これから地価が上がる地域はどこ?

「立地適正化計画」あるいは「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク」などといった言葉を耳にしたことがあるだろうか。国土交通省が旗振り役となって、各自治体が取り組んでいるものだが、これも駅近の不動産価値をより高める可能性がある。

「地域によっては必ずしも駅が中心となるわけではありません。また将来、自動運転による公共交通機関が導入されれば事情が変わる可能性はあります。しかし、要は従来の市街地をもっとコンパクトに狭めるよう『居住誘導区域』『都市機能誘導区域』として線引きをするということです。

そのエリア内であれば、役所・役場などの行政サービス、学校、病院、介護・看護、子育て、買い物などには不自由しない。しかしそれ以外のエリアは、行政として責任を持てない、上下水道の修繕すら後回しにしたり、終いには『できない』ということすらありうるというわけです。

市町村など全国1741ある基礎自治体のうち、約400自治体が取り組み始めています」

当然、その中には駅が地域の重要な役割を担っているケースが少なくない。駅近は居住誘導区域や都市機能誘導区域に指定される可能性が高いのだ。

「自治体が発表する立地適正化計画を見た金融機関はどう判断するか。誘導区域内なら自治体がコミットしているわけですから、住宅融資も実行しやすいでしょう。しかしエリア外となると、住宅融資はしにくくなります。そうなれば不動産価格も大きく下落するでしょう。

もっとも、立地適正化計画への取り組みについては、今のところ自治体によって温度差がかなり大きいといえます。

熱心なことで知られているのが、人口3万人強の埼玉県毛呂山町。誘導区域内においては、地価上昇10%を目指すと宣言しています。そこまで自治体がコミットしてくれるなら、そのエリア内に住まいを購入するのはアリ、と判断する大きな材料になります」

とはいえ、毛呂山町のようにわかりやすい形で情報をオープンにしている自治体は珍しい。多くは素人では読み解くことが難しい形で情報発信されている。

「地方公共団体の首長は、なかなか『この地域を切り捨てます』とはハッキリ言いにくいもの。しかし、コンパクトシティを目指す流れがあることは間違いありません。誘導区域内になるかどうかを見極めるポイントは、若年層が定期的に流入するエリアかどうか。ハザードマップで危険とされているエリアは当然、避けるのが賢明です」