公職選挙法が改正されて、インターネットを使った選挙運動が解禁になる。これまでインターネットによる情報の伝達は、公職選挙法上の文書図画の頒布とみなされて、規制を受けてきた。候補者が選挙の公示日以降、ブログの更新やフェイスブックの利用を中断するのも、そのためだ。しかし今回の改正により、選挙運動用の文書図画はウェブサイト等で頒布できるようになった(改正公職選挙法第142条の3第1項)。
インターネットによる選挙運動は、一般有権者にも解禁される。ビラ配りは敷居が高いが、ネットで投票を呼びかけるくらいならやってみたいという有権者も、今回の改正で選挙運動に参加しやすくなるだろう。
ただ、有権者の多くは選挙の素人だ。正しい知識を持っていないと、よかれと思ってやった行為が法に触れるおそれもある。
気をつけたいのは、電子メールの利用だ。今回の改正で電子メールによる選挙活動が認められたのは、候補者や政党等だけ。一般有権者が電子メールで特定候補への投票を呼びかけるのは違反だ。ただし、SNSのメッセージ機能は電子メールにあたらない。たとえばLINEで「○○候補に清き1票を」と送るのはセーフ。このあたりを混同して、うっかり電子メールで選挙運動をしないようにしたい。
ツイッターの改変にも注意が必要だ。誰かのツイートを非公式リツイートするとき、文字数を調整するために一部を削るケースがある。こうした改変リツイートについて、落合洋司弁護士は次のように指摘する。
「候補者を落選させるために虚偽の事実を公表したり、事実をゆがめて公にすれば、取り締まりの対象になります。候補者のツイートを改変してリツイートすれば、虚偽とまではいえなくても、事実をゆがめたという評価を受ける可能性はある」