管理職は部下に気を遣うべき?
管理職に消極的なビジネスパーソンが増えている。そもそも出世志向がなく、プレーヤーでいたいという思いが強い人もいるだろう。加えて「周囲に嫌われたくない」「調整でストレスがたまる」などの人間関係にまつわる否定的な印象が強いことが、管理職進出を阻んでいる。
では実際に、管理職は部下に気を遣うものだろうか。組織マネジメントのコンサルティングを行う識学の講師のもとには、部下との関係性に悩む管理者の声が多く寄せられている。悩みの大半は「どうしたら部下がスムーズに指示を聞くのか」、「責任感を持って仕事をするのか」などに集中している。
そこで解決策としてしばしば登場するのがモチベーションという言葉。「部下が動かないのはモチベーションが低いから」「彼・彼女らと心を通わせてモチベーションを上げれば、仕事はうまく進むはず」――。こう考えた管理職は、部下のモチベーションを高めようと腐心する。ランチや飲み会を設けて労うのは日常茶飯事。愚痴を聞いたり、プライベートの悩み相談に乗ることもざらだ。
一人一人の悩みに耳を傾け、心を砕いていく作業には、相当な時間と労力、お金を要する。結果、管理職は部下のモチベーションアップに疲労困憊。最後は「むしろわたしのモチベーションをあげてくれ」と悩むことになる。これでは、続きたいと考える後輩が減っても仕方ないだろう。
共感型マネジメントがやる気を奪う
もともとモチベーションとは、日本では1990年頃から登場した比較的新しい概念だ。それまではモチベーションという言葉を持ち出さずとも、チームは機能し、企業は成長を続けていたのである。
誰にでも、やる気にあふれて仕事に向き合える日があれば、体調不良やプライベートな出来事で落ち込むことはある。しかし意欲のぶれはあくまでも本人の気持ちの問題だ。管理職がご褒美によって外側から意欲をコントロールしていくと、いずれ部下の意識がゆがんでいく。「上司がモチベーションをあげないから、自分のやる気がでない」――。最悪の場合、こうした逆行した考えにいきつく。
本来、仕事とは「成果を上げると報酬が発生する」シンプルなもの。成果を出す前から上司が面倒をみるのを前提としたマネジメントを続けていると、部下からは「成果を上げるから報酬が発生する」という当然の感覚が失われる。管理職の努力は、目的と正反対に機能してしまうのだ。
あいまいさをなくし、達成感のあるゴール設定を
モチベーションは「内発的動機」と訳されるように、本来のモチベーションは内側からしか発生しない。具体的には達成感や有能感、自己決定感といった感覚を得られた時に「またこの感覚を味わいたい」と感じる、この動機こそがモチベーションだ。
外側からモチベーションを高める努力はまったく必要ない。部下のモチベーションを上げようと思うなら、明確なハードルを設定してやればいい。そうすると、モチベーション向上に欠かせない達成感が得られる。
ここで大切なのは、目標設定の方法だ。例えば10キロを1時間で走ることを目標にするなら、「10キロを“がんばって”走ってね」ではいけない。管理職は、部下に示している目標設定が「強化する」「改善する」「徹底する」「向上させる」などの、あいまいな言葉で締めくくられていないか、検証してほしい。
枝葉ばかり見ていると本質を見失う
会社から期待される成果の実現に向けて部下を動かしていくのが、マネジメントの本質。けれど価値観が多様化した今、マネジメントの本質は見えにくくなっている。書店にはマネジメントの指南本があふれ、評価制度や育成術、コミュニケーション術などさまざまな方法論が語られている。その手法の一つ一つは一見正しくとも、成果を出すというマネジメントの目的そのものを見失っていては、努力は無駄になる。
便利なアプリをインストールしても、そもそもパソコンのOSが間違っていれば正しく機能しないということだ。評価や育成などの個別制度はあくまでもアプリであって、マネジメントの本質という“OS”ではない。評価や育成などの枝葉ばかり見ると、マネジメントの本質を見失う。
「人間同士の関係性だから、そう簡単にはいかない」と嘆く管理職もいるかもしれない。けれど、人間のやることだからこそ、原理原則が存在する。
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