年間4.5億円が半永久的にかかり続ける

都心では2000年ごろから超高層マンション、いわゆるタワーマンションの建築が相次いでいる。このタワーマンションでは「スケールメリットがあるため、共用施設の管理費が割安になる」という文句を売りにしていることがある。つまり、たくさんの入居者で管理費を負担すれば、豪華な施設が安く使えるというふれこみである。だがこれは眉唾ものだ。

根拠となる数字を挙げよう。首都圏新築マンションの1平方メートルあたりの平均管理費は月額約190円である。

<strong>【図1】</strong> スケールメリットはない!高層ほど高い「管理費」
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図1 スケールメリットはない!高層ほど高い「管理費」

これを階層別で見てみると、管理費が一番安いのは11~19階建ての172.16円。50階建て以上の超高層マンションでは307.68円と、むしろ高くなっているのだ(図1参照)。最近のタワーマンションは共用施設を充実させたりホテル並みのサービスを提供したりと、住宅機能以外に付加価値を持たせる傾向にある。したがって管理費も決して安くないのが実態なのである。

それでは、具体的にどれくらいの管理費がかかるのか、東京・品川の某タワーマンションの例で見てみよう。

まず、タワーならではの「眺望ルーム」や、親戚や友人が遊びに来たとき泊まれる「ゲストルーム」、幼児を預かってくれる「キッズルーム」、「プール」「フィットネスクラブ」などの維持管理費が月額316万円(年額約3800万円)。

次にゴンドラを使った窓ガラスの清掃費用が月額107万円(年額約1280万円)。上層階の居住者が自分で窓ガラスの外側を拭くことは不可能なため、業者に頼まざるをえない。これは半永久的に発生し続ける料金である。

そして24時間365日ガードマンが常駐する防犯・防災センターの費用が月額458万円(年額約5500万円)。もっともこれは防犯カメラによる機械警備に切り替えればかなり安くなる。
さらに宅配便を預かったり、クリーニングを取り次いでくれたりするコンシェルジュがいて、このコストが月額153万円(年額約1800万円)。

<strong>【図2】</strong> 年間4億円!永久にかかる費用の内訳は
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図2 年間4億円!永久にかかる費用の内訳は

その他管理費の名目で動くお金を合計すると、1年間で約4億5700万円にものぼる(図2参照)。ちなみに修繕積立金は含まれていない。この金額を約2000戸で負担するわけだ。単純計算すると一戸あたり約23万円。これを割安と思うか、割高と思うかは居住者の価値観次第。

ただし自分は使わない施設でも、共用部分の管理費は請求される。なぜならその施設があることで、マンション全体の資産価値が上がると考えられるからだ。

タワーマンションは、地域のランドマーク的なステータスもある。しかし「大地震のとき“高層難民”になる」「十数年後には住人の間で所得格差が広がり、派閥ができる」などの危険性も指摘されている。購入には慎重さが求められるだろう。