2013年4月1日(月)

脳科学が実証! 笑わせ上手は稼ぎ上手

PRESIDENT 2011年10月3日号

著者
茂木 健一郎 もぎ・けんいちろう
脳科学者

茂木 健一郎1962年、東京都生まれ。東京大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学博士専攻博士課程修了。理学博士。第4回小林秀雄賞を受賞した『脳と仮想』(新潮社)のほか、著書多数。

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脳科学者 茂木健一郎 構成=大井明子 撮影=向井 渉
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話が面白くてレベルの高いジョークがとめどなく溢れてくる……。そしてなぜか、仕事までうまくいっている。そんなデキるビジネスパーソンの頭の中はいったいどうなっているのか。

人が最大に能力を発揮できる「フロー状態」を引き出す

グローバルビジネスでの競争は厳しさを増している。そのなかで卓越していくというシリアスな側面が必要な一方で、真面目一辺倒では、どうしてもうまく回らない局面があることも事実だろう。厳しい時代とはいえ、遊び心やユーモアをもって前向きに取り組みたいし、またそのほうが、成果も挙がりやすい。

脳科学的にも、ユーモアの効用は非常に高いことがわかっている。

脳の神経回路は、楽観的に物事をとらえていないと、潜在能力を発揮できないようにできている。悲観的なときの脳は、言うなれば潜在能力に蓋をして抑え込んでいる状態なのだ。

しかし現実的には、必ずしもいつも楽観的でいられるとは限らない。そんなときでもなお、前向きに明るく、という脳の基本的な態度を育むためにユーモアが重要になる。脳は自己暗示にかかりやすいため、悲観的なことでも面白く捉え直したり、楽しいことを考えたりするだけで前向きになり、邪魔をしていた蓋を外すことができるのだ。

脳がもっとも創造的になっているのは、「フロー状態」にあるときだ。フロー状態とは、「集中しているけれどもリラックスしている」状態。努力することなく自然に、脳や身体が最大のパフォーマンスを発揮できる。

私たちはつい、緊張してしゃちほこばっている状態を「集中している状態」と勘違いしてしまうが、そうではない。目指すべきは緊張ではなくリラックスだ。

陸上のウサイン・ボルト選手が2009年の世界選手権で100メートルの世界新記録を出したときの走りは、リラックスして笑いながら走るような状態だった。ああいうフロー状態が理想だ。

おやじギャグを連発するなでしこジャパンの佐々木則夫監督は、無意識のうちにユーモアを使って選手をフロー状態になるよう仕向けているのだろう。

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