2013年6月19日(水)

なぜ日本人は橋下徹にあれだけ熱狂したのか

PRESIDENT 2013年7月1日号

著者
山本 一郎 やまもと・いちろう
評論家

山本 一郎1973年生まれ。96年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わり、現在は株式会社データビークル取締役、東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員などを務める。『ネットビジネスの終わり』(Voice select)、『情報革命バブルの崩壊』(文春新書)など著書多数。

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答える人=山本一郎(評論家)
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正論に沸きたった大阪の「お茶の間」

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「日本維新の会」支持率の推移

2012年12月、日本国民からの支持率、16.5%。13年4月、5.8%(共同通信世論調査「日本維新の会」の政党支持率)。

「支持率の急落」ではなく、これは「壊滅」といえましょう。自由民主党でも民主党でもない、日本再生のための第三極として、既存政党に対する批判票をその巧みなメディア露出戦略でかき集めてきた日本維新の会(※1)が大きな岐路に立っています。

日本維新の会と一口にいっても、支持率分析をしてみると奇妙なことが幾つか分かります。通常は、政党に対する支持というのは政策実績や政策への期待度というものが上位に構成されます。しかし維新の場合は、圧倒的に、共同代表である橋下徹さんに対する人気と知名度によるところが大なのです。12年11月の産経新聞の調査では、首相にしたい人として橋下さんが何と15.6%で安倍晋三さんらを抑えてトップ。5位に石原慎太郎さんが食い込みました。この時点ではまだ国会議員は合流した「たちあがれ日本」の面々しかいないにもかかわらず、です。それでは橋下さんに為政者としての実績があるかといえば、ほぼゼロどころか大阪府の財政再建には必ずしも成功しておらずむしろマイナス、わざわざ府知事から大阪市長へ鞍替えしてまで二重行政を解消しようとした「大阪都構想」もこれから何かが始まろうかという程度の状況にあります。

要は、日本維新の会に対する支持は、まだ何の実績もない「橋下徹という顔」に対する好き嫌いでしかありません。それも、大阪のメディア環境は全国からすると特異で、毎日のように橋下さんの活動や会見の様子が在阪テレビ局によってお茶の間に放映されています。抜群にテレビ受けするキャラクターと喋りで視聴者を翻弄すればするほどに、政策について語れば語るほどに、中身はともかく、一定の親近感を視聴者に持たせ、支持率の底を確保できる。

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