さんは話す。 女性ならではの細やかな気づきに加え、CMAでファイナンスや経営・投資の知識も身につけることは、自分のキャリアの大きな強みとなっていくだろう。

Text=岩辺みどり Photograph=工藤朋子 タイトル写真=iStock.com/itakayuki