国に登録された第三者機関が評価を行うこの制度では、設計段階で「設計住宅性能評価書」、そして施工・完成段階の現場検査を経た「建設住宅性能評価書」という2種類の評価書が発行される。一連の家づくりの流れのなかで、設計の評価と最低4回の現場検査があり、第三者の専門家によるチェックが受けられるのだから、これは大いなる安心につながる。

また万一、評価書に表示された性能を満たしていなければ、ハウスメーカーなど住宅供給者に補修を求めることができる。トラブルになった場合は、国土交通大臣指定の「指定住宅紛争処理機関」に申請することもできる。ちなみに住宅性能表示制度の料金は15万円前後、紛争処理の手数料は1件あたり1万円だ。

この程度のコストで住宅の安全と安心が得られるのだから、私はこの制度の活用をおすすめしたい。ハウスメーカーの中には、あらかじめこの住宅性能表示制度を組み込んでいたり、独自のチェック制度を設けているところもある。不動産会社やハウスメーカーにこの点を問い合わせて、施主としてわが家の性能について高い意識を持っていることをアピールすることも重要だ。

高気密・高断熱の
住み心地のよい家に

ここ数年の住まいのトレンドの1つは、住宅のスマート化、いわゆるスマートハウスである。国際的なCO2削減の要請もあり、今後、住宅の低炭素化はさらに大きな流れとなるだろう。しかし、スマートハウスを実現するためには「再生可能エネルギーの活用」「発電・蓄電装置による停電対策」「エネルギーマネジメントシステムによる制御」が必要となってくる。

これを個々の住宅で実現するには、まだイニシャルコストが高いのが現状だ。もちろん、スマートハウスを否定する気は毛頭ない。経済的に余裕があれば、新築を機にスマートハウスに必要な設備機器を装備すればいい。

だが私は、設備の充実よりも、まずは家そのものの省エネ性能の向上に目を向けるのが先だと考えている。それには高気密・高断熱の家にすることが第一で、それが結局は夏涼しく、冬暖かい、住み心地のよい家を実現することにつながる。それには、まず壁の断熱性能を上げ、窓に複層ガラスを採用することだ。スマートハウスの設備機器は年々進化を遂げており、競争が進めば、低価格化も期待できる。

以上のような3点を心に留めて、納得の家づくりをしてほしい。