「初期投資」は誰が負担するのか

この“もしもの時”に対するリスクへの備えこそ、山崎氏が最重要ポイントの2番目に挙げる「出口戦略」である。

「車を走らせてロードサイド店舗に目をやれば、流行り廃りのスピード、入れ替わりのスピードの速さに驚かされます。メガネチェーン店や釣具チェーン店があったはずの一角に、いつの間にかスポーツショップが次々とオープンしたかと思えば、2年も経たずにコインランドリーになっていたり。もちろん、間断なくその時々で有望なテナントが入るならいいでしょう。しかし、10年契約をしていたテナントが営業不振のため1、2年で撤退、その後なかなかテナントが入らないといった状況も想定せざるをえないのが現実なのです。近年は、たとえばコンビニ、カフェ、コインランドリーを併設するなど大規模開発ができないと競争力を失うケースもあります。おいそれと流行に乗ることすら難しくなっているわけです」

そうなれば、土地活用は“失敗”に終わったとなりかねないわけだが、そこで破綻しては元も子もない。失敗しても痛手を最小限に抑えるための備えが、「高い自己資本比率」と「出口戦略」というわけだ。

ところで、「出口戦略を考えるうえで、最初の段階からぜひとも気をつけておきたいことがいくつかある」と山崎氏は言う。土地活用の流れを追いながら触れてもらおう。

「土地活用をするうえで、まず前提となるのは“土地がある”ということ。次に、そこに建物を建てる。これは、いわゆる“箱”と呼ばれるものです。では、その箱を誰が建てるのかといえば、かつては定期借地権を使って箱の中に入りたい企業がその費用を賄っていたケースが多くありました。しかし最近は、そのような形はあまり聞きません。基本的には、地主が箱を用意すると考えたほうがいいでしょう。額にもよりますが、そのために20年、30年のローンを組むことも珍しくありません。それだけの初期投資が必要であると覚悟を決め、リスクヘッジを考えなければいけないというわけです」

では、箱としてどんな建物を建てればいいのかということになるわけだが、好き勝手に建てられるというものでは当然ない。

「都市計画法の用途地域などによって、土地ごとに何坪まで建てられるという容積率が決まっています。つまり、その範囲内に収まるような箱を検討し、その態様を決定します」

この段階で、「コンビニは近所に多すぎるから参入余地はないかな?」「コインランドリーはなぜか見当たらないからチャンスかも」などと、箱の中に何を入れるかのマーケット・リサーチも並行して進めていく。

「その地域内でニーズが多くて今後も供給が難しい分野を狙うという基本ロジックは、ほかの商売と一緒です」

具体的に「この企業が展開する、この業態が有望そうだ」というものが見つかれば、直接その本部に問い合わせればいい。建築会社やハウスメーカーが、優良と思わせるようなテナントを紹介してくれることもある。