2013年5月20日(月)

なぜ原発の「トラブル隠し」はいまだに続いてしまうのか

PRESIDENT 2013年6月3日号

著者
青木 理 あおき・おさむ
ジャーナリスト

青木 理1966年、長野県生まれ。慶應義塾大学文学部卒。1990年、共同通信社入社。大阪社会部、成田支局などを経て、東京社会部で警視庁の警備・公安担当記者を務める。ソウル特派員を経て、2006年からフリーランス。著書に『トラオ 徳田虎雄 不随の病院王』『絞首刑』『北朝鮮に潜入せよ』『日本の公安警察』などがある。

答える人=青木 理(ジャーナリスト) 撮影=門間新弥
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公共性の高い組織ほど自浄作用が働かない

どんな組織にだって、大なり小なりのトラブルや不祥事は起きる。また、どんな組織だって、できることならトラブルや不祥事など内部で隠蔽してしまいたいと考える。お役所にしても、企業にしても、他の団体や法人にしても、それが偽らざるホンネだろう。

しかし、そんなことがまかり通れば、この世は闇である。何が起きても知らぬ顔で隠せるなら、お役所では腐敗や人権無視が蔓延しかねない。金融機関なら損失補填や粉飾決算に手を染めても平気だし、メーカー系の企業なら偽装表示や事故隠しが横行しかねない。もちろん自浄作用が働けばいいが、常に自浄作用が働く保証はない。

少し前の取材例でいえば、全国の警察は組織的に裏ガネをつくり、幹部の遊興費などに長年流用し続けていた。一部の地方新聞が事実を果敢に追及し、当該の警察はしぶしぶ認めて謝罪したが、他の都道府県警はいまも知らぬ存ぜぬを決め込んでいる。大手自動車メーカーのトラブル隠しにせよ、光学機器メーカーの損失隠しにせよ、女子柔道のパワハラ問題にせよ、勇気ある内部告発などでようやく事実が明るみに出され、関係者の処罰や再発防止策の議論へとつながっていった。

そう、トラブルや不祥事は可能な限りオープンにされ、幅広い視座から問題点が検証され、同じような事態が起きない仕組みを構築していくのが望ましい。特に、公共性が高くて社会的影響力の大きい組織であればあるほど透明性が求められる。トラブルや不祥事によって撒き散らされる害悪がケタ違いに大きくなりかねないからである。

そのためには内部告発の受け皿や告発者の保護(※1)に加え、外部からのチェック機能をきちんと働かせる必要がある。プレジデント誌を含むメディアは本来、その大切な役割の一翼を担わねばならないのだが、実を言えば、公共性が高くて社会的影響力の大きい組織ほど不正や腐敗に関するチェック機能が働きにくくなる傾向がある。

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