教えてくれた人
明治国際医療大学教授
伊藤和憲先生(いとう・かずのり)
鍼灸学博士、全日本鍼灸学会理事、明治国際医療大学附属鍼灸センター長。トリガーポイント鍼治療の第一人者であり、慢性痛の緩和治療に精通。現代女性のための東洋医学に基づく心とカラダのセルフケアも指導。
その「ちょっと我慢」が痛みの慢性化に
月経関連の痛みなど女性特有のものを含めても、ほとんどの痛みには性差があります。出産のことなどを考えると、一般的に「女性は痛みを感じにくい」と思われがちですが、実は逆。男性よりも女性のほうが「痛み」への感受性が強く、実際に「痛み」への罹患率は女性のほうが高い傾向があります。その要因には、女性ホルモンのエストロゲンが深く関わっていると考えられています。
また、日本女性には、昔から「痛い」と言わないことを美徳とする風潮があり、痛さを耐えてしまう傾向にあります。そのため、「女性は痛みに強い」と思われがちですが、痛みを耐えると、その痛みは慢性化してしまう。一時的な痛みであれば、その痛みに悩み続けることはありません。常に痛いからこそ、悩みになるのです。
痛みを引き起こす2大原因とは!?
肩コリや腰痛の主な要因は、大きく分けて2つ。1つは「姿勢」。パソコンやデスクワーク、スマホを見るなど前かがみの姿勢や座った状態が続くことが、痛みを発生させる原因です。
長時間、同じ姿勢を続けると血流が悪くなります。すると筋肉は疲労し、疲労物質や発痛物質を筋肉内にため込み、痛みとなって現れます。痛みが続くと筋肉繊維が変化したり、痛みが記憶されたりして、痛みの慢性化や新たな痛みを発生させるといった悪循環を生み出します。
もう1つの原因は、「ストレス」。実はストレスを感じると交感神経が興奮状態になり、筋肉、特に背中側にある抗重力筋をキュッと硬く緊張させます。この筋緊張が、痛み物質を発生させ、蓄積し、慢性的な痛みへとつなげます。
女性ホルモンの乱れも痛みのもとに
近年の女性はストレスフルです。本来人間は、朝になったら起きて、夜になったら眠るというリズムを繰り返し生きていくもの。けれど、現代は、夜遅くまで仕事をしたり、四六時中スマホを見たりと、交感神経が優位な状態を続けがち。意識しないとリラックスモードに切り替えられません。そうしたことが知らず知らずにストレスとなって積み重なり、ホルモンバランスのくずれにもつながり、疲れや、痛みの症状となって現れてくるのです。
特に女性ホルモンの乱れに関連した、PMS(月経前症候群)の症状は、ストレスや環境などを含めた心理・社会的要因と密接に関係すると考えられています。
女性特有の痛み、PMSと月経痛のメカニズムの違いは?
腰まわりの重だるさやお腹の痛みが主な「月経痛」は、子宮内の経血排出のために子宮が収縮する際の痛み。子宮も筋肉でできていますから、冷えやストレスなどで筋肉が緊張して硬くなると、血流が悪くなり月経痛をより強くする原因になります。
月経3~10日前から起こる「PMS」は、下腹部痛や胸の張り、抑うつ感などのさまざまな症状があります。PMSは女性ホルモンのバランスの乱れが原因ですが、月経時の痛みへの不安がストレスとなり、より症状が強くなるとも言われています。
似たような症状であっても、発生メカニズムはまったく違います。
痛みを緩和するにはどうしたらいい?
痛みを回避する方法はいくつかあります。
1.さする
まずは、痛いところを手で「さする」方法。手をぶつけたときに、その部分を何度もさすって痛みを治めた経験はありませんか。昔から「手当て」といって、さする行為は手の温かさも相まって精神的にもリラックスでき、鎮痛効果が高まるとされています。
2.ストレッチや軽い運動
姿勢性の肩コリや腰痛などには、ストレッチや軽い運動、マッサージなどで筋肉をほぐしましょう。「さする」「ほぐす」どちらも筋肉を温め、血流を回復させる一般的な対処療法です。運動にストレスを感じるならば、マッサージチェアやパルスマッサージャー(低周波治療器)を利用するのも手。「たたく」「もむ」などのマッサージ効果がラクに得られます。
3.脳のリラックス
ストレスからくる筋緊張の場合は、マッサージにプラスして、筋肉を支配している神経の興奮を抑えるため、アロマの香りを嗅いだりして五感を刺激し、脳をリラックスさせるのがよいでしょう。
4.血行を促進する
月経痛の痛みには、下腹や腰をカイロで温めて血流をアップさせるのが効果的。そして、月経痛にもパルスマッサージャーは大いに役立ちます。鎮痛コントロールのほか、子宮や卵巣と関わりが深い腰やお腹周りの筋肉を動かすことで筋緊張がほぐれ、温めるのと同様、血行促進にもつながります。月経痛の予防や、月経時の腰の重だるさ、むくみの軽減も期待できます。
低周波治療は、海外の賢い女性の新アイテム
海外は医療費が高く、日本のように薬は手軽に手に入れられないため、自己管理が基本。そのためセルフケアが重要視されています。特に、鎮痛効果があって副作用のないドラッグフリーのパルスマッサージャーは、月経痛の予防・緩和用としても知られ始めており、多くの女性たちが利用しています。日本の女性もセルフケアのひとつとして選択肢に取り入れてはいかがでしょうか。
自然にリラックスモードにすることが難しい現代、脳とカラダをリラックスさせ「ゆるめる」ことを意識することが、さまざまな痛みの予防につながります。ちまたにあふれる多種多様な情報を取捨選択できる賢い女性だけが、「健康力」を手に入れられる時代なのです。
パルスマッサージャーってどんなもの?
電気を流すというと「怖い」「痛そう」と感じる人もいるが、人間のカラダにはもともと微弱な電流が流れているため、それを利用して痛みを和らげるのが「パルスマッサージャー(低周波治療器)」。外部から電気を流して筋肉に刺激を与え、コリをもみほぐして血行をよくすることで、痛みの緩和が期待できるツールです。
重だるい腰の痛みや、肩コリ、ストレス緩和も、オフィスや自宅で簡単ケア
コリや疲れ、だるさなどの全身の症状に合わせて使用可能。心地よい刺激が筋肉に伝わり、血のめぐりを改善します。
●POINT1
手でさするような「リズムたたき」モード
さすられるようなやさしいモードで、重だるい腰まわりをケア。
●POINT2
10段階の強さ調節で、症状や好みに合わせて強さを選択可能。
●POINT3
「リズムたたき」に加え、「腕/肩」、「腰」、「足裏/ふくらはぎ」、「もむ」の5つの専用モードでコリや痛みのある部位を快適マッサージ。
●POINT4
パッドは水洗いOK!繰り返し使っても、いつも清潔・新鮮!
※パッドは約300回使用可能。ただし、肌状態や保管状況によっては寿命が短くなることもあります。
痛みに悩む女性が、TRY!
●PMSや月経痛がひどく、痛みに合わせて調節できる低周波治療器は、私には合っているよう。(事務職/34歳)
●生理痛対策で使っていましたが、肩こりやむくみにも使っています。営業職なので脚のむくみに使えるのは便利!(営業職/40歳)
●(他メーカーと比較して)バッドのサイズが大きく、フィット感バツグン。刺激のバリエーションが豊富で嬉しいですね。(マーケティング/45歳)
●医療機器メーカー製だから、使用の際に安心感が。デザインもシンプルで、操作もわかりやすく使いやすいです。(事務職/32歳)
Text=戌亥真美 Photograph=田子芙蓉 Illustration=小野塚綾子